コンファルend S
「開けます」
私は鍵を差し込み、回した。カチリという音がするが、なにもおきなかった。
「開いて中を読んでごらん。きっと君の望む者の名がうつっているはずだ」
私は彼に言われるまま本を開いて中をみる。
そこに会った名は――コンファル。ってことは私もしかしてコンファルのことが――――――
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学園に帰ると、丁度コンファルの後ろ姿が見えた。
―――声かけようかな。なんて迷っていたら、向こうがこちらに気がついた。
手をひらひらとしている。後ろに人はいないし、たぶん私だろうと思ったのでコンファルの元へ駆け寄った。
「アクアルナ」
「呼んだ?」
私になにか用事があるわけでもなさそうだが。
「たまたまだけど、いま買い物帰り?」
「そんなところかな……」
後ろめたいことなんてないはずなのに、コンファルから目をそらしてフェルシ先生の屋敷を思い出した。
「――君から紫の魔力を感じる」
「え?」
「なんでもないよ」
気のせいだろうが、一瞬コンファルが、冷たく微笑を浮かべたように見えた。
「えっと、コンファルはいてバタカンチンの機関に帰還するんだっけ?」
「ぷっ……そうだね――一応敵組織をあぶり出した後に機関車で帰ろうかな?」
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「あらアクアルナ」
寮の部屋に戻るところで、寮長メリィとすれ違った。
「さっき寮母さんに頼まれたんだけど昼食の用意できてるみたいよ」
「え?」
あ、今日は休みだから昼食が出るんだったっけ。
女子寮内は元々人が少ないため、ガラリとしている。
みんなまばらに座っていて席はいっぱいあいているので好きに選び放題だ。
まず用意された食事をテーブルに運ぶ。
知り合いもいないのでとくに話しかけられることもなく一人で食事を終えた。
「ん?」
部屋に戻る最中、窓の向こうからキラキラと光るのがみえた。
私はそれがなにか気になる一階だし周りに人はいないので、誰も見ていないみたいから窓から寮をでる。
「このあたりかな……」
きょろきょろと先程の光のあった場をさがす。
みつからないし、ない気のせいだったのかな。誰かがコンパクトのミラーを見ててそれがサニュに反射したとか―――寮に戻ろう。
「お前がアクアルナか?」
「!?」
気がつけば誰かが後ろにいた。
「動くな、声をあげれば撃つぞ」
私の背に空洞のある筒のようなもの、おそらくロングライフルの銃口をおしあてた。
まだ狙われていたなんて―――油断した。
暗殺者は私を殺さない。ということはコンファルの言う敵とは違う敵がいたってことだろうか?
「組織に来てもらおうか」
どうしよう、このままじゃ――――
バン! と後ろから銃声が鳴る。背にあったなにかは放れて、地に転がった。
「コンファル!」
「ごめん、まだ残党がいたなんて―――」
あれ、でもおかしいな。私の命を狙う敵なら撃たれて死んでいたはずなのに。
「メッド…クレサ…申し訳……」
男は息絶え絶えに空を見た。
―――メッドクレサン。どこかでその名を聞いたきがした。
「どうか安らかに、アーメン」
コンファルが絶える男に十字をきる。
「まだ君のガードが必要みたいだ。こうなったら一緒にポイゼェン星へ行こう」
「え?」
―――――
ポイゼェン星の首都・バタカンチンに着くと短時間で女教皇ポワリディヌとの越権を終えた。
コンファルはポワリディヌの伯母にあたる先代女教皇ポワリゾディアの隠し子だという。
これは私が重要対象だから教えられたことだった。
「あれがこれまでの敵とは違ってアクアルナを殺そうとはしなかった。
ということから、別の組織の存在が浮かびあがったんだ」
とコンファルがいう。
「メッドクレサン……」
女神アルテアナと仲のよかったという男神だ。
「その神はまだ生きているという表現はおかしいけど、神には寿命はないし、よほどのことがなければ死なない」
つまりメッドクレサンが件<くだん>の手引きしているのは間違いない。
「私、どうしたら……」
「心配する必要はないよ。オレが君を守るから」
「ありがとう」
きっとこの先なにがあっても、コンファルがいてくれれば大丈夫な気がした。
【大団円end・・安らぎ】




