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ヘリオス幕張4

 奥寺澪の話③


「簡潔に話すよ」


 少し間を置いて彼女はそう言った。そして「動機は太田まりあへの嫌がらせ。方法はネットを使った恐喝。フジやんがここまでいじめられたのは計算外だったけど……。要は太田まりあをB組で孤立させるために裏工作した。それだけだよ」と言った。あまりにも淡々と。悪びれる様子もなく。まるで機械に質問したときみたいに。


「で? 他に聞きたいことある?」


 私が彼女の物言いに気圧されていると羽田さんは続けざまにそう言った。それに対して私は「ちょ、ちょっと待って」と戸惑いながら返した。いくら何でもキャラクターが変わりすぎだ。まさかここまで猫を被っていたとは思いもしなかった。


「あのさぁ澪。昼休みは短いんだ。推理ごっこ付き合ってあげたんだからもういいでしょ?」


 羽田さんはそう言うとさっき食べた菓子パンのゴミを手に取った。そしてそれをポケットにねじ込むと「はぁああぁ」と盛大なため息を吐いた。そして「前から思ってたけどさ。あんたのそういう正義感丸出しなとこ嫌いだったんだよね」と顔を歪めて笑う。


 それを聞いて私は完全に心が折れてしまった。まさかここまで歪んでいたなんて思いもしなかった……。話せば分かるし改心だってしてくれる。そう思っていたのだ。まぁ……。結果だけ見れば私の目算は大きく外れたわけだけれど。


「ねぇ羽田さん……。マリーが嫌いなのは分かったけどなんでこんなことしたの? 藤岡くんまで巻き込んで……」


 私は項垂れながらもどうにかそれだけ彼女に尋ねた。すると羽田さんは「ああ、それは……」と言ってスマホで時間を確認した。そして「ごめん。もう授業だわ」と続ける。


「澪さぁ。どうせこのことは太田まりあに言うんでしょ? だからもういいよ。どっちにしたって……。そろそろ潮時だったしね」


「羽田さん……」


「ま、どうしても話聞きたいなら今夜ヘリオスでオフ会だから来なよ。タイミング見て抜け出すからさ」


 羽田さんはそう言うとゆっくりと屋上の扉へ向かった。そして「どうせだから香澄も連れてきて」と言った――。

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