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読んでおきたいレビューの心得  作者: 杏仁みかん
第二章(おまけ):アプリレビュー編
9/9

2:アプリレビューの書き方

 さて、その1では一例を挙げましたが、今回は僕なりのアプリレビューの書き方についてです。


 基本は今までの記事(小説のレビュー)通りでOKです。

 ただ、アプリレビューについては押さえるべきポイントがあります。


 今回はゲームアプリを例にしますが、他の──例えばショッピング系アプリやその他ツール類なんかでも同様です。……というか、レビューとして優秀なのはツール類のアプリのレビューなんですよね。多分ビジネスマンやシステムエンジニアとかの大人の人間が利用されているケースが多いからでしょうか。


 だから、今回はゲームレビューとして最適な書き方をお伝え出来ればと思います。


 前項までの記事にて「レビューは宣伝効果である」という主旨をお伝えしたかと思いますが、アプリレビューではそれに加え、「ユーザー及び開発者に現時点での問題点や改善点を伝える」という意味合いも込めて戴いて結構です。むしろ推奨します。


 あれ? なんかアプリレビュー編その1とビミョーに言ってること違わなくない?

 ──バグはお問い合わせに、とか、意見や感想を書くところではない。確かにそう言いました。


 アプリレビューでも広告効果を期待出来る、というのは変わりません。むしろそればかりが今後の運営の寿命を決める要素と言っても過言ではないでしょう。

 ですが、アプリは多少の傷や汚れについてはどうにかなっちゃう、というのがアプリなのです。何せ大金叩いて大勢で作っているので、Web小説とは違います。


 Web小説では、ある程度書き進んだ後で「結末を変えろ」と言われても、そう簡単には変えられませんよね。

 それに、なろうでは感想欄があるので、そっちに書けばいいじゃん、となるのですが、アプリレビューはレビュー欄でしかありません。


 なので、レビュー欄には運営に気付いてほしい改善点や問題点も記載していただければいいこともあります。

 ただし、それプラス星の数こそがレビューであることをお忘れなく。「ココを直したら星いくつ」っていうのもありますが、それ書いたら、改善後にちゃんと責任を持って直して下さいよ! 星の投票数は現時点のがランキング結果になりますので、ちゃんと直さないとユーザー数確保に繋がりません。期待したかったら星を動かしていくというのが大事です。(この点、Amazonのストアで商品を売ってる一部の外国系企業は、実際にレビューした人に電話かけて星を上げるようお願いしてくるほどしつこいのですが、理由は同じです)


 ……ということも踏まえ、具体的な書き方のポイントです。


 【1、他のゲームにないウリの部分を探して伝えよう。】


 一番お伝えして欲しい部分です。簡単に言えば、遊んでみて面白い部分、驚いた部分はどこか。

 「仲間の連携技がめっちゃ繋がって爽快!」とか、「シューティングだけどRPG要素でレベル上げや武器強化が出来る」とか、「RPGなのに時間制限があって、コンティニューするのにワンコイン必要で、まるでアーケードじゃないか!」とか、素直に感じた部分を記載しましょう。


 なお、「あれ? どっかで見たぞ」は絶対そのどっかで見た売れているゲームをパクって……もといリスペクトして便乗している形なので、敢えてそういうゲームを評価するなら「●●よりも▲▲な部分で面白い」といった、違いの分かる評価に変えてあげましょう。比べられるのはまあ、開発者も承知の上でしょうし(笑)。


 開発資金さえあれば、誰も見たことがない面白いゲームも作れそうですが、そうなるためにはやはり課金が……。


 【2、ゲームシステムの良いところ、悪いところを満遍なく。】


 1と多少被りますが、ゲームシステムについての記述は特に肝になる部分。「ここを遊んでみて心地よかった」というゲームシステム根本の部分や、「レベルがさくさく上がる」といったレベルデザイン・ゲームバランスの部分、「移動がスムーズ」といった操作系統の部分──つまり、ゲームとしてどうか、をお伝えいただければと思います。


 また、悪いところというのも、ユーザーはもちろんのこと、開発者の今後の参考としては欲しい部分でもあります。改善点と共に記載していただくと、プランナーが「そうして欲しいんだな」というユーザーの意志として伝わりますので、もしかしたら検討に乗り出すでしょう。……あくまで検討として、ですが。


 スマホアプリの開発会社は、基本、大手を除いてプロジェクトにかける予算は大抵低予算スタートです。

 予算も時間もない時は絶対に動きませんので、どうしても開発チームを動かしたいのであれば、なるべく課金してあげて下さいね。何かの施策を打った直後に「いいね!」とコメントする代わりに課金するのがベストです。


 【3、携帯性についてどうか。】


 何より、アプリは主にスマホで遊びます。最近ではPCで遊べる類もありますが、ユーザーの多くはスマホで遊びます。つまり、外出先でも遊ぶことがあるということです。

 よって、片手間に遊べるかどうか、片手で遊べるか、縦横持ちの切り換えは可能か、短時間でも遊べるか、電車の乗り降り時に簡単に一時停止できるのか、といった部分は、恐らく大半のユーザーにとって重要な項目となるでしょう。

 例えばアクションゲームの類は一時停止が出来ないと携帯性としてはダメ……というかアプリとして一番やってはいけない部分ですし、MMORPGならばホーム画面や一時的なスリープモードで接続が切れてしまうかどうかというのも気になりますよね(そもそもMMOでスリープすると、セキュリティ面で一旦ログアウトするのが普通なのですが、復帰時に再接続が容易だと携帯性としては素晴らしいと思います)。


