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伝説の竜騎士の後継者  作者: sold out
第一章
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真実を知る者(後編)

episode3~古代の竜―聖なる竜と邪悪なる竜~




《??? SIDE》



私は先程からうちから湧き上がるこの感情を抑えるのに必死だった。かつての友の血を感じる。その脈動を感じる。

いや、正確にはかつての友の血脈の者だろう。しかし、もう一度友の血を感じることができると考えただけで、私は胸が踊る。


来る…。どんどん近づいてくる。その鼓動はだんだんと近くなっていく。その足音はだんだんと大きくなっていく。それと同時に私は自分の鼓動の高鳴りを抑えられずにいた。―だから声をかけた。



…示せ。汝の力の形を。叫べ、汝が力の核たるものを!



その声を聞いたかつての友の血脈のものは力の形を示した。

もっともその力の形を授けたたのは私だが…。

しかし、あの力の本当の使い方をまだ理解していないようだな…。あの力の本当の目的は創造にある。あれは何かを守るための力じゃない。何かを『創り出す』ということが根底になくてはいけない。だが、かつての友の血脈はまだまだ理解していないようだ。……それも私が説明していないだけなのだが…。



そんなことを考えていると、その者はもうすぐそこまで来ていた。

あぁ…この感覚なんて懐かしい。そしてそれと同時に、かつての友よりも強い波動を感じる。類まれなる才能か…。やはり奴の息子で間違いない。名はなんというのだろう…?


そんなことばかりが頭の中を支配していく。すると、かつての友の血脈の者は歩を止め、大きく息を吸い込み空を見上げる。

その様子を観察していた私はしびれを切らして、声をかける。



…来たか。かつての友の子よ。汝名は何と言う?



僕の名前は岸本 龍次。岸本 聖が一子。と、答えた。

その答えに私は顔がにやけるのを抑えきることが出来なかった。ただ単純に嬉しかったのだ。懐かしいものの名前を聞けただけじゃなく、そのものの子供が私の元を訪れたということが。



…うむ。間違いない…。それにしても懐かしい名だな。岸本 聖。…よし、私のかつての友の子に我が姿を特別に見せてやろう。


そして私は宣言通りに本当の姿を晒したが、奴の子は全く動じない。それどころか、どこか嬉々とした表情をしている。全く……面白い。



…ふふふ、貴様も面白いやつだな。やつと同じで私を見ても顔色一つ変えないとは。ははは!気に入った!貴様に…いや、リュウジには特別に私の真名を教えよう…。一度しか喋らんから心して聞くがいい…。私の名は……『ストレイドドグマ』だ。この名はアキラとお前とそれから…私と同じ時を過ごすもう一体の祖龍しか知らん。…世間一般では私の名を『ミルフェリウス』と呼んでいるらしいな。決して間違いではないのだが、その名はアキラが付けてくれたものだ。人前で真名を呼ぶわけにはいかないからと言ってな。あぁ本当に懐かしい。ここまで人間と話したのもだいぶ久しぶりだ。……リュウジよ。この私に聞きたいことがありそうだな…言ってみよ。



僕があなたの、ストレイドドグマの所に来たのはほかでもありません。父さんのことと、伝承の深淵について知りたいからです。みんなは僕の心配してか、遠慮してか知りませんが、本当のことを隠そうとするから…。でも、あなたなら!そう思ってここに来たんです。だから…だから教えてください。父さんは何と戦い、何に勝利し、そして『伝説』として後世にまでその話が受け継がれているのか!


