荒野の守護者
氷点下の猛吹雪が吹き荒れる『凍てつく飢餓の荒野』。視界を遮る白銀の世界を、一筋の鋭い悲鳴が切り裂きました。
シュウは鍋の火を弱め、静かに立ち上がります。「……少し、外の様子を見てくる。吹きこぼさないように見ててくれ」
1. 蹂躙される調査隊
そこには、他国の王立調査隊が無残な姿で追い詰められていました。彼らを囲むのは、この地の生態系の頂点に君臨する**『氷獄の白狼』**の群れ。一頭一頭がBランク上位の戦闘能力を持つ、生ける災厄です。
「ここまでか……。王女殿下をお守りしろ!」
重傷を負った騎士団長が剣を杖代わりに立ち上がりますが、そのステータスは精々800。絶望的な戦力差に、若き調査員たちは震えていました。
そこに、一人の少年が雪煙の中から音もなく現れました。
2. 「調理」の邪魔だ
「おい、そこをどけ。火加減が気になるんだ」
白狼たちが一斉にシュウへ牙を剥き、弾丸のような速さで飛びかかります。
しかし、シュウは抜刀すらしない。
ただ、踏み出した一歩。その足が地面を叩いた瞬間、ステータス 9,500から放たれる衝撃波が地響きとなって走り、白狼たちの突進を物理的に「停止」させました。
「ガ、ガアァ……!?」
白狼たちが恐怖に目を見開き、一歩、また一歩と後ずさりします。本能が告げているのです。目の前にいるのは人間ではなく、この世界の理を食らい尽くす「何か」だと。
シュウは無造作に腕を振り抜き、先頭の巨体を「平手打ち」一つで岩壁まで吹き飛ばしました。
「……散れ。次は、食うぞ」
シュウが放った静かな一言。ステータス 9,500という圧倒的な「生存競争の勝者」としての重圧に、誇り高き白狼たちは本能的な恐怖を抱き、雪煙の向こうへと逃げ去っていきました。
静寂が戻った荒野で、腰を抜かしていた調査隊員たちの中に、ひときわ気品のある防寒具に身を包んだ少女がいました。隣国の第三王女、フィオナです。




