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東亰PRISON  作者: 天野地人
《新八洲特区》胎動編
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第67話 椎奈青葉

 みなが何て酷い事をするんだと憤ったが、さりとて《アラハバキ》の報復は怖い。


 命が惜しければ大人しく泣き寝入りをするしかなかった。


 だが、椎奈はそうしなかった。


 それどころかその《アラハバキ》構成員を襲い、自らのアニムスで殺害した。メグがされたように、体中のあちこちを徹底的に刺し貫いて。


 メグの仇討ちだった。その襲撃現場が逢坂の(シマ)だったのだ。


 椎奈は逢坂の部下らによってたちどころに捕らえられ、事情を問い詰められる事となる。


 その際、椎奈は始めて逢坂と話した。屈強な構成員にぐるりと取り囲まれ、椎奈はその中心で正座をさせられた。逢坂は椎奈に歩み寄って来ると、僅かに目を見開いた。


「ほう……《アラハバキ》の者に喧嘩を売るとは、どんな肝の座った奴かと楽しみにしていたが、まさか女だったとはな」


「……」


「何故、殺した?」


「そいつが私の友だちを殺したからだ!」


 椎奈は力いっぱい逢坂を睨み付ける。


 椎奈は当時、逢坂がどういう立場のどういう人間か全く知らなかった。だが、その時の逢坂は見るからに立派な格好をして大勢の部下を引き連れており、相当な実力者だという事は言われずとも分かった。


 片や椎奈は無名の風俗嬢、一張羅のキャバドレスはあちこちが破れ、返り血にまみれていた。


 彼と椎奈ではあまりにも住む世界が違いすぎる。とても敵う相手ではない。それは察していたが、絶対に屈服したくなかった。殺されたメグの名誉のために、屈するわけにはいかなかった。


「先日、死んだ風俗嬢か。つまりこれは復讐ってわけだな。だが、《アラハバキ》の構成員に手を出せばどうなるか知らないわけじゃないだろう?」


 逢坂はじろりと椎奈の瞳を覗き込んだ。まるで何もかも見通すかのような鋭い目。


「それがどうした!?」


 再び椎奈は怒鳴る。その態度にムッとした逢坂の部下が睨み付けてきたので、負けてたまるかと椎奈も睨み返す。だがそれに構わず、逢坂は静かに尋ねた。


「怖くはないのか? 友達とはいえ、所詮は他人だろうが? そいつのために何故そこまで命を張る?」


「そんなの決まってる! お前は大切な友人が不当に殺されたら、黙っているのか? 指を咥えてただ眺めているのか!?」


「……。いいや、俺だったら戦うな。そして、せめて仇を取ってやる」


「そうだろう、私たちだって同じだ!! ……女は復讐しないと誰が決めた!? 不条理な暴力に晒されても敵討ちもできず、泣き寝入りするだけだと誰が決めた!? 侮るな!! 私たちにだって仲間を殺された怒りはある!! 理不尽には徹底的に戦う!!」


「それで自分が死ぬことになってもか?」


「そうだ! この身が尽きようとも、友のため仲間のため、戦い抜いてやる!!」


 椎奈は洗いざらいぶちまけた。どうせ男なんてみな暴力的で自己中心的で、普段は威張り散らすくせにいざとなったら責任逃れをして保身に走る。そんな卑怯で意気地のない奴らなんだと腹を立てながら。


 しかし逢坂は椎奈を痛めつけることなく、むしろ不当な暴力に立ち向かったその勇気を誉めた。


「ははは! お前、面白い奴だな!! それだけ威勢のいい啖呵をきれる奴は男でも滅多にいねえ!! どうだ、俺の元へ来ないか?」


「そんなのはゴメンだ! 辱められるくらいなら、自ら死を選ぶ!!」


「ああ、そういう意味じゃねえ。俺が欲しいのはお前の戦力だ。正式な《アラハバキ》構成員となって俺の下で働かねえかと言ってるんだ」


 自分が《アラハバキ》の構成員に。思いもしない提案に、椎奈は目を瞬く。


「……!? 《アラハバキ》に……? で、でも、私は女だぞ……!?」


「何だよ、さっきてめえで言ったんじゃねえか。お前も俺たちと同じだと。それとも、男だらけの世界じゃ不安か? 急にびびって不安になっちまったか?」


「そんなことはない!!」


「よし、それじゃ決まりだな!」 


 あの時の逢坂の、心から嬉しそうな笑顔が今も忘れられない。威嚇でなければ侮蔑でもない、下品でも卑猥でもない。人が人に向けるごく自然な笑み。


 それを見て椎奈は逢坂に興味を持った。まだ半信半疑ではあったものの、心のどこかでこの人の(あと)について行ってみるのも悪くないかもしれないと思った。


 逢坂が周到に根回しをしてくれたおかげで、椎奈は例の《アラハバキ》構成員殺害の責を問われることはなかった。


 そもそも例の《アラハバキ》構成員は普段から問題行動が多かったらしい。何より兄分や親分の命令を聞かないので《アラハバキ》の中ですら鼻つまみ者だったという。いくら闇組織とはいえ、《アラハバキ》には《アラハバキ》の(ルール)がある。それを守れぬ者が組織に受け入れられるはずもなかった。


