表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怖くない昭和幽霊は、海外悪魔(イケメン?)とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
見られる昭和幽霊と海外悪魔(イケメン)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/7

昭和幽霊は、空港でナンパされる

友達増えた昭和幽霊のユー子は、成田空港の一画で、ぼーっとその場に立っていた。


目の前には、漆黒の髪、冷たい赤い目の超絶イケメン(悪魔)のレム。


その隣には、金髪、少しだけ垂れ目の普通にイケメン(霊能者)のタケル。


そして……

膝まで伸びた黒く、ストレートの髪、大きな黒目の美人(幽霊)のユー子。


三人の姿が、空港の大きな窓へ映し出されていた。


「ぽっ……ぽぽぽぽっ」


ユー子は、小さな奇声を漏らしながら、窓へ駆け寄る。


「ユー子、大丈夫か……? ()()さま、になってないか?」


タケルの心配をよそに、ユー子は窓へぺたりと手をついた。


その瞬間。


薄く、手形が残る。


「タケル!」


ユー子の声が弾んだ。


「窓の感触ある! 私、窓に映ってる!」


窓には、大きな目を見開いて笑う自分の姿。


白い肌。

小さな顔。


お気に入りの白いワンピースは、汚れもシワもなく、どこか清楚な印象さえ受ける。


弾けるような笑顔。


鈴のように可愛らしい声。


その瞬間、周囲にいた人たちが、一斉にユー子へ視線を向けた。


「えっ、あの子……ちょ〜可愛くない?」


「アイドルかなぁ〜?」


「ってか、横にいるメンズもイケメン!」


「……モデルさん? どっかにカメラでもある?」


ざわり、と空気が揺れる。


僅かに広がった視線が、ユー子たちへ集まり始めていた。


「なんか、俺ら……すんげぇ注目されてない?」


タケルが、小声で呟く。


「ふふ……」


レムは、満足げに口角を上げた。


「皆、恐怖に慄くが良い」


「みんな、怖がってくれるかな?」


ユー子も、そわそわと周囲を見回す。


「違う違う!!」


タケルが慌ててツッコんだ。


「そういう意味じゃないから!見た目が良すぎて注目浴びてるの!」


タケルは、びしっと二人を指差す。


「ユー子は可愛いし、レムはイケメンすぎるんだよ!」


タケルは、自分の胸をびしっと指差した。


「俺もイケメン枠のはずなのに、二人が規格外すぎるの!!」


「え〜?」


ユー子は、きょろきょろと周囲を見回す。


「だって、みんな遠巻きに見てるよぉ〜? 見られてる! 見られてる!」


嬉しそうに、その場でぴょんぴょん跳ねた。


「そうだぞ」


レムは、ふっと髪をかき上げる。


「人に化ける時は、美しくなければ誘惑出来ないではないか」


赤い瞳が、得意げに細められる。


「悪魔の常識だぞ」


「いや、知らんがなっ!!」


タケルのツッコミが、空港に響いた。


すると、ユー子が不思議そうに首を傾げる。


「……タケルの動きが変だから、みんな変な顔で見てるんじゃない?」


「…………」


タケルは、無言でユー子を見つめた。


(お前にだけは、言われたくない……)


「ねぇ、俺、もう帰っていい?」 


「えーっ。写真撮ろうよ!写真!三人で!」


ユー子は、タケルの苦労を無視して、ぴょんぴょん跳ねる。


幽体の時と違って、普通の動きになっているのが不思議だ。


「タケル! 早くこっち来て!」


気づけば、ユー子とレムは、すでに自撮りの体勢へ入っている。


腕の長いレムが、撮影役らしい。


タケルは、深いため息をつきながら、ユー子の後ろへ立った。


ぱしゃり。


ぱしゃり。


角度を変えながら、何枚も撮影していく。


表情にあまり変化のないタケルとユー子と違い、レムだけは違った。


少し顎を引いた角度。


伏せ気味の赤い瞳。


わずかに口角を上げた笑み。


どれも妙に絵になる。


「……レム、自撮り慣れしてないか?」


タケルは、“イケメンずるい”と言いたげな目で、画像を確認しているレムを見た。


「ふふ。研究しているからな。何千年も」


「ねぇ、悪魔って暇なの?」


ユー子の純粋な問いかけに、レムはアンニュイな笑みを浮かべた。


「だいたい暇さ」


どこか退屈そうに肩をすくめる。


「やりたいことは、大昔に大体やった」


赤い瞳が、空港の光をぼんやり映した。


「古くは絵画。彫刻。演劇……今はデジタルか」


レムは、ユー子のスマホをちらりと見る。


「どの時代も、“魅せる”研究は尽きない」


「レムのスマホって、自分の自撮りで埋め尽くされていたりして……」


タケルが揶揄うように笑う。


「そうだが?見るか?」


レムがスマホを手に持つと、写真をタケルとユー子に見せる。


そこには、いろんな角度のレムの自撮りがずらりと並んでいた。


バスローブ姿のレム。


上半身裸で、筋肉美を見せつけるレム。


寝起きらしき、少し気怠げなレム。


少年の姿のレム。


はたまた、妖艶な美女の姿のレム。


どれも、元の造作が同じのせいか、レムだと分かる。


「いや、どんだけ〜」


「美しいだろ?」


レムは、満足そうにスマホをスクロールする。


そこには、画面いっぱいに、異形の存在が映し出された。


捻じ曲がった巨大な角。


鋭く並ぶ牙。


牛のように大きな、赤い目。


黒い毛並みに覆われた、獣のような姿。


先程までの美しい青年とは、似ても似つかない。


「これが、本来の我輩の姿だ」


レムは、どこか誇らしげに笑った。


「なっ、ビジュいいだろ?」


(ビジュ……だから、レムの翻訳機能どうなってんの?)


