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東亰PRISON  作者: 天野地人
《新八洲特区》動乱編Ⅱ
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第10話 反客為主①

 しかし、瀬戸島(せとじま)(がく)は真っ向からそれに反論する。


「忍がこのまま戻らなければ、幹部会の席が一つ空席のままになる。組の若手から誰かを引き上げるとなりゃあ、実績を考えても序列を考えても、それに相応しい人物は京極しかいません。どうでしょう、親父。この際、京極と会っちゃもらえませんか?」


 組長はどう判断するのか。みな固唾を呑んで下桜井(しもさくらい)(ぜん)を見守った。蝉は腕組みをしたまま黙して目を閉じている。


 越智(おち)太獅(たいし)は苦虫を噛み潰したような顔をして瀬戸島(せとじま)(がく)を睨みつけた。


「……瀬戸島、いくら何でも話を急ぎすぎだ! まさか、忍が姿をくらましたのを機に、一気に主導権を握ろうって腹じゃねえだろうな!?」


 瀬戸島嶽もまた、負けじと越智太獅を睨み返す。


「俺はただ、組のために発言しているだけだ! 越智、おめえこそ、やけに忍の肩を持つな? ひょっとしてお前、奴が今どこで何をしているか知ってやがるんじゃ……」


「何だと、そりゃ一体どいうことだ!?」


「どうもこうも、言葉の通りだ! 越智よ、おめえ、親父から大型観光開発を任せられたからって、少々、図に乗りすぎてんじゃねえか!?」


「瀬戸島ッ……この野郎! もう一遍言ってみろ、ああ!?」


 俄かに空気が張り詰めた。越智太獅も瀬戸島嶽も、互いに一歩も譲る気配がない。


 一瞬触発かと思われた、その時。


 下桜井蝉の腹に響くような重い声が部屋の中に響き渡る。


 まるで二人の睨み合いを制するかのように。


「二人とも、諍いはよせ。俺がこの世で何を最も嫌っているか、忘れたか?」


 下桜井蝉は何より内輪揉めや身内の足の引っ張り合いを嫌う。下桜井組の者なら誰もが知る事実だ。越智太獅と瀬戸島嶽はハッとし、慌てて(こうべ)を垂れた。


「親父……申し訳ねえ」


「すみません、親父。つい……!」


「……嶽、その京極って奴ぁ、今ここに来てるのか?」


 下桜井蝉は静かに目を開き、瀬戸島嶽に尋ねた。


「……! はい、親父」


「信頼できる奴なんだな?」


「そいつは俺が保証します!」


「よし、会おう」


「親父……! ありがとうござます!!」


 瀬戸島嶽は喜色を浮かべ、深々と頭を下げる。


「俺たちは何としてでも、例の《ノヴス・オルド》社との大型観光開発を成功させなけりゃならねえ。そのためにも、今は人手が必要だ」


 下桜井蝉の言葉はもっともだった。


 逢坂忍に何があったのか、今のところは分からない。だが、そのために観光開発を止めるのは適切ではない。他の幹部たちもみな納得の表情を浮かべた。


 越智も渋々それを受け入れる。どのみち、それが組長の判断であるなら従う他ない。


「京極、入れ」


 瀬戸島嶽が部屋の入口に向かって呼びかけると、襖が音もなく開いた。そしてその向こうに、正座をした一人の青年が姿を現す。


「……失礼いたします」


 京極(きょうごく)鷹臣(たかおみ)は一礼したのちに入室すると襖を閉め、再び幹部たちや下桜井蝉に向かい合う。


 美しい所作で、もちろん敷居を踏んづけたりはしない。濃いネイビーのスーツは、決して派手ではないが上品で、その端正な顔立ちやスマートな体つきも相まってまるでファッションモデルか何かのように見える。荒くれ者だらけの《アラハバキ》にはいなかったタイプだ。


