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東亰PRISON  作者: 天野地人
監獄都市収監編
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第4話 ディアブロ

「俺のアニムス《ヴァイス・ブリザード》だ。一瞬で凍らせ、破壊する」

 

 リーダー格の禿頭の男もまた口元を嘲笑で歪め、蛇のような視線を深雪に向ける。その目に宿る凶悪な光の鋭さは、次はお前だと言わんばかりだった。

 

 深雪の背中もまた、恐怖で粟立っていた。

 人が死ぬ。あまりにも簡単に、しかも呆気なく理不尽に奪われる。

 目の前でそれを見せつけられ、両脚が小刻みに震えた。

 

 これが、現実なのか。今の、変わり果てた東京の姿なのか。若者たちの悪意に中てられ、眩暈がしそうだった。


(どうする……⁉ このまま逃げるか、それとも―――………)

 

 深雪だけであったなら、この危機的状況を乗り越えられたかもしれない。一人でもある程度は何とかなる――そう思ったからこそ、実家や母校を目指したのだ。

 だが今は、稲葉や久藤、河原といった三人も一緒だ。彼らとは護送船で部屋が同じだったというだけの間柄だが、田中の死を見せつけられた後だと、余計に放っておくわけにはいかなかった。

 

 深雪がどう行動すべきか迷っていると、良く通る声がその場に響き渡った。


「おい、お前達……そこで何をしている!」


 全員の視線が、弾かれたように声の主へと向かう。睨み合う深雪と禿頭の男、そのちょうど真ん中の位置に、二人組の制服警官が現れたのだ。紺色の制服に、警棒や警察無線機。どこの街にもいる、『お巡りさん』の格好だ。

 

 禿頭の男は、警察官たちの姿を目に止めると、露骨に顔をしかめ、「……ああ?」と低い声を出して凄んだ。


「貴様ら、ゴーストだな……? そのエンブレムは、《デイアブロ》か……! 大人しくしろ! さもなくば撃つぞ!」


 二人組の警官は、そう言うと腰のホルスターから迷うことなく回転式の拳銃を抜き、両手で構えると、その銃口をこちらに向けた。


(警察官………!)


 深雪は警官が躊躇なく拳銃に取り出した事にぎょっとしたが、逆に安心もした。良かった。警察官がいる前で、さすがのこいつらも無茶な事はしないだろう――そう思ったのだ。


 港にいた機動装甲隊や特殊部隊の装備を考えると、小型拳銃ではやや心許ない気もするが、東京にいる全ての警察官が特殊部隊並みの装備を身につけられるわけでもないのだろう。


(とにかく、助かった……)


 ほっとしながら両手を上げる。しかし、手を上げたのは深雪と稲葉や河原、久藤の四人だけだった。禿頭をはじめとした周りのごろつきたちは何故か皆、ニヤニヤと笑っている。


(何だ……?)

 

 嫌な予感がし、深雪は眉をひそめた。すると、その予感を裏打ちするかのように、禿頭の男が警察官たちに向かって挑発を始めた。


「……撃てるものなら、撃ってみろよ。お巡りさん」

「何だと⁉」

 二人の警察官は、男を睨む。しかし、男は怯む様子も無い。

「知ってんだぞ。ゴーストの逮捕は認めねえってめでたい法律があるんだろ? あ、それで殺しちゃえってワケか! でもそれじゃ《死刑執行人(リーパー)》と何も変わんねえなあ⁉」

 そして、わざとらしくげらげらと笑い始めた。周囲の手下たちも一斉に笑い始める。



(《死刑執行人(リーパー)》……?)



 それは深雪の耳にしたことの無い言葉だった。しかし一方の警察官たちはその言葉が出た途端、表情を一変させ、強張らせた。


「黙れ、侮辱は許さんぞ!」

「そんな汚らわしい連中と一緒にするな‼」

 

 そう荒げる声のなかには、はっきりとした苛立ちと怒りが感じられる。余程、その《死刑執行人(リーパー)》と呼ばれる存在を忌み嫌っているのだろう。しかし、禿頭の男は意にも介さぬ様子でニヤリと笑い、明らかに相手を侮辱する様な身振りで答えた。


「ああ、はいはい。馬鹿にしてごめんちゃ~い。でもまあ、とりあえずあんたら五月蠅いから、眠っててくれる?」

「……何⁉」

「聞こえなかったか? ……鬱陶しいっつってんだよ‼」

 

 禿頭の男は殊更低く呟くと、すっと両眼を細める。そこには明らかな殺気が宿っていた。



「よせ……やめろ!」

 


 深雪は、思わず叫ぶ。しかし、その時には既に手遅れだった。


 禿頭は拳を振り上げるとそれを地面に叩きつける。すると次の瞬間、地面に鋭い氷柱の塊がいくつも立ち、それが地面を伝ってあっという間に駆け抜けていった。荒々しい氷柱の群れが、二名の警官に襲いかかる。


