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処女作です。
それとは別に物語として好きになって貰えたら嬉しいです。
「助ける」
心の中で強く叫ぶ
頭が冷える
体の震えが止まる
洞窟の最奥吹き抜けの広大な部屋に静かに眠るドラゴン
距離にして300メートル、ドラゴンに気づかせずに目的を果たす。
少年は足の裏に薄く魔力の膜を張る
気配を消し、風の流れのままに足を走らせる
1ヶ月草のみを食べ、匂いは消している為ドラゴンの嗅覚に捉まらない
狙うは1点ドラゴンの尻尾の先、神経の通っていない部分を切り裂く
痛みもなく気づいたら指先から血が出ていたそんな薄皮をめくるイメージを頭に描く
右手に持つは小刀、しかしその刃は目に映らない程薄い
ドラゴンの鱗を切るための、ただ一度切るためのみ特化した小刀
音もなく鱗を1枚切り取る、小刀に薄く血が付いているのを確認
ドラゴンは眠っている
足を止めずに走り抜け、突き当りの壁に沿って出口を目指す・・・いけるっ!
「グオオオオオオン」
圧倒的な咆哮が部屋を揺るがす
気付かれた?何故?何故・・・っ!
迂闊さに歯噛みする、ナイフに付いたの血の匂いに反応したのか!
パニックに陥りかけた頭を整理し、思考を巡らす
距離は200メートルは離れた、お互い直接攻撃は届かない、ならば次に来るのは・・・
今手に入れた鱗を媒介に魔力の盾を作る、このシールドの強化に全ての魔力をつぎ込む
ドラゴンの口から吐き出されたそれはレーザーの如く真っ直ぐ少年に突き進む
灼熱の炎炎を吐き終えた後、目の前に矮小な存在は存在しなかった
「グルルゥ」
軽く喉を鳴らしドラゴンは再び眠りについた。