表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友情なんてクソくらえ!  作者: ありま氷炎
第5章 新しい関係
19/46

5-5

「いらっしゃい」


 家に帰る気もせず、木村さんのバーに立ち寄る。

 しかし、店に入ったとたん、俺は後悔した。


 霧元さんだ。

 

 帰りたいが、木村さんの手前そうもいかない。


 俺は悟られないように溜息をつきながら、霧元さんから離れた席に腰かける。


「どうしたんですか?元気なさそうですけど?」


 木村さんがにこにこしながら、俺のところにやってきた。

 するとすーっと、背中が凍るような視線を浴びる。


 いや、マジで怖い。

 男の嫉妬は怖すぎる。

 

 いや女の嫉妬の方が怖いのか。

 いやいや。

 

 そんな馬鹿なことを考える。


「木村さん、ウォッカをロックでください」


 こういうときは飲んでしまうのが一番だと、注文する。


「はいはい」


 木村さんがそう返事して、俺に背を向けると視線が和らいだ。


 はあー怖い。

 まあ、これくらい嫉妬すると、木村さんも安心なのか。


 眞有が撫山にキスした時、自分の惨めな姿を見せたくなくて、堪えた。

 本当はあの時、奴の綺麗な顔を殴り飛ばすなりしたほうが、信じてもらえたかもしれない。


 眞有は泣きそうだった。

 もしかして彼女は俺を好きだったのか。


 だったら、なんで今日、彼女は怒ったんだ?

 

 わからん。


「どうぞ」 


 木村さんがにこりと笑って、グラスを俺の前に置く。


「ありがとうございます」


 俺は霧元さんの刺すような視線を感じながら、グラスを煽る。香りが鼻から入り、俺の思考を震わせる。


「池垣さん、今回はどの方と付き合ってるのですか?」


 ふいにそう聞かれ俺はぎょっとしてグラスを置く。

 木村さんがそういうことを聞いてくるなんて初めてだった。

 

 いや、俺に興味があるの?

 それはないだろう?

 そんなことになったら俺が霧元さんに殺される。


 顔を引きつらせながら、木村さんを見る。すると彼は苦笑した後、言葉を続けた。


「私はあの安田さんって方が気になってて。彼女の会社が近くなので、よく見るんですよ。彼女は気づいていないみたいですけど。いつもなんだか張り詰めているような顔をしてるから。池垣さんが彼女を好きだったらいいなと思ったのですが……」

 

 どうしようか。

 言うべきか。

 いや、言った方がいいだろう。

 霧元さんの誤解も解けるだろうし。


「……俺はその安田が好きです。でも彼女は違うみたいですけど」


 ちょっと子供じみてるなと思いながらもそう答える。

 

 彼女が俺を好きかどうかなんて、まだ確証が持てない。

 ただ、彼女を撫山に渡したくなかった。


「そうなんですね。それはよかった。彼女はきっと池垣さんが好きですよ。見ていたらわかります」

「そ、そうなんですか?」

「そうですよ」


 ふふふと木村さんが笑う。

 それがなんだか弟に言われているみたいな気になり、心が温かくなる。

 

 そうか、眞有は俺が好きなんだ。 

 だったら自信をもってもいい。

 よっし、明日、もう一度告白してやる。


 嬉しくなり、木村さんにお代りを頼む。

 そうして、終電まで飲み続けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