「これは……!」

「アニムス……‼」


 警察官たちは驚愕に目を見開く。その中には警戒心と共に、強い畏怖の感情が見て取れた。

 しかし、禿頭の男のアニムス《ヴァイス・ブリザード》は容赦なく彼らに牙を剝く。二名の警察官は、あっという間に氷柱の波に突き飛ばされ、後方へと大きく弾き飛ばされた。そして、そのまま地面に叩きつけられると、横たわったまま動かなくなってしまった。


「いい眺めだぜ! 俺達ゴーストにとっちゃなあ、国家権力なんざ怖くねーんだよ‼」


 禿頭とその手下たちは、それを見て再び濁音交じりの下卑た笑い声を立てる。

 深雪は戦慄した。彼らは何とも思っていないのだ。アニムスを使う事も、それを用いて人を殺すことも。他者から奪い取る事が当然の事になっているのだろう。そして、相手が丸腰の一般人だろうが銃を所持した警察官だろうが、お構いなしに欲望のまま力を振るっているのだ。


 微動だにせず、笑い転げる禿頭の男とその手下たちを見つめる。男達がはしゃいだ声を上げれば上げるほど、深雪は冷やりとした薄ら寒さに襲われた。稲葉や河原、久藤に至っては震えあがって声も出ないようだった。みな、血の気を失った表情で、突きつけられた現実の前に為す術もなく立ち尽くしている。


 しかし深雪の中で、徐々に沸々と湧き上がる別の感情もあった。それは怒りだった。


 我が物顔で暴力をふるう狂暴性、そしてそれが許されると思っている傲慢さ。金銭目的の脅しの為にソウルを用い、簡単に人の命を奪った目の前の男への強い怒りだ。


 絶対に、許すことなどできなかった。


(思い通りにさせてたまるか……!)

深雪はポケットの中で黒い封筒を握りしめると、それを取り出し男たちに掲げて見せた。


「おい!」

「……あん?」

 禿頭の男が、目を細めてこちらを見る。

「欲しいのはこれか? ……だったらやるよ」


 深雪は封筒をブーメランのようにして男に投げつけた。男の陰湿で鋭い両目が、深雪から僅かに逸れ、封筒に集中する。深雪はそれを逃さなかった。そして瞳孔の縁を赤く点滅させる。

 同時に、バアン、と轟音が辺りに響き、大きな爆炎があがった。男の足元に転がっていたボロボロのサッカーボールが爆発したのだ。それは先ほど、深雪が手に取ったサッカーボールだった。リーダー格の禿頭の男は激しい爆風に煽られ、手下ともども吹っ飛んだ。


「お前ら、今のうちに逃げろ‼」


 深雪は河原や久藤たちに向かってそう叫ぶと、自身も身を翻そうとする。周囲に視線を奔らせると、原因不明の爆発で周囲の手下たちもみな動揺しているようだった。

 包囲網を突破できるかどうか自信は無かったが、どうやら相手を混乱させるという狙いは思った以上にうまくいったようだ。後は走り抜けるだけ――しかし、一撃を喰らわせたはずの禿頭の男は深雪の想像以上の動きを見せた。


「てめえ……何しやがったああ⁉」


 男は爆発で吹き飛ばされたにも関わらず跳ね起き、右手を振りかざして深雪に突っ込んで来た。深雪は慌ててその掌を避ける。掴まれたら一瞬にして凍り付き、粉々になるだろう。かろうじて男の掌はかわしたが、冷気が粒子となって頬を掠める。


「……ぶっ殺してやる‼」


 男は予期せぬ攻撃を受けて逆上しているのか、金のことなど忘れ去ったかのように血走った目で深雪を睨みつける。そして、その姿を捕えようとがむしゃらに両腕を振り回した。しかし、深雪も必死だった。左右から襲いかかる男の手を避け、逃げ続ける。


 リーダー格の禿頭は深雪を掴み損ない、勢い余って手下の一人に触れた。触れられた手下は一瞬で凍り付き、ガラス細工が割れる様に塵となった。


「チッ……どけよクソ共! 邪魔すんじゃねえ‼」


 禿頭の男は怒り狂ってそう吠えた。手下は驚いて逃げ惑う。一帯は怒声と悲鳴が入り混じり、さらなる混乱状態に陥った。


 どうやら手下たちはゴーストではあるものの、アニムス値自体は低いのだろう。禿頭の男の操る《ヴァイス・ブリザード》のような、大仰な能力は使えないのだ。禿頭の男に守ってもらう様な形でグループを形成しているのだろう。

 しかしその手下にしても、命を奪われたのでは堪らない。周囲は一瞬にして乱闘騒ぎになった。


 禿頭の男は「邪魔だ、どきやがれ!」と喚きながら手下を押しのけ、なおも深雪を狙う。深雪は屈強な男達の間隙を縫うようにして逃げようとするが、人口密度が高く思うように行かない。

 そうしている間にも、背後から冷気を帯びた腕が伸びてくる。


 掴まれる――そう思った瞬間、視界の端を紺の疾風が掠めた。



(なんだ……?)

