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2 それはよくあるモノローグ

 おおよそ一週間前。


 小学生の頃買ってもらった戦隊ヒーローもののアナログ式の目覚まし時計のアラームが、自室につんざくように鳴り響く。このジリリリリという音も古くなりつつあるのだろうかと、どこか懐かしさを感じながら起床する。実際は、そんな感傷に浸る余裕などなく二度寝欲の方が強いんだけどな。あと5分だけでも寝ていたいが、そうも言っていられない。渋々と体を起こし時計を確認する。うん、いつも通りの時間だ。それから制服に袖を通し、キッチンに立ちいつものようにエプロンを被る。

 さて、新年度が始まって一週間経ち「新しい時期だから、気持ちを切り替えて何か頑張ろう!」と張り切っていた心持ちが徐々に緩み始め、慣性の法則のごとく元の自分に戻りがちなこの時期。かくして俺も弁当のおかずが作り慣れたもので固定されつつある。だ、だって、いつものなら頭を使わずに作れて楽なんだよ……。


「ま、今日も煮物が艶やかで素晴らしいってことで」


 と、ゆらゆらと具材の揺れる鍋を見つめつつ今の幸せを享受するのは、それはそれで楽しい。……って、いつもこうして見惚れて計算が狂って遅刻しそうになるんだよ! そうセルフツッコミしながら、おかずを手早く二人分弁当に詰め、余ったおかずと白米で朝食を取る。うん、日本人に生まれてよかったと思える旨さだ。


「今日分の弁当だぞ、と」


 テレビの天気予報を確認しつつ、カウンターのメモ帳を一枚引き裂いてもう一人分の弁当の持ち主にさらさらとメモ書きを残す。よし、これで持って行き忘れる確率は減るだろう。

 ボールペンを胸ポケットにしまい、中学から使っているくたびれた鞄を手に取って家を出る。いつもと同じ日常のはじまりだ。


 春が来て通学路に桜が降りしきろうと、草木が芽吹き、単調な色合いだった冬とのコントラストを見せるかのごとくその色彩の鮮やかさを主張しようと、俺の毎日は平坦で相変わらずだ。でも、そんな日々を悪くは思わない。

 時々変わらないことを、退屈だ。つまらない。と言う人間がいる。それを聞くたびに俺は、だからどうした。実に平穏でいいじゃないか。平坦万歳万々歳。と言ってやりたくなる。


 そう、きっとこんな俺はこのまま可もなく不可もない成績で高校を出て、やがては働いて暮らしていく。平凡と言われたって、自分の稼ぎで飯を食って生きていけたら上等だろう。


 ……だが、全く変化がないというのは味気ないという感覚も正直持ち合わせてはいて。ほんの少しだけでも、新しいことがあってもいいかもしれないとは思うんだがな。



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