表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の薬師  作者: もんた
第1章 始まり
9/118

第6節『喧騒』

こんばんは、もんたです。

福岡は天気が悪いです。

もういっそ雨降るなら降れや!!って感じでもやもやしています。


すいません、愚痴です。

それでは、どうぞ。

 


 シャンドラさんたちと別れて数日が経った。

 まぁ、いつもと変わらない毎日って感じかな。


 目覚めたらアドラーや森の鳥たちと一緒に簡単な体操。

 鳥たちは別に使役してるわけじゃないから、いたりいなかったりだけど。

 アドラーが飛び跳ねるのに合わせて心地良い鳴き声が森に響く。


 そのあとアドラーと水汲み。

 気が向いたらアプラスを呼び出してお喋りしてる。

 魚がとれれば、朝ごはんに一品追加ってとこ。

 ご飯を食べたら母さんと一緒に家の掃除と調合室で素材の在庫確認。

 在庫が無い時はそのまま採集に行く。

 …在庫がなくても訓練もかねて森には出かけてはいる。

 夕方くらいまでずっと森にこもったりもするけど、その時はお弁当を作ってもらえるので問題なし。

 森は魔物が出るから普通に歩いていると危険ではあるけど、そこはほら、母さんは森の民と呼ばれるエルフですから?

 森での歩き方から念のための野営の仕方まできちんと教わっている。



 本当に急ぎたいときは別にして、森の移動のほとんどは木の上を使う。

 そうすれば魔物に襲われる確率はぐんと減るし、狩りの時もある程度獲物に集中できて効率がいい。

 枝をうまく使えば横になって休むことだってできるし、自分の足跡が付かないので変に後を追われることもない。



 そんなこんなで今日もいつものように森を散策していた。

 魔物の兎を一羽しとめ、薬草もそれなりに採取出来たので、家に帰ろうかなぁなんて思っていた時、森の奥から聞きなれない音が聞こえてきた。








 …ギャァッ、…ガルッ…

 ゴアアアァァ……






 生き物の鳴き声(・・・)というには少々荒っぽい感じがする。

 どちらかと言えば吠えてる感じに近いし…なにかあったんだろうか。

 この辺りにはそもそも魔物が少ないのに…

 うっすらと感じる魔力の気配から大きめな魔物だと思う。

 この辺で大きな魔物が出てくることは珍しいので、少し様子を見ておこう。



 木の上を飛び飛び移動していくと、どんどん音が大きくなっていく。

 どうやらさっきの声の出どころは目の前で起きている魔物同士の争いが原因みたいだ。

 みたところ、熊VS狼。

 熊の方はバサラベアって呼ばれている魔物で、別名、森の暴れん坊。

 立ち上げると3メートルを越す巨体は、通常時でも十分厄介なのに、ある程度攻撃を受けると、怒りモードになり、敵味方関係なく暴れまわるから手が付けられなくなる。

 状態異常の一種で、凶戦士(バーサーカー)状態となり、名前の由来にもなっている。


 凶戦士状態になると身体能力が上昇するので、逃げようにも木々をなぎ倒しながら猛スピードで迫ってくるため難しい。

 ただ、バサラベアの唯一の弱点をつくことで確実に逃げることができる。

 それは、麻痺に弱いということ。

 魔法や薬を使って麻痺状態にしてしまえば動きを止めることが出来るので、時間を稼げる。

 逆に言えば、麻痺状態にできるような魔法もしくは道具無しでバサラベアに遭遇した場合、さらにもしその個体がなんらかの理由で凶戦士状態だった場合、待っているのは「死」


 実は僕も2、3回ほどあったことがあるけど、その時は《パライズ》という相手を麻痺にする魔法をかけてなんとか逃げることが出来た。

 あの時は本当に心臓が止まるかと思った。



 そんな凶暴な熊に対する狼は3匹。

 う~ん、こっちはみたことない種類だ。

 3匹とも血がついてはいるものの全身が灰色の毛皮で覆われていて、足と尻尾の先だけは真っ黒の毛がある。

 バサラベアも狼もそれなりに血が出てるけど、現状、狼の方が劣勢かな?

 みたところ、どうやら大きな2匹が小さめな1匹を守りながら戦ってる様子。

 そのせいで思うように動けず苦戦してるってところなのかな。





 「グルルッ!!」

 「ガアッ!」





 一番大きな狼――面倒だからパパ狼にしよう――が吠えると同時に、3匹の身体が淡く光り始めた。

 おおっ!すごい!

 あの狼は魔法使えるのか!


 魔物の中には人間のように魔法が使えるものがいるってのは本で読んだ。

 そういった個体は、種族的に生まれつき魔力が高いか、もしくは進化の過程で力を得たような特殊個体のどちらか。

 狼たちはあんまり強そうな印象を受けないし、きっと前者なんだろう。

 パパ狼の魔法のあと、狼たちの動きが良くなったからおそらく、強化魔法(ブースト)の《ヘイスト》かな。

 パパ狼は要所要所で強化魔法を使いながら、少しでも優位に立ち回ろうとしてる。

 実際、バサラベアは動きについていけてなくて、徐々に狼の牙や爪でダメージを受けてるけど…

 そろそろな気がする。









 ――キタ。






 ゴアアアアアァァァァァ!!!!!!