 深雪は思わず、そちらに視線を向ける。


 学生時代、散々目にしてきたユニフォーム。胸元に閃く、真っ赤なリボン。

「な……セーラー服……⁉」

 あまりにもその場にそぐわないものを目にし、深雪は戸惑う。


 それはセーラー服を身に纏った女の子だった。


 セーラー服の少女は男達の間をすり抜ける様に身軽に走り、深雪とすれ違うと、まるで体操選手のように地を蹴ってしなやかに宙に舞う。スカートがはためくのも構わず、華奢な体は美しい放物線を描いた。動きと共に、長い亜麻色の髪が揺れる。

 そして落下しざまに腿で禿頭の男の頭を挟むと、身を翻して男の顔面を地面に叩きつけた。


「ガッ―――――……‼」


 禿頭が地面に叩きつけられると同時に、女子高生は身を翻して男から離れる。しかし、禿頭の男もすぐに身を起こした。


「ゲホッ―――このアマ……!」

 禿頭の男はその顔に怒りを滲ませ、起きざまに女子高生の身体を掴もうとする。しかし、白刃の光が閃き、男の右手が体から切り離されて宙に吹っ飛んだ。そして右手はそのままぼとりと地面に落下する。誰もが何が起きたか呑み込めず、そのまま固まった。


 次の瞬間には、クリムゾンの絵の具を撒き散らしたかのような鮮血が飛び散っていた。



「う……うがああああああ‼ 俺の……俺の右手がああぁぁぁぁあああああ‼‼」

 


 禿頭の男は、右腕を押さえて叫び声をあげた。一方の女子高生の右手には、いつの間にか日本刀が握られている。彼女が禿頭の男の右腕を、一閃のもとに切り落としたのだろう。しかし深雪はその事実よりも、彼女の容姿に目を奪われていた。


(な……なんだ、あれ……?)


 シナモン色に似た、赤みを帯びた亜麻色の髪――その頭頂部に、獣の耳のようなものが生えていた。いわゆる、猫耳とかいうやつだ。

 しかし、彼女のものは猫というよりどちらかというと犬や狐のそれに近いような気がした。

 時折、小刻みに動いているので、ただの飾りというわけではないのだろう。見たところ彼女の年齢は、おそらく中学生くらいか。

 

 少女は両手に構えた日本刀――脇差の切っ先を男に向け、無言で対峙していた。凛とした、しかしどこか幼さの残る瞳が、じっと禿頭の男に注がれている。

 

 何が起こったのかと、その場は静まり返った。久藤たち護送船で一緒だったメンバーも、禿頭の男の手下たちも、みなこちらを遠巻きにし、驚きと警戒の入り混じった視線を送る。

 彼らは特に、少女の存在に戸惑っているようだった。深雪もまた、獣耳の少女の様子を窺う。だが今のところ少女の関心は深雪には無いようで、視線が交差することはない。

 

 沈黙が空気を張り詰めさせ、凍りつかせていく。ただ、禿頭の男から低い呻き声が時折発せられるのみだ。



「ほ~~~い、そこまで!」


 

 すると、不意に聞きなれないのんびりとした声が響き渡り、静寂を打ち破る。

 それは緊張した空気をぶち壊す、妙に陽気な口調だった。深雪が思わずそちらに目を向けると、癖のある赤い髪の男がゆっくりとこちらに近づいてくるところだった。


 黒のライダーズジャケットにレザーパンツ。背が高く、程よく筋肉質で、日本人にしてはその格好が良く映える。それだけきまっていると却って嫌味になりがちだが、男にはそう言った雰囲気が無い。それはおそらく、目元のせいだろう。若干垂れ気味の目はどこか愛嬌があって、妙に人を惹き付ける。


 だが、深雪はとても男に近づこうという気にはならなかった。男は、ただの通り過ぎとは思えない圧迫感のようなものを纏っていた。深雪は内心でぎょっとする。

(何だ、こいつ……?)