すると、ストレイドドグマは静かに目を閉じて話しを始める。かつての『大戦』について…。


…あれは今から約150年前のことだ。私たちの住むこの惑星(ほし)は木々が生い茂り、空気も水も澄み切ってそれはそれはとても綺麗な場所だった。

しかし、それから50年の年月が経過した頃、突如としてこの惑星(ほし)に宇宙(そら)からの来訪者が現れた。それの姿は液体とも個体とも呼べない姿だった。それに、ずっと空中に浮遊し続けると来た。それを見た人間どもは何を思ったのか、それの研究を始めたのだ。


体の構成。どんな物質で出来ているのか。そんなことをただひたすらな。そして、それは研究者たちによりこう名付けられた。『宇宙からの来訪者(アスピル)』と。それからというもの、『アスピル』の研究はだんだんと激しさを増していった。理由は至極簡単。『アスピル』が軍事に利用できるとわかったからだ。

『アスピル』から培養された特殊な液体を体に一定量流し込むと、体の構造が変化し、常人よりも遥かに高い能力持った者に生まれ変わることができた。おまけに、不思議な能力付きでな。

初めにそれを軍事の転用したのが、当時の小国、『ハフタル』だった。そして、その国は強化した人間『進化した人間(レヴォリューション・ヒューマン)―R・H』としてあまたの戦争に駆り出された。その結果は連戦連勝。当時、国の中でも最強を誇っていた『フェルラザ』の領土を3分の1侵略するほどだった。


しかし、悲しきは人間の性かな。それが自分たちにとって都合の良いものだと知った途端に、それを手に入れようと躍起になった。そして、その争いが発展に発展を重ねた結果。『大戦』が巻き起こった。

その戦争が終わった後に、この戦いのことを人間どもは『呪われし戦い』と名づけ、二度とそんなことが起こらないように『アスピル』を厳重に保管することにした。そして、この時に活躍し、伝説にもなった男こそがキシモト アキラ。そう、リュウジ…お前の父だ。

戦争が集結し、安寧がもたらされた時に突如として奴は姿を消した。なんの前触れもなく。本当に唐突にな。

ここまでが、お前の父にまつわることと、伝承の深淵だ。伝承では『アスピル』のことは一切描かれていない。このことを知っているのは、保管国と、この惑星(ほし)に平和をもたらしている、中枢の国だけだ。このことを知ったお前はどうするつもりだ?父のあとを継ぎ、この惑星(ほし)をずっと平和な世界に変えるのか?それとも、一人の冒険者として旅をするのか?どちらにしてもお前は何かしらの選択を迫られるだろう。その選択さえ間違えなければお前は父と同じ英雄になることができるだろう。




そこで私は一旦言葉を止める。それはリュウジの次の言葉を待つため、自身が余計なことを言ってしまわないため。リュウジが言葉を発するまで私は待ち続けた。そして、リュウジはその重たい口を開く。




《RYUJI SIDE》




僕がここに来た理由は父さんのことを聞くためだった。しかし、僕がこの場所で聞いたことは一般の人には知られていない、闇の中の話だった。その話しを聞いたときは内心寒気が走った。人間とはいかなる時代でも、どの世界でも戦争をするのだと知って。

たまたまこの惑星(ほし)に落ちてきてしまったかもしれない生物を保護するどころか研究し、あまつさえそれを軍事に転用するとは…。なんて酷い。僕はその時初めて人間が怖いものだと思った。

でも、なぜだか人間を嫌いになることはなかった。それはきっと僕が人間であるから。人間を愛することができるから。そして、人は…人間は変わることができると信じているから。だから僕が人間を嫌いになることはなかった。


でも、たまたまここに来てしまった生物を研究に使用し、戦争の道具としてしまうことは許せなかった。きっと、この正義感は父さん譲りだ。父さんは何事にも真剣だったし、曲がったことが嫌いだった。そんな父さんを見てきたからこそ、僕は父さんのようになりたかった。

そして僕はこの世界に来てしまった。最初は怖いことがたくさんでもう死にたいと思った。でも、僕の仲間が、いや、この世界での家族が僕を支えてくれたから僕はここまで来ることが出来たに違いない。