 他の幹部たちはその眉目秀麗な姿に戸惑い、どよめいた。


「こいつが京極(きょうごく)鷹臣(たかおみ)か……!? えらく優男だな」


「《アラハバキ》の構成員ってのは、男の中の男じゃなきゃ務まらねえ。こんなひょろりとした女顔が、本当に組の荒くれ者どもをまとめられるのか!?」


「へっ、つーかこいつ本当に男か? 玉ァついてるんだろうな?」


 下桜井組幹部たちは、あまり京極を歓迎していない様子だった。泥臭い競争社会を戦い抜いてきた彼らにしてみれば、京極のような『キレイなお人形さん』はとても同じ世界の人間とは思えないのだ。


 ただでさえ排他的で若者嫌いの中高年が多く、当然、京極のことも会話をするに足る相手だとすら見なしていない。


 しかし京極は、そういった敵意に全く臆する様子もなく、畳に両手をつき凛とした声音で挨拶の言葉を述べた。


「お初にお目にかかります。先ほど紹介にあずかりました京極鷹臣です。お見知りおきのほど、よろしくお願いいたします」


 下桜井蝉は腕組みをしたまま、じろりと京極を睨みつけた。信用のおける人間かどうか、じっくりと品定めをするかのように。


 やがて京極が顔を上げると、下桜井蝉は注意深く声をかける。


「……。お前が京極か。話は聞いている。賭場の方ではうまくやっているようだな。忍の行方について、何か心当たりはないか?」


「すみません、俺にはさっぱり……。逢坂さんは最近、弟分の俺とも連絡を断っていました。ひょっとしたら何か悩みがあったのかもしれません。弟分として力になれなかったことが悔やまれるばかりです」


