ヘリオス幕張10
それから一五分後。二人が戻ってきた。そして車に乗るなり太田さんは「ごめんなさい」と申し訳なさそうに頭を下げた。どうやらさっきよりは落ち着いたようだ。
「それはいいけど……。大丈夫?」
「ええ。もう大丈夫……。ただちょっと驚いてしまって……」
太田さんはそう言うと口元に手を当てた。そしてギュッと目を閉じると身震いした。もうワケが分からない。私の話のどこにそこまで動揺する要素があったのだろう?
そうこうしているとさっきまで空気だった澪ちゃんが「マリー。もし良かったら話してくれない?」と口を開いた。普段の澪ちゃんの口調だ。どうやら彼女も平常運転に戻ったらしい。
「ええ……」
太田さんはそれに短く答えた。そして拳を強く握ると意を決したように口を開く。
「鹿島さん。私知ってるんだ。その……。ミクちゃんって子」
「ふぇ? そうなの?」
「うん。中学校のとき塾が同じだったの」
太田さんはそう言うと首を大きく横に振った。そして続ける。
「それでね。中二の一二月までよく遊んでたんだけど……。年が明けたら連絡つかなくなったの……」
太田さんはそこまで話すと水原さんに目配せした。すると水原さんが「ええ」と答える。
「ミクさんの件に関しては私どもの方で調査させていただきました。結果としてはあまり芳しいものではありませんでしたが……」
水原さんはそこで言葉を句切った。そして「現在彼女は消息不明です。ご両親は未だに探しているようですがおそらくもう……」と続けた――。