そう思うと、本当にウェストやティア、コモスにキースには感謝してもしきれない。だからこそ早く帰って「僕は無事だ」というところを見せたい。

でも、もうひとつだけ確認したいこと、知っておかなければならないと思っていることがあった。それは僕がこの世界に来て初めて手に入れた力のこと。…『包み込む破壊(レストレイル)』についてだった。

あの力を使ったのは今までで一度きりだった。過去にウェストたちに内緒で一人でトゥーレスを倒した時にか使ったことがなかった。…あの力は使ってはいけない。そう思ったから。あれは包み込みなんかしない。あれを使ったあとには絶望しか生まれない。

だから僕はあの力を使うことを極端に恐れた。あの力を使うことで何か大切なものが消えてしまうのではないか、と思ったから。


そこで一旦思考を停止させ、今考えていることを整理し、目の前にいる『神』に訪ねてみた。



「父さんのようになれるなら僕は嬉しいし誇りに思う。でも僕は父さんじゃない。だから僕は一人の冒険者として生きていくことにするよ。…でも、その前に聞いておきたいことがあるんだ」僕は息を深く吸い込み、『神』を見据えて話しを切り出す。


「…ファウストって何?なんで僕はそんな力を手にすることが出来たの?…もしかして僕が異世界人だから?もしそうだったなら父さんだって同じ力を手に入れていたって事だよね?」僕は一息にここまでをしゃべり尽くす。そして目の前にいる『神』は目を開きその問いに答える。



…それは神託により私が与えたものだ。遥か昔、この惑星(ほし)が作られし時より私と、もう一体の竜(ドラゴン)は生きている。そして、私たちが作られた時にひとつの神託があった。

それは………もし、この惑星(ほし)に危機が訪れた時には龍印を持つ者に力を授けよ。というものだった。だから私たちはこの惑星(ほし)に危機が訪れるたびに、龍印を持つものを探した。今までに私たちの力を手にしてきたものは6000人。大体300年に私たちが一人づつといった感じだ。しかし、今回ばかりは特例だ。なんせまだ100年しか経っていないのだからな…。全くどうしてこんなことに…。それに今回は謎なことが多すぎる。どうすれば良いというのだ…。危機を察知することおはできるが、危機を回避する方法は知らんというのに…。



そこで一層目の前にいる『神』のプレッシャーが重くなる。

これはきっと怒りの感情だろう。いや…それだけじゃない。きっと悲しみも混ざっているの違いない。…今まで保ってきたバランスが崩れようとしているのだから仕方ないといえば仕方ない。

でも、こんなことを聞いてしまったからには放っておく事は出来ない。


「ストレイトドグマ。僕が…僕がその謎を突き止めてあげるよ。だからそんな悲しそうな顔をしないで。父さんのようには行かないかもしれない。でも、僕は僕にできる精一杯のことをする。だから…――――!」僕がその言葉を言い終わると『神』はストレイトドグマの顔に戻っていた。



…そうか…。では頼んだぞ。では最後に一つ私から贈り物をしよう。


そう言うと目の前に光の玉のようなものが飛んでくる。そして、僕の前までくるとその光は消えて浮かんでいたものが地面に落ちる。



…それは私が鍛えた刀だ。私の何者をも受け付けない鱗を使用した。この世に二つと無いものだ。大事にしろよ…。楽しかったぞリュウジ。それでは私は眠りに入るとする。この姿は力を大量に使ってしまのでな。さらばだ!


そう言い残すと目の前にいた竜(ドラゴン)は完全に消え去っていた。

そこで僕は一礼し、僕の友(ドラグフェル)の待つ所へと帰る。


この世界に大きな変革が訪れているとは知らずに……。

第一章完結しました。

読んでくださった皆様ありがとうございます。


次からは第二章が始まります。もしかしたらリュウジの場面が激減してしまうかもしれませんが、その時はどうか容赦ください。

その前に人物紹介と用語説明をさせていただきたいと思うので第二章自体は約10日後程になってしまいます。人物紹介なんて見たくないという人はしばし待っていただきたいと思います。

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