 京極は、自分としてもとても心を痛めているのだと言わんばかりの顔をしてそう答えた。


 しかし、下桜井蝉は厳めしい顔を緩めることなく、更に質問を重ねる。


「忍が妙な動きをしているのを知っていたそうだな。その動きとは何だ?」


「そ……それは……」


「はっきり言え! 忍に何があった!?」


 他の幹部が言い淀んだ京極を一喝する。京極はなおも躊躇した素振りを見せていたが、とうとう決心を固めたらしく、すっと目を細めて口を開いた。


「逢坂さんは、一人で密かに《死刑執行人(リーパー)》と会っていました。しかもあの、東雲探偵事務所の《死刑執行人(リーパー)》と」


「何!? その言葉、裏付けはちゃんと取れているんだろうな!? 法螺(ホラ)だったらただじゃおかねえぞ!!」


「もちろん裏付けは取れています。この映像がその証拠です」


 京極は自らの腕輪型端末を用いて、みなに見えるように映像を浮かび上がらせた。


 そこには深雪と話し込む逢坂の姿が映っていた。


 《彼岸桜》の《リスト執行》を解消してもらおうと、逢坂が東雲探偵事務所へ乗り込んだ時の動画だ。


 ただ、カメラのポジションやアングルが絶妙で、音声も入っていないので、一見すると二人が親しげに話し込んでいるかのようだった。


 下桜井組幹部たちは眉間にしわを寄せ、互いに意見を交わし合った。


「こいつは……!」


「あそこにいるのは忍だな。あいつ、どこで何をしてやがる?」


「誰か一緒にいるな。忍が話し込んでいる相手は何者だ?」


 すると、幹部の一人が何かを思い出したかのように目を見開き、大声を出す。


「あ……あいつは、次期・《中立地帯の死神》だ! 一時期、話題になったんで、よく覚えている! 間違いねえ!!」


 その直後。


 今度は、逢坂が深雪にがばっと土下座をした。


 それもこれも全て《彼岸桜》を助け出すため、逢坂はやむを得ず深雪に頭を下げたのだ。だが、音声がないので幹部たちには全く事情が分からない。


 ただ、《アラハバキ》構成員が《死刑執行人(リーパー)》にひれ伏したという事実は、彼らにとって何があろうと許し難いことだった。


 《アラハバキ》にとって、《死刑執行人(リーパー)》は天敵とも言うべき存在だからだ。


「忍……あいつ、何してやがる!?」


「《死刑執行人(リーパー)》に向かって土下座だと!? 自分が何をしているか、分かってやってんのか!?」


 部屋は騒然となった。誰もが怒りに打ち震え、口角泡を飛ばす。


「忍の奴、まさか組を裏切ってやがったのか!」


「しかも相手はあの《死神》だと!? 親父の許可も得ず、こそこそと……とても許される事じゃねえぞ!!」


「これが事実なら、破門相当のやらかしだ!!」


 幹部たちの怒りはなかなか収まらない。


 このままでは収拾がつかなくなるかと思われた、その時。下桜井蝉が大きく溜息をついた。


 それにより、場は一瞬にして静まり返る。


 室内が水を打ったような静寂に包まれる中、下桜井蝉は重々しく口を開いた。


「何があったのか、まずは忍の言い分を聞く。そして事と次第によっちゃ、きっちりケジメをつけさせなけりゃならねえ。……お前ら、手分けして忍の行方を探せ! そして必ずあいつを俺の前に連れてこい!!」


「はい!」


「分かりました! 任せてください、親父!!」


 幹部たちは口々に返事をした。それから下桜井蝉は京極へ視線を向ける。


「……鷹臣(たかおみ)、お前に二代目桜龍(おうりゅう)会の管理を任せる。これ以上、組の綻びが広がらないよう、しっかり励めよ」


「はい、分かりました。ご期待に沿えるよう、力を尽くします」


 京極は恭しく(こうべ)を垂れた。東雲の《死刑執行人(リーパー)》と秘密裏に接触していたという事実がある以上、逢坂忍に二代目桜龍会を任せるわけにはいかない。下桜井蝉はそう判断したのだ。


 それを察し、越智はがくりと肩を落とす。


 未だに先ほどの映像が信じられない。他の幹部たちほどではないが、彼としてもまた、逢坂に裏切られた心地だった。


「忍……!!」


 一体、逢坂に何があったのか。


 何故、連絡がないのか。


 あれだけ忠告したのに、なぜ危険を冒してまで東雲探偵事務所へ行ってしまったのか。


 煩悶する越智に対し、瀬戸島はニヤリと嘲笑交じりの笑みを浮かべる。


「ふ……随分と人を見る目が曇っちまったものだな、越智」


「瀬戸島……お前、何を企んでやがる……!?」


「『企む』とは人聞きが悪いな、越智よ。俺はただ、組のことを考えて動いているだけだぜ? お前の方はどうなんだ、越智? この期に及んでまだ忍のことを信じるつもりか? 俺には、それが組のためになるとは思えんがなあ」