 ともかく、そうして椎奈は逢坂の下で働くことになる。


 ほどなくして当初はわずかに残っていた半信半疑の感情もすぐに消え去った。それどころか椎奈は、逢坂と出会ったことで自らの人生が大きく好転したことを知る。 


 逢坂は性別を理由に依怙贔屓をしたり逆に軽んじたりすることはなかった。また、彼の周りには信頼のおける部下が集まっており、椎奈を女だからと馬鹿にしたり虐げたりすることも無かった。


 持ち前の気の強さと、アニムス・《フェイルノート》で手柄を立て、序列を上げるようになると、誰も椎奈に対し侮った態度を取ることはなくなった。


 椎奈がこの街に来て初めて認められた瞬間だった。己の実力で、『居場所』を掴み取ったのだ。


 逢坂は部下としての椎奈を大槻や細谷、高瀬と同格として扱ってくれる。その努力と実力が認められ、桜龍会会長直属護衛隊・《彼岸桜》にも選ばれた。


 もっとも、《彼岸桜》であり続けることは決して楽ではないし、乗り越えなければならないハードルは高い。それでもやり甲斐に溢れていた。


 椎奈はいつしか逢坂に全幅の信頼を置くようになっていた。そして自分もまた逢坂や大槻ら仲間からの信頼を得ているという実感があった。男性とか女性とか、そういう違いを超え一人の人間として頼りにされていると。


 それだけに高瀬からの特別扱いは辛い。そこに在るのが善意だと理解していても。だが、椎奈はその気持ちをぐっと堪える。


(不平不満を口にするのは簡単だ。だがそれでは、何も手に入れられはしない。自分の価値は実際の働きをもって証明しなければ……!!)


 《アラハバキ》構成員となった椎奈はいつだってそうしてきた。自分の可能性は自分自身の手で切り拓いてきたし、与えられるのを待つのではなく自ら勝ち取ってきた。


 苦難の多い道のりだったが、後悔は全くない。何せ《アラハバキ》に入る前はそのチャンスすら与えられなかったのだから。


 だが今は違う。逢坂が椎奈の世界を変えてくれた。機会を与えてくれ、頑張れと背中を押してくれた。彼が椎奈を見出してくれなかったら、いま椎奈が手にしているものはどれも触れる事さえできなかっただろう。


 そしてついには後輩までできた。といっても、たった一歳違いの実に生意気な後輩だが。


 ふとその後輩、杉原迅太の顔が思い浮かぶ。


 杉原は年齢的にもちょうど伸び盛りだ。序列もぐんぐん上がっている。いずれは椎名の序列を越すだろう。


 これが他の奴だったら絶対に許せなかったに違いない。だが杉原に対しては、嫉妬も敵愾心も感じなかった。むしろ内心では嬉しく誇らしかった。


 口では何と言おうとも、同じ《彼岸桜》の一員として応援していた。椎奈がこれまでみなにしてもらったことを、杉原にもしてやりたいと考えたのだ。


(……そうだ、こんなことで落ち込んでいては、あいつに合わせる顔がない!)


 たとえ杉原の序列が椎奈のそれを上回る日が来たとしても、先輩として胸を張って隣に立っていたかった。追いつかれ、追い越されたからといって自分自身を恥じたくない。ましてや、自分のプライドのために杉原の未来を潰すような真似だけは絶対にしたくない。


 いつまでも、《彼岸桜》として切磋琢磨し合いたい。そうすれば、より長く共にいられる気がしたから。


 ようやく息も整ってきた。それを察したのか、高瀬が声をかけてくる。


「……椎奈、まだ走れるか?」


「はい、いけます!」


 しかし、移動を再開しようとしたその矢先、二人の背後から不気味な咆哮が轟いた。椎奈と高瀬が逃げてきた方角からだ。


 この世の生物のものとは思えない、耳を塞ぎたくなるほどのおぞましい叫び声。


 高瀬と椎奈はぎくりと体を強張らせる。間違いない、噂に聞く不動王奈落のアニムス、《ジ・アビス》だ。


 東雲探偵事務所の《死刑執行人(リーパー)》はみな人並外れた強大なアニムスを持つ。その中でも屈指の殺傷力を誇る《ジ・アビス》は、異形の怪物を操る珍しいアニムスとして知られている。 