タケルは、スマホ画面をじっと見つめ、あまりに精巧な恐ろしい姿に、ぽつりと呟いた。


「……AI生成?」


「たわけがっ!!」


レムの声が、空港へ響いた。


「そんなわけあるか!」


スマホを握りしめたまま、レムは牙を剥く。


「こんなに美しい姿が、AIに作れてたまるか!!」


「……すんまそん」


あまりの勢いに、タケルは一歩下がりながら謝り、ユー子を見ると近くにいない。


タケルがきょろきょろと周囲を見回すと、少し離れた場所で、ユー子が若い男たちに囲まれていた。


「お姉さん、かわいいね〜」


「地下アイドルだったりする?」


「SNSのアカウント教えてよ!」


矢継ぎ早に話しかけられ、ユー子は目をぱちぱちと瞬かせる。


今まで“見られたい”と思っていたはずなのに。


いざ真正面から注目されると、どう反応していいのか分からない。


目を潤ませながら、困ったように視線を泳がせていた。


「おっ」


レムは、楽しそうに目を細める。


「ユー子も魅了しているなっ」


満足げに腕を組みながら、レムは頷く。


「悪魔の素質があるぞ〜」


「いやいや、そうじゃないって!」


タケルは、焦りながらレムを見た。


「困ってる! 助けなきゃ!」


「なぜ?」


レムは、不思議そうに首を傾げる。


「見てもらっているじゃないか」


腕を組んだまま、一歩も動こうとしない。


「あぁ〜! もうっ!」


タケルは、意を決したように男たちの方へ歩き出した。


「ちょっと! 俺のツレを囲まないでよ!」


すると、若い男の一人が、タケルを見て眉をひそめる。


「んあ?」


「誰だ、このおっさん」


「っーか、ださっ」


若い男たちは、タケルを頭からつま先まで眺めると、くすくすと笑った。


「おっさんって言うなー!!」


またもや、おじさん扱いされ、さらに“ダサい”とNGワードをいわれ、地味に傷つきながら叫ぶ。


「とにかく! この子、困ってるでしょ!」


そして、ユー子へ手を伸ばした。


「俺のツレなの! ユー子、行くよ!」


ユー子は、ぱっと顔を上げる。


タケルを見ると、安心したように笑った。


そのまま若者たちの間をすり抜け、タケルの後ろへ隠れる。


「え〜! か〜わ〜い〜!」


男たちの声が飛ぶ。


(っつーか、なんで空港で囲まれてんだよ!!)


タケルは、心の中で盛大にツッコんだ。


(若者は空港に留まってないで、外出ろよっ!)


「お姉さん!そんな、おじさんよりも俺らといた方がいいよ〜。いっしょに観光しよ〜よ!」


男たちは、タケルの後ろに隠れるユー子に声をかける。


(も〜こいつら、しつこい!)


「レム! お前もこっち来い! お前がくれば、こいつら諦めるから!」


タケルは、レムへ向かって叫ぶ。


たが、さっきまで近くにいたはずのレムが、

……いない。


「も〜なんなの? 俺、今日厄日なの?」


タケルは、ユー子を庇うように背後へ気を配りながら、周囲を見回した。


すると、少し離れた場所から、レムがこちらを眺めてひらひらと手を振っている。


「……あいつ、なにしてんの?」


タケルは、目を細めてレムを見ていると、若者たちも、きょろきょろと辺りを見始めた。


「あれっ? お姉さんどこいっちゃったの?」


「さっき、おっさんの後ろにいたよな?」


「急に消えたんだけど……」


そんなはずはない。


タケルには、分かる。


自分の後ろへ隠れるようにして、ユー子がしがみついていることを。


はっきりと。


「……消えた?」


ユー子は、不思議そうに首を傾げた。


そして、タケルの後ろから、ひょこっと顔を出す。


「ここだよ〜?」


ぴょこぴょこ。ぴょこぴょこぴょこぴょこ。


若者たちの目の前で、高速で飛び跳ねる。


だが……誰一人、ユー子を見ていない。


「えっ、どこいった?」


「やば……マジで消えた?」


男たちは、不安そうに周囲を見回していた。


「まさか……」


男の一人が、ぽつりと呟く。


その瞬間ーー


ユー子の目が、ぱあっと輝いた。


「そうだよ!」


胸を張り、腰へ手を当てる。


「幽霊だよ! 怖いでしょ!」


男たちは顔を仲間内で見合わせると、一気に明るくなる。


「まさか……マジシャン!?」


「おっさん! マジシャンだったの!?」


「すげー!!」


「な、ぜ、そ、う、な、る……」


タケルは、がくりと肩を落とした。


「本物のマジシャン初めて見た!」


「トリック教えてよ!」


「SNSやってる!?」


一気に男たちに囲まれ、タケルは半泣きになる。


「いや……だから……違うってば!」


その様子を、少し離れた場所から

ユー子は、じぃーーーっと見つめていた。


恨めしそうに。

瞬きもせずに。

黒すぎる目を見開きながら、タケルをガン見する。


「タケル……ずるい」


「なんて日だ!!」


タケルの声が空港に響いた。

タケルは、中途半端に都市伝説を知っています。

なので、八尺さまを、尺八さまと誤認しています。


もちろん、レムもユー子も八尺さまを知らないので、間違えたままスルーされています。恥ずかしっ。

若者に、おっさんって言われちゃいますね。

タケルの苦労は続きます。



このノリ好きだなと、思って頂けたら、ブクマ、評価の⭐︎をぽちっと押して頂けると、作者のモチベーションが爆上がりします。


主人公が誰なのか迷走していますが、ユー子が主人公です。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