「く……!」


 越智は歯噛みをした。


 下桜井組には若頭がいない。組長である下桜井蝉は組内でいざこざが生じるのを嫌い、敢えて若頭を据えて来なかった。


 だが、いつまでもそのままというわけにはいかない。それもあり、つい最近、大型観光開発に最も貢献した者が若頭になるという旨の発表があったばかりだった。


 今のところ、その座に最も近いのは越智(おち)太獅(たいし)だ。


 だが、競争はまだ始まったばかり。越智に次ぐ実力者である瀬戸島(せとじま)(がく)にも、その可能性は十分に残されている。


 特に逢坂の弁明内容と京極の働き次第では、瀬戸島が若頭の座に大手をかけるかもしれない。越智の心境が穏やかであろうはずがなかった。


 瀬戸島は拳を握り締める越智を見て薄笑いを浮かべる。


 瀬戸島嶽は大病を患ったこともあり、ここ数年は身動きが取れず、煮え湯を呑まされ続けてきた。それがここにきて、一気に形勢を逆転させることができたのだ。


 これ以上もなく愉快痛快だった。


 ひとしきり優越感を味わったあと、瀬戸島は笑みを引っ込め京極へ視線を向ける。京極も素早くそれを察し、小さく頷いた。


 後は全て自分に任せてくれ、と。  


 幹部会で京極が当面、二代目桜龍会を管理することが決定すると、それはただちに下桜井組の系列組織全体に通達された。


 しかし、二代目桜龍会の構成員たちは、それに強く反発する姿勢を見せた。彼らはみな逢坂忍を心から慕っており、自分たちの(かしら)は逢坂しかいないと思っているからだ。


 いくら京極が逢坂の弟分とはいえ、手放しで歓迎するはずもなかった。


 京極も事前にそれを予見してか、《エスペランサ》の屈強なスタッフを十数人引き連れ、二代目桜龍会の事務所へと乗り込む。


 二代目桜龍会の面々はぐるりと京極やその手下たちを取り囲み、凄みを利かせるのだった。


「おう、自分の代紋(くみ)も持っていない木っ端組員が、ここへ何しに来やがった!? ゴラァァッ!!」


「二代目桜龍会は逢坂さんの組だ! 他の誰が認めようとも、俺たちは逢坂さん以外の人間を組長と認めるつもりはねえ!! とっとと出ていけや、三下どもが!!」


「それでも、あくまでここに居座るってんなら、それ相応の覚悟をしてもらうことになるぞ!!」


 二代目桜龍会の面々はこれでもかと殺気立つ。


 彼らの実力は《彼岸桜》には及ばないものの、みな鍛え抜かれた『兵隊』ばかりだ。


 その中心に立つのは、二代目桜龍会若頭の須賀(すが)黒鉄(くろがね)だった。彼の手には特徴的なフォルムをした拳銃(ハンドガン)が握られている。


「京極、これが我々の意思だ。二代目桜龍会はお前の力を必要としていない。速やかに立ち去るのがお前とお前の部下のためだ」


 冷ややかな眼差しで忠告をする須賀黒鉄に対し、京極は営業スタッフかと見まがうほど爽やかな笑顔を浮かべる。


「久しぶりですね、須賀さん」


「……随分と出世したものだな。まさかお前が育ててもらった逢坂さんを裏切って、瀬戸島につくとは思いもしなかったぞ」


 須賀の瞳には嫌悪と侮蔑が激しく渦巻いており、今にも爆発しそうだった。京極は薄く笑ってそれをあしらう。


「それは誤解ですよ、須賀さん。俺はただ、下桜井組のためを考えて動いたまでです」


「何を……よくもそんな詭弁を堂々と口にできたものだな!! 所詮、己の出世のためだろう、この恥知らずが!!」


 よほど腹の虫が収まらないのか、須賀はいつになく激しく憤り、強い口調で京極を罵る。しかし京極は、何食わぬ顔をして両手を広げるのだった。


「勘違いしないでもらいたいのですが、俺たちは決してあなた達二代目桜龍会を力ずくで支配しようというわけではない。感情的な対立はやめ、話し合いませんか?」


「ふざけるな!! 何度でも言うが、この二代目桜龍会は逢坂さんの組だ! 逢坂さんが戻るまで、この組は俺たちが守り通す!! うす汚い恩知らずめ、義理を欠いた畜生は即刻ここを立ち去るがいい!!」