 【4、グラフィック、デザインについて】


 絵的な部分は、システムや携帯性の次ぐらいに触れたい部分でもあります。

 キャラクターがカッコイイ、或いは可愛いかといった評価は、結構モチベーションに関わる部分でもあります。まずアプリでぽちっと押すのはこの辺でしょう。


 この時、「どっかのタイトルみたいなデザイン」と評価するケースがありますが、これも1と同様の理由で、開発側も承知なことだと思います。発注する時の指示は、大体が「●●さん(デザイナーの名前)みたいなタッチ」とか「●●(キャラ名)みたいなキャラ」ですし。

 「線が太くてハッキリしているタッチが……」と書くよりは字数も少ないですし、実は似ている対象を記載すると、伝えるのに一言で済むのではないでしょうか。


 【5、音について】


 ボイス含め、BGM、SEといった音の要素はグラフィックなどの見た目には劣ります。何故なら、マナーモードでプレイすることもあるから。


 あ、もちろん、これは音楽ゲーム(通称:音ゲー)を除いて、です。

 音ゲーはむしろ、ゲームシステムと合わせてバンバン美味しい部分を紹介しましょう。


 ところで、何故かレビューにはフルボイス化(シナリオに登場人物の声が付く)を求める声が多くて少々困ります。

 声を付けたところでシナリオシーンをすっ飛ばす人は大勢いますし、実はシナリオシーンって、ノベルゲームじゃなければ、あまり期待されない部分のはずです。敢えて付ける必要があるでしょうか?

 フルボイスにすべきなのは、それに釣り合うぐらいのシナリオがあった場合です。

 これについては多分プレイしていれば必要か否か直ぐに分かるので、考えずにフルボイスを期待するのだけは止めましょう。収録に結構な金がかかりますので。


 聴いた話ですが、有名な声優さんって、一人雇うと一日収録だけでも数十万はかかるそうですよ。


 なお、ボイスについての評価は、その声優さんに詳しければ脳内再生されますし、むしろ好きならヘッドホンで聴くだろうし、トータルで敢えて触れる必要はないでしょう。

 参加声優については、記載されていないものをちらっと名前を書くだけで効果はあるでしょうが……ゲームレビューとしては他に評価することがあるだろう、と。


 逆に、BGMについては触れていった方が効果的なこともあります。だって大体がオリジナルだもの。


 マナーモードで聴かない人に、敢えて聴いてくれ、と伝えたくなる時があるでしょう。BGMはモチベーションの一つでもありますので、余程いいBGMで耳に残るものがあれば、推していっても構わないでしょう。

 IPモノ──人気アニメのアプリ化などの、元々原作が存在するタイトルについては、原曲のアレンジがあった場合にどう素晴らしいかというのも伝えても構わないと思います。



 ──以上、5つのポイントを例として述べましたが、これはあくまで一例。

 他にもおすすめできるポイントはおすすめすべきです。


 後は前述の通り、Android、iOSのどちらのストアにもありますが、星による評価ですね。レビューがメンドクサイって言うのなら、せめて星だけは入れときましょう。確か、インストールしないと星は入れられなかったかとは思います。


 ですが、コレ、馬鹿にならないですよ。だって実際の売り上げに繋がるもの。

 それに、世の中には高い数の星を入れていく、或いは良いレビューを書いて悪いレビューをかき消すサクラ業者がいるとかいないとか……。ええ、ここだけの話です。


 ちなみに、批判をわざわざレビューに記載している人がいますが、実はあれ、+1って評価なのでマイナスではないんですよ。結果、人が引いていくんでマイナス評価ですけど。


 一番痛いのは何も評価しない、ということ。

 星がつかない、イコール、点数がない。

 表に上がらないので人気にならない。改善要素も分からない。……これってなろうと同じ、ですよね?


 けど、不思議なことに、期待の大きいゲームほど、批判する時でも書き込みがあるってものです。

 上の人は、平均評価数だけ見て「評価されてる」って勘違いする場合もあるようですが。


 ああ、だったら、書かなきゃいいのに。その方が良かった。……そう思うこともしばしばあります。


 また、敢えて負の要素をレビュー記載するのなら、単純にダメと言うよりは「●●は面白いが、この点ではこういう理由なので、こうしてくれればもっと面白くなるだろう」とか、「ドット絵で12方向に歩き回れるけど、歩きモーションが滑って見えるので改善して欲しい」とかいう記載の仕方でいただくと助かります。

 もちろん、根本からゲームを覆すような内容はダメですよ。



 ──さて、旅行から帰って来ていきなり執筆してみただけのおまけ1、2でしたが、如何でしたでしょうか。

 今回は、直近でいい加減なレビューやお問い合わせで酷い目に遭い、精神的にも体力的にも限界になった……という経験から、より多くの方にまともなアプリレビューを書いて欲しいなという想いがあり、急遽こんな内容のおまけを執筆いたしました。


 皆様のアプリレビューのひとつひとつが、比喩でも大げさでもなく、本当に開発・運営チームを支えていると言っても過言ではありません。

 その1に記載した通り、企業は数値を見ていますし、ストアのランキングは数値で決まりますので。たかだか一点差でも、順位は大きく変動することもあります。


 もしかしたら、どこかレビューひとつでひとつの命が救われる……なんて怖い話もあるか分かりません。

 現に、コッチの業界では躁鬱になる人がいます。実際に何人か見てきました。

 その原因のひとつに悪いレビューが挙げられるのだとしたら……こんな拙いエッセイでも改善してくれればいいなあと思っています。


 皆様のレビューが──例え大げさでも──誰かの命を救うきっかけになりますように。


 ここまでの長文をお読みいただき、ありがとうございました。

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