ろく
ふぁ?
なんだって?
なんでこの子にそんなことがわかる?
『人は誰でも笑ってる顔が一番でしょう?』
唯に言われた言葉が、不意に頭に浮かび上がる。
笑ったほうがいいと言われたから、笑ってみた。
そうしたら、他の子たちが喜んだ。
だから、無理矢理にでも笑顔を作ってみせた。
そう、あたしは笑うことを頑張ってた。
なんでだろう?笑うことって、自然にできること?
あたしにとっては、そんなに簡単なことじゃない。
みんなほど大きく、大胆に感情を表に出していなかったから、その頃のあたしは、みんなに避けられてるようで、仲のいい子はいなかった。
だから、みんなと話すことができて、
みんながあたしに笑いかけてくれて、
すごく、すごく嬉しかった。
なのに
いま
それを否定された
そう思った
「なんでそう思ったの?」
「え?…なんでって言われてもなぁ〜うーん…
わかんねえけど、そんな気がした」
…気がしただけかい。気負いして損したわ!!
さっきのあたしが一人で悶々としてなぜか厨二っぽい考えを抱いた周りの人に聞かれたら死んでしまいたくなるような恥ずかしい時間を返せ!!
なんて。
もしかしたら、ごまかせるかも。
「なーんだ笑 なんか確証があったのかと思ったー面白い話が聞けるかと思ったのに、残念だなー」
「面白い話?…お前、変な奴だな。自分の話なのに面白いこと求めてんのか?」
よし、なんとか話反らせられた。
「まあね、人生楽しいことがあってなんぼでしょ!」
「…大阪にいそうなババアだなこりゃ」
なんですってぇぇぇ?
もう一回言ってみ?引っ叩いてやろうか?
なんだね最近の子はまったく。
この寿くんといい、吉井といい、世の中にはもっとまともないい子はいないのかね!?
「…まぁ、笑顔作ってないってんなら別にいいけど。…辛くなるぞ」
…ほんとになに言ってんの、こいつ。
『辛くなるぞ』?
…あたしがどんな人でどこに育ってどう思ってるかなんて知らないくせに。
いま初めてお互いを認識しあったような奴にそんなこと言われる筋合いない。関係ない。
「誰かに相談しろよ、なにかあったら」