「……冷静になってください、須賀さん。らしくないですよ。俺は下桜井組本家の命令でこの場にいるのです」


「それがどうした!? あくまでこの場に留まるというなら、こちらは実力行使に出るまでだ!!」


 須賀の怒声と共に、二代目桜龍会の構成員たちは更に殺気を増した。拳を構え、日本刀を鞘から抜く。明確なる戦闘態勢だ。京極の手下たちもそれに合わせて警戒の姿勢を取る。


「……京極さん」


 《エスペランサ》の中でも実力者と見られる若者が、京極を守ろうと前に進み出た。


「大丈夫だ。みな、下がっていてくれ」


 京極は微塵も表情を崩さず、自ら二代目桜龍会へと歩み出る。


 すわ衝突か。両陣営のみなが身構えた。


 しかし京極はただ一人、その場に不釣り合いなほど優美な笑顔を浮かべている。そして、そのよく通る美声を張り、須賀以外の二代目桜龍会構成員に向かって語りかけた。


 同時に彼の目には眩いばかりの赤光が宿る。


 《ヴァニタス》のアニムスを発動させたのだ。


「みな、長く待たせたな。今日この日、ようやくお前たちを迎えに来ることができた。これからは共に明るい未来を切り拓いていこう。……俺たちはこの腐った街を変革する。そのためにも、みな我が覇道を支えてくれ」


 須賀黒鉄は呆気に取られてその様を眺めた。


「……? 京極、お前何を言って……!?」


 急に何を言い出すんだ。気でも触れたか。


 須賀は訝しげに眉根を寄せた。彼には京極の魂胆がさっぱり分からない。


 しかし、他の二代目桜龍会構成員は様子を一変させる。


 みな一斉に武装を解くと、口々に感激の言葉を発し始めたのだ。


「き……京極さん……!」


「ようやくその時が来たんですね……!? ああ、この日をどれだけ待ち詫びたことか……!!」


「俺たちゃあ、みんなあんたの動かす駒だ。その覚悟はとうにできている。みな、あんたの道具になることに無上の喜びを感じているんだからな……! あんたが望むように俺たちを使ってくれ!!」


「そうだ、俺たちの(かしら)は京極さんをおいて他にはいない! 故に二代目桜龍会の組長になる人物もまた、京極さん以外には考えられない!!」


「京極さん……!」


「京極さん!!」


「俺たちに明るい未来へと進む、その道筋を示してくれ……!!」


「俺たちは、あなたのためならこの命すら惜しくはない!!」


 他の二代目桜龍会構成員らはみな恍惚とし、完全に京極を崇め、彼の思想に心酔していた。中には京極の足元にひれ伏したり、両手を合わせて感涙に(むせ)ぶ者まで現れる。


 須賀はその光景を目の当たりにし、まるで宗教画のようだと思った。


 神仏と、それを信仰する人々の集団。或いは、教祖とそれを崇める信者たちの図だ。


 須賀は慌てて二代目桜龍会の仲間たちを引き止めた。


「な……何を言うんだ、石田! 三浦!! お前たちまで逢坂さんを裏切るのか!? 逢坂さんと盃を交わしたことを忘れたか!!」


 すると、他の二代目桜龍会構成員は揃って須賀の方を振り返った。


 ところが、先ほど京極を崇拝していた時とは一転して、彼らの顔からはすっぽりと表情が抜け落ちている。まるで魂までどこかに落っことしてきたかのように虚ろだった。


「逢……坂……?」


「逢坂って誰です、須賀さん?」


「そんな人の名は聞いたこともありませんが?」


 全く見知らぬ者の名を耳にした時のような、冷淡で素っ気ない反応だった。そこにも思い入れも親しみも、全く感じられない。


 背筋が寒くなるほどに。


「何……だと!?」


 二代目桜龍会の構成員たちは嘘を言っているわけではないようだった。おそらく、彼らは本当に逢坂忍のことを忘れてしまったのだ。


 須賀の全身を戦慄が駆け抜け、顔から血の気が引いていく。


 一体、何が起こっているのか。


 皆目見当もつかなかったが、京極の発動させた何かしらのアニムスが原因であるのだけは間違いない。


 須賀は顔を歪め、京極に詰め寄った。


「京極、貴様! 二代目桜龍会の仲間に何をした!?」


「大したことはしていない。俺はただ、みなが心の奥底で望んでいたことを顕在化させてやっただけだ」


 須賀は怒りで肩を震わせながら、右手に握ったニードルガンの銃口を京極へ突きつける。


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