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短篇集  作者: 猫田たい子
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第47話 パリは三日で飽きる


 パリの街並みは美しかった。


 歴史ある建物、華麗な美術館、石畳の路地。街そのものが一枚の絵画のようだった。


 さすが芸術の都。これには文句のつけようがなかった。


 ただし、人間は別だった。


 英語で道を尋ねても無視される。スマートフォンの翻訳機能を使ってフランス語で尋ねると、違う道を教えられた。


 カフェに入って窓際の席に座ろうとすると、店員に怒鳴られる始末。

 私はただ、コーヒーを飲みながら美しい街並みを眺めたかっただけなのに……。


 メトロではさらに恐ろしいことが起きた。男が私に「ジャップ」と繰り返し、笑いながら追いかけてきたのだ。


 私は逃げた。


 必死に走って逃げ切ると、遠くから男は友人たちと私を指さしてゲラゲラと笑っていた。


 ――何が面白いんだ。


 タクシーでも災難は続いた。

 真っすぐ行く道を、運転手はわざと遠回りした。私はその道をタクシーで何度も通っていたので、正規の料金を知っていた。降りる時に怒鳴り、いつもの金額だけを支払った。

 運転手は文句を言っていたが、それ以上の金は取らなかった。


 街を歩いていると、驚く光景に出くわした。日本の漫画専門店があちこちにあるのだ。

 店内には日本の漫画が並び、フランス人たちが熱心に作品を選んでいた。

 日本の漫画はこんなにも愛されているのか。

 私は嬉しくなったが、すぐに妙な気分になった。


 日本の漫画は好き。

 日本のアニメも好き。


 でも……日本人は嫌い。


 もちろん、親切なフランス人だっているだろう。まだ出会えていないだけかもしれない。限られた経験だけで、全員が日本人を嫌っていると決めつけるのは公平ではない。


 それでも、私のパリでの思い出は苦いものになった。


 ルーブル美術館の名画は素晴らしかった。

 芸術の都。その称号に異論はない。


 ただ、芸術を愛することと人を大切にすることは、どうやら別の才能らしい。


 帰国の日、私は心に誓った。

 もう二度と来るものか。


 パリは三日で飽きる。


 帰国後、私は日本の漫画を読んだ。仲間を思いやり、困っている人に手を差し伸べる登場人物たちがいた。


 フランス人はきっと、自分たちが持っていないものを求めているのだろう。




2026/10/23


SNSであるフランス人が、日本の漫画は好きなのに、日本人を侮辱してるコメントを書きまくっていたので、二十歳の時にパリで経験した私の出来事を書いてみた。


メトロで男に追い駆けられて、ほんまに怖かった。

ほんと、フランス人って日本の漫画めっさ好きやのに、日本人は嫌いっていうか空気みたいに扱う。「えっ、私、空気か?」って事が多々あった。


そんなパリにはもう行きたくない。


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