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俺はルウの情報を仕入れようとしたが入手出来ない
まだ10歳のガキで、捨て子の俺に情報を手に入れるのは不可能だった。
しかし俺には確信がある、血の効力は本物、必ず治った筈だ
なにか止むに止まれぬ事情があったのだろう
ルウは頭が良い上に強かった
無学な俺に読み書きを教え、剣術を叩き込んでくれた。
金持ちの家だったらしく、俺に森の外れに家を用意し沢山の本をくれた。
野生動物と何ら変わらない俺を人間にしてくれたのはルウだ
いずれ見つけ出して恩を倍返ししてやる!
まずは金だ!
金を手に入れる為に手っ取り早いのはギルドに登録し冒険者になる事だが
その前に神の祝福がないとギルド登録が出来ない
祝福を得る方法は2択、大金を積むか
チュラン学園に入学しクエストをこなし一年間修めるか
学園は入学金は無く試験に受かれば誰でも入れる
チュラン国がギルド登録に学園を介し
優秀な人材を見逃さない為の制度だ。
俺は基本自給自足で、びた一文持ってねーので
学園に入る事にした。
試験を受けに学園に来たが・・・でけーな!
試験会場は何処だ?興奮気味にキョロキョロ見渡す
「おいおい何か場違いな猿がいるぞ」
馬鹿にした声が後ろからするな
「うきっ?(何だ?)」
猿語で返し振り向く。
取り巻きに囲まれた男が呆れた顔でこちらを見る
背はすらっと高く黒髪に黒目整った容姿をしている黒の燕尾服がよく似合う
「まさか本当に猿とはな・・・」
「うきっきー!(誰が猿だ)」
「貴様馬鹿にしているのか!クロード様この猿は私が始末します」
取り巻きの一人が飛び出し刀を振る。
俺はビビった振りをして座り込み刀を避ける(こいつ正気か?)
「止めろ!」
クロードと呼ばれた男は一喝し、刀を振った男は畏まる
「このような猿でも我が国の収入源となるのだ、見逃してやれ。」
「はっ」
話の流れから察するに偉い貴族かな?関わらないようにしよう
「君は残念な男だな・・・試験会場を探しているなら左の建物だ」
「ありがとうございます。」
俺は一礼し会場に向かった。
「ではケイジ君、水晶に触れて魔力を込めてくれ」
ふむ、これは魔力の測定だな、確か白<蒼<黄<碧<赤<虹
合格ラインは蒼だったな
魔力の足りない人間は祝福を得られない
試験官の指示に従い水晶に触れる
俺は魔力の強さを自在に操れる為
色が蒼になるよう調節する
「ではこの紙を持って訓練場へ行ってください」
紙を受け取りこの場を後にした。
「今から木刀による手合わせを行う、魔法も使っても良いぞ」
女教官相手の手合わせか
最低限生き延びる力があるかを見定める試験の筈だから、、
女教官の攻撃にひたすら木刀で受ける事に集中する、、、
が、コイツ本当に女か?
一撃が異様に重い、受け流したい所だが、
目を付けられるたくない
ひたすら受け止め、必要以上に距離を取る。
「それまで!・・・君は少し臆病すぎるな、
それは時として仲間を危険に追いやる事もある忘れるな」
肝に銘じておきます。
紙を受け取る、次は筆記テストか・・・。
「始めっ」
筆記テストの内容は一般教養が主だ。
モラルの低い人間は教養が低い事が原因となる事が多く
盗賊の育成場にしない為、教養の低い人間は
冒険者になるのが難しいシステムになっている。
俺もルウが居なかったらこの場所に一生縁がなかっただろう。
うむっ、平均点は取れたな。
「皆さまお疲れ様です、そのままお待ち頂き、
番号を呼ばれた方から面接室へ行ってください」
コンコン
「入りたまえ」
「失礼します」
部屋に入り手前の椅子に座る
顔を上げた先に髭面のおっさんがいた。
「君はこの学園に何故入ろうと思ったのかね?」
「冒険者になるためです」
「何のために?」
「お金の為であり、やりたい仕事だからです。」
マニュアル化された面接を危なげなくクリア
!!!・・・まさか・・・っ!
重大な事に気付いた、、俺は顔に出さない様全力を尽くす。
このおっさん・・・ズラだ!しかも魔力で固定している・・。
まさか俺以外に魔力の固定化に成功している人がいようとは・・・しかもズラに!
なんとか平静を装えた俺は、試験を合格した。
世の中は広いな・・・魔力操作にあのような使い道があるとはな。
まだまだ俺は修行が足りないな。




