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荒野の守護者

 氷点下の猛吹雪が吹き荒れる『凍てつく飢餓の荒野』。視界を遮る白銀の世界を、一筋の鋭い悲鳴が切り裂いた。

 シュウは鍋の火を弱め、静かに立ち上がる。

「……少し、外の様子を見てくる。吹きこぼさないように見ててくれ」

 そこには、他国の王立調査隊が無残な姿で追い詰められていた。彼らを囲むのは、この地の生態系の頂点に君臨する『氷獄の白狼フェンリル・パピー』の群れ。一頭一頭がBランク上位の戦闘能力を持つ、生ける災厄だ。

「ここまでか……。王女殿下をお守りしろ!」

 重傷を負った騎士団長が剣を杖代わりに立ち上がるが、そのステータスは精々800。絶望的な戦力差に、若き調査員たちは震えていた。

 そこに、一人の少年が雪煙の中から音もなく現れた。

「おい、そこをどけ。火加減が気になるんだ」

 白狼たちが一斉にシュウへ牙を剥き、弾丸のような速さで飛びかかる。しかし、シュウは抜刀すらしない。

 ただ、踏み出した一歩。その足が地面を叩いた瞬間、ステータス9,500から放たれる衝撃波が地響きとなって走り、白狼たちの突進を物理的に「停止」させた。

「ガ、ガアァ……!?」

 白狼たちが恐怖に目を見開き、一歩、また一歩と後ずさりする。本能が告げているのだ。目の前にいるのは人間ではなく、この世界の理を食らい尽くす「何か」だと。

 シュウは無造作に腕を振り抜き、先頭の巨体を「平手打ち」一つで岩壁まで吹き飛ばした。

「……散れ。次は、食うぞ」

 シュウが放った静かな一言。ステータス9,500という圧倒的な「生存競争の勝者」としての重圧に、誇り高き白狼たちは本能的な恐怖を抱き、雪煙の向こうへと逃げ去っていった。

 静寂が戻った荒野で、腰を抜かしていた調査隊員たちの中に、ひときわ気品のある防寒具に身を包んだ少女がいた。隣国の第三王女、フィオナだ。

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