 バサラベアが身体にかみついていたパパ狼を腕で振り払いながら、ひと際大声で吠えた。

 あまりのボリュームに残った狼たちも動きが止まる。

 棒立ちの二匹を横なぎにしようとするバサラベアの腕。

 そこにパパ狼が飛び込むが、まるでほこりを払うかのようにあっけなく吹き飛ばされる。

 ただ、そのパパ狼の動きのおかげでママ狼と子狼――2番目に大きい狼がママってことで――は伸びてきた腕を間一髪で避けきれた。





 ―――凶戦士(バーサーカー)状態だ…






 バサラベアがこうなるともう麻痺にするかとどめを刺すかのどちらかでしか止められない。

 理性の外れた暴走状態なので、攻撃は単調になるけど、凶戦士の特性でバサラベアの身体能力は上昇しているし、徐々に狼たちに不利になるのは目に見えている。

 今はまだ強化魔法が残っているし、ママ狼が神業チックな回避でバサラベアを惹きつけられているから時間は稼げているけど…


 ちらっとわきに目をやればパパ狼はふらふらと立ち上がったところで、子狼に身体を支えられていて戦線復帰は厳しそう。

 う、う~ん、ちょっと怖いけど…魔物助けて大丈夫かな。

 襲われたりしないかな?

 ま、まぁ、仮に襲われたとしても狼はヘロヘロだし逃げきれるよね。…よし!





 「そこの狼!熊から離れて!!」

 「!!!」

 「《パライズ》!!」





 僕の言葉を理解したのか、たまたまなのかわからないけど、ママ狼が声に反応して距離を取ってくれたのを見計らって、魔法で麻痺させる。


 …あ、でもこの後どうしよう。

 とりあえず、動きとめなきゃって思って飛び出したけど…

 やば。


 そ、そうだ!

 治療、治療しよう。

 僕はそう決めるとよろよろと近づいてきたパパ狼に駆け寄る。

 突然木の上から現れた僕を見て、パパ狼は警戒して唸ってるけど、そんなボロボロだと怖くないぞ。

 うん、怖くない。

 血にまみれてる牙がこっち向いてるけど…

 だ、大丈夫だ。

 僕はそう自分に言い聞かせて、ポーチの中を探って回復薬を手に取った。





 「怖くない、怖くないよ~。怪我を治してあげるだけだから。そういうわけで、警戒を解いてくれると嬉しいなぁ、なんて。」

 「ガルッ!」

 「デスヨネ。…少し沁みるよ。」





 一応、ひと声かけて、豪快に頭からひっくり返してみる。

 パパ狼は少しびくっとしたけどその後はおとなしく、目を閉じてじっとしていた。


 回復薬がかかった部分から傷はみるみるふさがっていく。

 この回復薬はいざという時に備えてる母さん謹製のもので、品質は勿論最高級。

「いざ」という時がどういう時なのかに関しては詳しくは触れない。

 通常品質のものは何度か使ったことはあるけど、最高級は初めて。

 初めてだけど…この回復速度ってたぶん異常だよね?

 そうだよね?

 通常品質のものでも飲んだりすれば軽い切り傷くらいはふさがったりするけど、こんなに目に見えて全身の傷が治っていくことはない。

 やっぱりすごいな、母さん。

 そんなことを考えながらも回復薬の2本目をかけ終えると、パパ狼の傷は全部ふさがったように見えた。

 いや、治ってるとは思うんだけど、断言できないのは、人間と違ってふさふさの毛のせいで傷口が見えないのに加えて、血だらけだからなんだけど。


 その証拠に、パパ狼は目を見開いて「え、なにこれ?」って驚いているように見えるし、傍にいた残りの2匹も「あれ、傷がない?」と言わんばかりにパパ狼の周りをぐるぐる回っている。






 「ガッ…ガアアアアッ!!!」

 「わっ!」





 おっと。

 のんきにその様子を見ている場合ではありませんでした。

 そう、ただいま絶賛戦闘中でした。

 振り返れば、徐々に魔法の効果が切れてきて動くようになったんだろうバサラベアがこっちをにらんでる。

 ほんと怖い。

 これはあれだな、逃げよう。






 「狼たち、あれはマズい!今のうちに逃げよう!」






 と、そういってはみたものの…

 完全に狼たちは臨戦モードでうなっている。

 しかもさっきまで後ろでおびえていたはずの子狼までパパたちの横に並んでいるし…






 「え、ちょっと?やるの?本気?」

 「ガウッ!!!」





 ママ狼の目が怖い。

 「アンタ、なに言ってるの?」と言わんばかりの目だ。

 これで逃げるとか言ったらバサラベアより先に僕がかみ殺されそうだな。

 なんかオルガ母さんと雰囲気が似てるんだけど。

 パパ狼も「やるしかないよ、ママ怖いから。」とママ狼の方をちらっと見た後諦めたような目でこっちを見てるし…

 いや、止めようよ。

 治療前の警戒していた目が嘘のように優しい目、いやこれは同情の目かな?






 「はぁ…わかったよ。一緒にヤツを倒そう。」





お読みいただきありがとうございました。


何故かこの数日で一気にブックマークとアクセスが増えていました!!

ありがとうございます。ありがとうございます。

少しずつ自分のSNSでも宣伝をしていて、自分で宣伝してるから当たり前なんですけど、知り合いが見ているんだなと思うと若干恥ずかしいですね(゜-゜)

気にせず、書きますが。


これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