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短篇集  作者: 猫田たい子
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第48話 AIの添削は整形手術と同じ


 親友が顔の整形手術をすると、スマートフォンから連絡をくれた。

 彼女の顔立ちは私の理想だったので、「どうして?」とすぐに返信した。


「ずっと自分の顔が嫌いだった……」


 手術のために、何年もお金を貯めていたのは知っていた。


 「あなたに整形は必要ない……」と、半日考えた文章を送ろうとした時、もっと良くしたいとAIに添削を頼んだ。


 AIの添削は無駄に言葉が多かった。こんなに冗長になるのかと、簡潔にしてほしいと伝えた。

 すぐに返事がきた。今度は簡潔すぎて、自分なりの言い回しも表現の癖も消えていた。


 そこからAIとのやり取りが始まった。

「ここは残してほしい」

「そこは削ってほしい」

「いや、そういう意味ではない」

 何度説明しても、思い通りの文章にはならなかった。直してもらうたびに苛立ちが募り、次第に疲れてきた。


 やっと納得できる文章が返ってきた。これで終わりだと安堵すると、読み返して気づいた。私が最初に依頼した文章に戻っただけだった。


 AIに呆れながらも、このやり取りは整形手術と同じでは? と思った。


 美しくなりたい。


 少しだけ変われば、今より自信が持てるかもしれないと手術を受ける。でも……手術を終えて鏡をのぞくと、そこにいるのは以前の自分とは違う顔だ。理想に近づいたはずなのに、見慣れた顔が次第に恋しくなる。


 元の顔に戻りたいと願っても、手術前と同じ顔に戻せるとは限らない。


 文章も同じだと思った。もっと良くしたいと思って手を加えるが、何度も直すうちに自分らしさが失われていく。


 整形手術もAIの添削も、始まりは同じなのかもしれない。今の自分より、もっと良くなれるかもしれない。その期待が、今あるものの価値を見えにくくする。


 ――変えなければ、変えた先の自分は分からない。


 だから試してみたくなる。変えてから初めて、変える前の自分の良さに気がつく。


 違うのは、文章なら元に戻せても、顔は簡単には戻せないということだ。


 私は親友に、整形手術をしない方が良いと伝えるメッセージを書き直した。

 今度はAIに頼らず、自分の言葉で伝えた。




2026/10/25

友達に書いた手紙をAI頼って添削したら、時間の無駄だった……。

やっぱり自分の書き方って大切。

整形手術でいつも感じることは、美人さんがしてるってことかな。

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