5.Cafe Time with you(13)
遅くなりました。
本日2話目です。
13.リカバリー
翌日、メンバーに声をかけ、仕様や構想の書いたものを手渡した。
「え、こんなにできたんですか?」
高瀬さんがびっくりして声をかけてきた。
「はい、やはりこれがないと皆さん戸惑いますよね。遅くなりました」
えへへと苦笑いを浮かべる。
まだ、リーダーらしい顔はできていない。
(でも、せっかくだし、できることをやり切りたい)
睡眠時間3時間はさすがに辛いけれど。
そこからは時間との勝負だった。
チームのメンバーは本当にできる人たちばかりだ。報連相もしっかりしてくれるので、少しでも気になることがあれば小さなミーティングをして解決していった。
哲平さんのチームは少し難航していると兄から聞くこともあり、気になっていた。
(最近、哲平さんの機嫌が悪いみたい。顔色もあまりよくなさそうだし……)
「瑞葵ちゃん。大丈夫?」
手が止まってしまっていた。
「健太郎君、ありがとう。他のチームはどうなっているかなって、ちょっと気になっただけ」
「あ、そうだね。あまりうまく行ってない、かもだね」
苦笑いをしているということは、そうなのだろう。
(あまりあれこれ聞くのはよくないよね。まずは自分のチームを優先だわ)
気を取り直して、モニターを見つめチェックをしていく。
「山本さん、あの……。少し時間いいかしら」
高瀬さんが気まずそうに声をかけてきた。
「あ、はい。どうしました?」
「あの、ちょっと言いづらいのだけど、私、コードがずれてしまった、みたいなの」
10年のベテランの高瀬さん、俯いて声が震えている。顔を見ると、うっすらと涙を浮かべていた。
「なるほど……」
瑞葵は一度目を閉じた。
全体の進捗を頭の中で組み直す。
「高瀬さん、皆さんを呼んでミーティングしましょうか」
高瀬さんは青い顔になる。
「大丈夫ですから」
そう言って、カンファレンスルームを抑え、メンバーを招集した。
「お忙しい所すみません。まず、皆さんの進捗をお伺いしたいです」
「あ、えっと私は……」
全員、状況がわからずしどろもどろに報告をしていく。
私はメモを取り、全体の流れをまとめた。
「えっと、実はコードのズレがありまして、大半はその個所を探してもらいます。ついでに2次チェックをしてしまいましょう。田中君は今していることをそのまま最後までしてください。高瀬さんは田中君のチェックを、吉岡さんはカレンさんのチェックを、カレンさんは吉岡さんのチェックと4人分のまとめをしてください。健太郎君は私と高瀬さんのチェックをお願いします」
「えっと、残りは、どうしましょう」
高瀬さんはまだ青い顔だ。
「残りをふるいにかけます。今必要なものは、チェックが終わったらみんなで取り掛かりましょう」
「残ったもの、は……」
「次に回しましょう。時間に余裕があれば取り組んでもいいですね。まずは、最善を尽くしましょう」
「そうだね、それが今の最善だね。ここでしてもいい?」
カレンさんは理解してくれたようで、明るく声をかけてくれる。
「しばらく、ここは私達で使えるようにしています。あ、皆さん、水分補給は忘れずに!」
それじゃと一旦退室して飲み物を取りに行く。
全て順調にいくなんて、きっとないだろう。
だからこそ、みんなで助け合える環境が大事だと思う。
ミスをするのは誰にでもある。
大切なのは、リカバリーだし、今後の課題として活かすことだ。
(よくお兄ちゃんにリカバリーをさせられたな……)
兄はミスをしても怒ったりしない。でも、手伝ってはくれなかった。
『瑞葵。さあどうやって立て直す?』
そう言って、修正できるまで寝ずに傍にいてくれた。
今日はみんなにとっても山場になるだろう。
疲れて崩れないようにサポートをどこまでできるかが鍵だ。
自動販売機の前に立ち、迷わずにボタンを押した。
いつもは飲まないエナジードリンク。
ひんやりと冷たくて気合が入った。
明日は平日なので1話投稿です。




