75 この先のことを考え
「どうだった?」
「そうね、いい収穫があった……と言えるかしらね」
ルイスにライナ男爵令嬢と接触にあたって、大丈夫かと心配されたサシャ。
ミーナを膝に乗せたまま、ルイスは男爵邸の居間にてくつろいでいた。
「サシャお姉ちゃん、大丈夫?」
「ええ、平気よ。ちょっと色々と考えないとならないことが増えちゃっただけだから」
ミーナの心配そうな視線に笑顔で返し、頭を優しく撫でる。
──課題が山積みであることは、変わらなかったわね。進展がなかったわけではないけれども。
誤解を解くために今回はこちらに赴いた。
実際、ライナ男爵令嬢は、顔を合わせた当初酷く怯えていたし、そんな亀裂の入った関係を少しでも縫い合わせることができたのであれば、上々の成果であるだろう。
問題は、黒幕の正体が確かめられなかったこと。
手がかりはたった一つ。
グロム伯爵家である。
新たにバルバトス・グロムという、あまり馴染みのない家柄の貴族を調べなくてはならない。まずは、そのグロム家の詳細な情報を得るところからスタートとなる。
「そういえば……ルイス、リア姉は?」
色々と厄介な相手であるが、いてくれれば、何かしら解決に貢献してくれそうな人物はその場にいなかった。
まるで最初からいなかったかのように、その気配もない。
ルイスは、眉を困ったように折り、
「えっと、サシャが帰ってくるちょっと前に帰っちゃったよ」
頭の痛くなるような事実を告げた。
──肝心な時にいないんだから。なんでこう、自由なのかしら……。
「はぁ……それなら仕方ないわね。取り敢えず、私の実家に帰るわよ」
サシャの一声によって、ルイスとミーナは頷いた。
問題の解決にシーオフェリアの協力は、必ず必要となってくる。
知性において、サシャよりも彼女の方が上手であると、理解しているからだ。
──もしどうしようもない事態に陥ったとしたら、リア姉に関係者の安全を保障しもらいましょう。
そんなことを考えつつ、サシャは帰路を歩く。
道半ば。
戻ってきたからには、解決しておかなければいけないこと。
この国に留まる気はサシャにない。
終われば、すぐに旅に出る。
──魔神を撃退出来れば、私はどっちみち必要ないものね。
「早く片がつけばいいのだけど……」
「サシャのその顔的に、その可能性は低そうだね」
サシャはルイスの言葉に同意であった。
「魔神を相手取るなんて、それこそかなり久々なの。仮に力比べになったら、負けることはないと思うけど、持久戦になるかもしれないわ」
──力の女神として、負けたくはないけど。勝てる保証なんてどこにもない。リア姉がどこまで協力してくれるかも怪しいところだし。
最善策を立てながら、どう対処していければ最良の結果になるのかを考える。その度に二人の顔を思い出した。
ルイス。
ミーナ。
二人と共に旅を続けるためならば、私は……。
いらぬ決意だったかもしれない。
命を賭けてしまえる……そんな風に考えたのは、きっと二人に出会って私が変わったからだと思う。過去の私なら、そんなことを考えることもなかった。
「ルイス」
「ん?」
ただの保険。
今から告げる言葉に深い意味などない。
けれども、言わずにはいられなかった。
「もし、私が魔神に負けるようなことがあったら……ミーナちゃんをお願いね?」
「──っ! サシャ、何を」
「なんでもないの。頭の片隅にでも置いておいて欲しいだけだから」
──私とて負ける気はさらさらない。こんな最悪の事態に陥らないよう、今から備えるのだから。
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