残滓
音もなく振るわれる実体の無い鎌が迫る、迎え撃つは小さなナイフ
ギィン
鈍い音を立て弾かれたのは鎌、それは本来有り得ない事だった。
ギィン
振るわれる鎌を容易く弾くナイフ、通り抜けるはずの鎌は
ギィン
確かな手応えを持ってナイフに弾かれた。
ギィン
撃ち合う度に削られる筈の、魔力と精神
ギィン
しかしケイジに疲弊した様子は無い。
ギィン
逆にリッチの方が魔力を削られている、今まで誰も倒せなかったリッチ
その特異性による強さは、同じ種類の特異性を持つケイジにとって
非常に相性の良いものだった。
精神を吸い取る攻撃は、人にあらざる莫大な魔力に覆われたケイジの精神に届かない
魔力を吸い取る攻撃は、魔力操作を極めつつあるケイジにとって児戯に等しい、
逆にリッチの魔力を吸い上げていた。
「我は死を呼ぶ者」
口以外から響き渡る詠唱を止める術は未だ解明されていない
「・・・・・・・」
しかしその詠唱は次の音が出てこない
「・・・・・・・」
魔力を用いた詠唱は、ケイジの放った魔力で容易く中断される
どこまでも相性が良い
ケイジは魔力を全て吸い取るとナイフを収めた
その幕切れは余りに呆気なく終わりを告げた。
「弱かったな」
ケイジは気を抜いて大きく伸びをする、少し足がよろめく
石につまづく
ガン!(後頭部を打ち付ける音)
気絶
致命的に抜けた男は、リッチに勝って石に負けた。
――――― ??? ――――――
リッチはまだ生きていた、核の部分を吸い取る事が出来なかったようだ
それは気づけば誰でも殺せる小さな灯火、しかし周囲に人はなく
目の前には意識のない莫大な魔力、リッチは取り込むべく吸収し始める
一瞬で再生されるリッチ、その精神も喰らわんと内に手を伸ばす
無防備な精神に遂にその手が触れた、後に残るは死であろう。
「・・・」
吸収出来ない 魔力の壁を越え 精神に確かに届いたはずの手は
消滅した
滅びは手から始まり核まで届く、リッチは塵も残さず消滅した。
「貴様ごときがこやつに触れること叶わぬ」
後に残るは後頭部から血を流す、意識のない男