「高瀬さん……!!」


「来たな、《死刑執行人(リーパー)》め!」


 椎奈たちは崩れかかったビルの土台に身を隠していたが、すぐにそこを離れることにした。


 規則的に並んだコンクリートの塊の更に奥へ回り込むと、ちょうど開けた空間が広がっている。どうやら且つてこの辺りには大きな道路があったらしい。あちこちに平らなアスファルトが顔を覗かせている。


 周囲には瓦礫の山が積み重なっている部分もあるにはあるが、他よりは随分と足場の状態が良い。戦闘するにはまさにうってつけだ。


 高瀬もそう判断したのだろう。背中に装備した太刀の柄に手をかけると、先ほど耳をつんざくような咆哮が聞こえてきた方角を振り返って睨み付け、椎奈に向かって叫んだ。


「ここで迎え撃つぞ! 椎奈、援護を頼む!!」


 高瀬は一気に太刀を抜き放ち、その大振りの刀を両手で構える。


「了解です!」 


 一方、椎奈は高瀬の後方へ回った。瓦礫の山を登り高い位置に陣取ると、邪魔な廃棄物を蹴り飛ばして足場を固める。


 それから椎奈はアニムス・《フェイルノート》を発動させた。アニムスで生み出した弓に、アニムスで生み出した矢をつがえ、獲物が姿を現すのをじっと待つ。


 《フェイルノート》の特徴は、術者である椎奈の狙った場所を確実に射貫くことができるという点だ。命中率は常に百パーセント。また、アニムスできた矢には、通常弾の他にもさまざまな種類があり、それらを使い分けることで多種多様な形態の攻撃が可能となる。


 ただし、《フェイルノート》は弓矢というその特性ゆえに、待ち伏せや奇襲などには大きな役割を果たすが、一対一の戦闘には不向きだ。そのため、よほどの条件でなければ一騎打ちはできるだけ避け、他の《彼岸桜》の支援(サポート)役に回るのが常だった。


(本当は、杉原の援護に回ってやりたかったが……)


 だが突如、《レギオン》の襲撃を受け、おまけにあたりは漆黒をした闇の中。とにかく逃げ切るのに精いっぱいで、とても相手を選んでいる余裕は無かった。気づけば椎奈は、高瀬と行動を共にしていた。


(いや、雑念に取り付かれている場合ではない。高瀬さんをしっかり支援しなければ!)


 椎奈の眼下では高瀬が太刀を構え、周囲を警戒している。その後ろで椎奈もまた矢をつがえ、注意深く敵の気配を探る。


 その刹那、再び異様な咆哮が聞こえてきた。鼓膜を突き破らんばかりの凄まじい大音量。びりびりと大気が振動する。


 辺りは一面、濃い闇に包まれており、未だ相手の姿は見えない。だが、先ほどよりは確実に近づいてきている。


(くそ、敵はどこにいるんだ……!? このままでは《フェイルノート》の効果が十分に発揮できない!)


 椎奈のアニムスは強力であるが、ひとつ弱点もある。この《フェイルノート》が有効に作用するのは、椎奈が視認した範囲内のみ。つまり、確実に敵を射抜くためには、敵の姿を椎奈自身が目視しなければならないのだ。


 今のように敵が闇に潜んでいると、仕留めるのは難しい。


(ふん……こそこそと暗闇にまぎれるとは卑怯な! その姿、炙り出してくれる!!)


 椎奈は弓につがえた矢の先端を上空へ向けつつ、高瀬に向かって叫んだ。


「高瀬さん、敵を炙り出します! 上空に気を付けてください!」


「うむ、頼む!!」


 そして椎奈は矢を放った。


 《フェイルノート》の矢は五種類に分かれる。一つは通常弾。これはその名の通り、通常の矢とほぼ同じ性質を持つ。破壊力には少々劣るものの、同時に複数発射したり散発したりと応用を利かせやすいので、椎奈が最もよく使用する形態の矢だ。


 そして今、椎奈が放ったのは空中炸裂弾だった。空高くに放った矢は大きく弧を描き、下降し始めたところで空中炸裂する。そして高瀬の前方、あたり一帯を明るく照らし出した。椎奈は空中炸裂弾を照明弾の代わりにしたのだ。


 すると闇の向こうで何か黒い影のようなものが素早く動くのが見えた。


(はっきりと姿を確認できたわけではない……だが、間違いなくそこにいる!!)