 男はただ歩いているだけだ。それなのに、その場を一瞬にして支配してしまった。唇の端は笑っているが、瞳の奥は笑っていない。何を考えているのか、その表情から腹の内を読むことができない。


 男がゴーストだとすると、厄介だ――深雪はそう思った。禿頭の男のように、分かりやすく敵意を露わにする者はまだいい。要注意なのは、敵か味方か一見しただけでは分からない奴だ。


 深雪を取り囲んでいたごろつき達もまた、その赤い髪の男を見てざわめいた。

「赤神……!」

「赤神サン………」

 ごろつきたちは赤い髪の男を警戒し、あからさまに後退して距離を取る。その場に取り残されたのは、女子中学生と禿頭の男、河原・稲葉・久藤の三人、そして深雪だけだ。


 赤神はごろつきたちの反応に慣れているのか、そちらにはあまり関心を向けなかった。相変らずゆったりとした足取りで、深雪たちに近づいて来る。その目が途中で氷柱の脇で倒れている警察官たちに留まった。その刹那、垂れ目気味の瞳に険が差したような気がした。

(何だ………?)

 確かに人が倒れているところを目にすれば、誰だってぎょっとするだろう。しかし、赤神の目に浮かんだのは、それ以上の強い感情であるような気がした。それはすぐに消えて無くなってしまったので、深雪の気のせいだったかもしれないが。


 そして赤神は、一同のところまで歩み寄って来ると、脇差を構えている少女に向かって微笑んで声をかけた。

「よっ、シロ。お疲れさん。もういいぞ」

「えーもういいの、りゅーせい? つまんない」

シロと呼ばれた女子中学生は、頬を膨らませ、不満そうな顔をした。それと同時にひょこひょこと頭頂部の耳が前後に動く。シロは渋々刀を下ろすと、腰の鞘に収めた。


「赤神………!」

 禿頭の男は、よろよろと立ち上がる。そして、未だ出血の続く右腕を押さえ、苦虫を噛み潰したような表情で赤神を見上げて睨んだ。赤神は飄々とした笑みを浮かべ、腰を屈めて禿頭の顔を覗き込む。そして、まるで友人に話しかけるかのような、呑気な口調で言った。


「坂本ちゃーん。こういうの困るんだよね。ここでは新参者いびりはしないルールだ。……分かってるでしょ?」

「う……うるせえな、何様だ、てめえ‼」

 禿頭の男は声を荒げ、それを一蹴した。虚勢であることは明らかだったが、決して反省などしないという、強い意志も感じられた。

 赤神はそれを受けて、にっこりと微笑む。しかし一瞬の後にはその雰囲気が一変していた。



「……殺したな? 狩られたいのか」



 男の表情からは、先ほどまでの人懐こい笑みは完全に消え去っていた。代わりにその両目には、鋭い殺気が浮かんでいた。決して揺らぐことの無い強さと、容赦の無い冷徹さが同時にそこにあった。深雪はそれを認め、はっと息を呑む。


(こいつも……同じだ……!)

 

 それは、本能的な直感だった。赤神というこの男が、敵か味方かは分からない。だがおそらく、彼も禿頭の男と同じく『奪う』側なのだ。そして、深雪の勘が正しければ、それを可能にするだけの力を持っているのだろう。――普通の人間では、決して手にできないような強い力を。

 

 まるで深雪のその推測を裏付けるかのように、禿頭の男――坂本は怯み、真っ青になった。

 側頭部に描かれた、溶けかかった髑髏の刺青(タトゥー)が小刻みに揺れている。坂本が赤神に対して激しい恐れを抱いているのは明白だった。

 それでも辛うじて赤神と睨み合っていられるのは、チームの(ヘッド)としてのプライドがあるからだろう。手下の前で、無様な姿は晒せないのだ。

 

 するとその時、氷柱に跳ね飛ばされた警察官たちがピクリと動いた。そして、「ウウ……」と呻き声を出す。それを見た坂本は、引き攣った顔でニヤリと笑った。

「……残念だったな。お巡りさん、生きてたみたいだぜ。二人とも」

 そして、肩を揺らし、クックッと笑った。これで自分のやった事を全て無かった事にできるとでも言いたげな、卑怯者の笑みだ。深雪はカッとし、思わず叫んでいた。



「嘘だ! そいつは他に一人、殺してる!」


 

 深雪が声を発するとは思っていなかったのだろう。赤神は眉をあげ、少し驚いたような表情をした。一方の坂本は怒りを滲ませ、口角に泡を飛ばしながら深雪に噛みついた。


「何だと……? てめえ、証拠はあんのかよ⁉ 俺が殺ったっていう証拠はよぉ‼」

「………‼」

 

 深雪は、坂本の言わんとする事に気づいて、唇をかんだ。坂本が田中を殺したのは確かだ。深雪もはっきりとこの目で見た。稲葉や河原、久藤だってはっきりと目にしていた筈だ。だが、田中の体は粉々になって砕け散ってしまい、その痕跡がない。遺体が無ければ、そこに死があったという事すら容易に証明できない。


 赤神と坂本、そして深雪は、しばらく無言で睨み合った。空気がより一層張り詰め、周囲の者達は固唾を飲んで成り行きを見守る。



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