 椎奈は同様にして、立て続けに二発、三発と空中炸裂弾を放った。しかし相手も警戒したのか、今度はなかなかその姿を捕らえることができない。椎奈の放った矢は、ただ周辺に散乱する瓦礫を一掃するだけだ。


「ふん……さすがにそう簡単にはいかないか。それなら。これはどうだ!?」


 次に椎奈が放ったのは、三種類目の矢・榴弾(りゅうだん)だ。着弾時に爆発する仕様になっており、非常に大きな破壊力を持つ。


 椎奈はそれを暗がりに向かって何本も放った。あまり近くに着弾させると高瀬を巻き添えにしてしまうので、そうならないよう細心の注意を払う。


 矢は次々と瓦礫に突き刺さると、同時に大きく爆発する。その際に発生した爆炎によって、空中炸裂弾よりさらに広範囲が照らされた。


 さすがにそれは避けきれなかったのか、再び何かが闇の奥を掠めた。椎奈から見て右手の方向だ。


「そこか!!」


 高瀬もそれに気づいたらしい。太刀を構え、ここぞとばかりに敵を追いかけていく。


 高瀬は体が大きいがそれに似合わず動きは俊敏だ。一気に目標までの距離を詰めると、勢いよく太刀を振り下ろした。


 一撃では仕留められなかったようだが、何らかの手ごたえはあったらしい。更に《死刑執行人(リーパー)》を追っていく。


 椎奈も後に続こうと、高瀬の後を追いかける。


 しかし、瓦礫の山を滑り降りるその途中、ふと足を止めた。高瀬が向かった方向とは反対側、椎奈から見て左手側に何かの強烈な気配を感じた。


(何だ……? 何かいる……!!)


 気づいた椎奈はすぐに行動を起こした。


 気配を感じた方角へ静かに矢を放つ。四つ目の矢、時限(じげん)榴弾(りゅうだん)だ。着弾してから一定時間の後に爆発する、特殊な矢だった。


 時限榴弾は弧を描き、左手の奥、辛うじて椎奈の視線が届く暗がりにある瓦礫の塊にすとっと刺さる。数秒後、狙い通り矢は爆発を起こした。しかも瓦礫の中にたまたま可燃性のものが含まれていたらしく、次々とそれに引火し爆発は巨大な炎と化す。


 その噴きあがる強大な炎塊がとうとう、敵の姿をくっきりと浮かび上がらせた。


「ギュゴウゥ、ギャギィッ! ガアア!!」


 それは異様な姿だった。


 大きさは馬ほどもあるだろうか。曲がりくねった長い胴体と、その脇からびっしりと生える無数の足。一見すると巨大な蜈蚣(むかで)に似ているが、頭部には五本の大きな鎌が備わっている。まるで凶悪な巨人が手の平を広げたようだ。


 いかにも甲虫らしい節くれだった黒い体には無数の眼球が浮かび上がり、一斉に椎奈の方を凝視していた。


 大きさはともかく、この世の生物とは思えない醜悪でおぞましい異形の姿。炎を警戒してか、こちらへやって来ることがないのが唯一の救いだった。


「こ……こいつが《死刑執行人(リーパー)》……!? こんなグロテスクで、吐き気さえ催す化け物が!?」


 椎奈は息を呑む。これは一体何なのだ。何なのだ、この怪物は。


 生物か、いやこのような生き物など見たことがない。あまりにもグロテスクで、直視すら憚られる。昆虫ごときで悲鳴を上げたりはしない椎奈も、全身にぞくりと鳥肌が立った。


 《ジ・アビス》が醜怪なる化け物を操る能力であることは噂で知っていたが、これほどまでとは。


 だが、椎奈はすぐに気持ちを切り替えた。見た目のおどろおどろしさに怯んでなるものか。せっかく相手の姿を暴き出したのだ。このチャンスを(どぶ)に捨てるような真似は絶対にできない。確実に仕留めなければ。


(ともかく、あれが不動王奈落の《ジ・アビス》によるものなら……あの化け物を仕留めれば敵は無力化するはず!!)


 椎奈は化け物に向かって素早くつがえた矢を放った。五つ目の矢、貫通弾。基本的な特徴は通常弾と同じだが、連続発射や散発ができない代わりに一発一発の威力が大きい。この貫通弾を食らって生きていたものは、これまで皆無だ。


 そしてそれは確かに怪物の腹に命中した。怪物は矢を受けた衝撃で仰向けにひっくり返ると、苦しげにのたうち回る。


「よし、仕留めたぞ!!」


 椎奈は声を弾ませ、瓦礫の山を滑り降りる。化け物が悶え苦しんでいるところを見ても、相手に深刻なダメージを負わせているのは明らかだった。


 この百足(むかで)野郎め、完全に見掛け倒しだったか。


 そして、とどめを刺すため怪物に向かって駆け出した――その時だった。


 突然、椎奈は背後から黒い皮手袋を嵌めた手で口を塞がれた。


 そして、アサルトナイフで首を掻き切られる。


 噴き出す鮮血。あたり一帯の瓦礫が見事に赤く染め上げられていく。


 ほんの一瞬のことだった。


 背後に回り込まれ、襲撃されたのだと気づく間もなく、椎奈の体はその場に崩れ落ちた。




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