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プロローグ

エルヴォリアの大森林は、燃え方までおかしかった。

炎は本来の燃え方をしていない。幹を這い上るのではなく、まるで根の在り処を知っているかのように地を這っていた。

樹皮が湿った音を立てて裂け、樹脂を滴らせながら、やがて幹ごと内側へ崩れ落ちる。


マイエヴは、陥落した都市を何度も歩いてきた。

滅びるまでに何週間もかかった場所の残骸にも、立ったことがある。


だがこの森は、数時間で終わっていた。

破壊にしては妙に几帳面だった――まるで誰かがリストを片手に、一つずつ消していったかのように。


灰は足首まで積もり、まだ熱を持っていた。

息を吸うたびに喉の奥が擦れて痛み、煙には、名づけるのを諦めた金属の味が混じっていた。


左の肩当ては、片方の紐だけでかろうじて繋がっていた。

胸当てには髪のように細い亀裂が幾本も走り、手首には乾いた血がこびりついている。留め金が引きちぎれた瞬間の記憶は、どこにもなかった。


樹冠に残った音は、彼女の背後で炭になっていくものたちの、静かで規則正しい音だけだった。


十年前、世界はそれを「救い」と呼んだ。

異世界から引きずり出された三十人の生徒たち――幼く、怯えていたからこそ、誰もが彼らを信じることを選んだ。


吟遊詩人は彼らを英雄と呼んだ。帝国は祝祭を開いた。エルフたちは国境を開いた。

その代償を誰も、まだ尋ねていなかった。


内陣へ続く扉だけが、無傷のまま立っていた。


理由がわかる前に、胃の底が冷えた。

周囲はすべて燃えていた。外陣は瓦礫と化していた。なのに、この扉だけは違った。


彼女は扉を押し開けた。


中の空気は死んだように静かだった。まるでこの建物だけが、周囲が燃え尽きるのをあらかじめ承知して、そっと脇へ避けられていたかのように。

煙はここまでほとんど届いていない――それでも喉の奥には、かすかにその味が残っていた。


「ライラ」


返事はない。


さらに奥へ進むと、自分の足音だけが大きく響き返ってきた。音を呑み込むはずの石が、なぜか呑み込んでくれない。


「ライラ!」


返ってきたのは、はるか頭上、幾層もの岩を隔てた木材が軋む音だけだった。


そのとき、彼を見た。


ヤガミは部屋の中央、黒い石でできた玉座に座っていた。削られたのではなく、育ったような石だった。

纏っているのは擦り切れた黒い布だけ――かつて誰かが彼を英雄と呼んだとき、こんな姿は想像もしていなかったはずだ。

錆びた短剣が、指の間でゆっくりと回っていた。


マイエヴはその刃を知っていた。何年も前、教官たちが小声で笑っていたのを聞いたことがある――誰にも聞かれていないつもりで。

墓掘り。学院の誰一人として説明できなかった職業、そして誰も、笑えなくなってから取り消す度胸を持てなかった冗談。


弓を構えた。手は震えていなかった。


「娘はどこ」


彼はまったく動かず、彼女の顔だけを見ていた――胸に向けられた矢よりも、彼女自身のほうに興味があるとでもいうように。


「思ったより時間がかかったな」


「何を思ってたかなんて聞いてない。ライラはどこ」


彼はしばらく彼女を見つめ、それから何かが顔の中で閉じるのを見せてから、口を開いた。


「お前が置いてきた場所には、もういない」


その一言が二人の間に留まった。マイエヴは、いっそ嘘であってほしいとさえ思った。


ブーツが石の床を擦った。「あの子に何をしたの」


それが何かを引き出した――短い息、笑いに近い、疲れに近い何か。


「殺してはいない。お前が聞きに来た理由がそれなら」


冷たいものが胸を落ち、どこか低い場所に溜まった。


「なら、何」


彼が立ち上がる。短剣の回転が止まった。


部屋は何一つ変わっていないのに、気づけば半歩、後ろに下がっていた――いつ動いたのか、彼女自身にもわからなかった。


「不安定なものを、正しただけだ」


「あの子はまだ子供よ」


「もう違う」


弦を持つ指が震えた――燃える木立に足を踏み入れてから、初めて手が言うことを聞かなかった。


「まるで、あの子を所有しているみたいな言い方はやめて」


「していない」平坦な声だった。言い訳の色は一つもない。「一度も、していない」


安心していいはずだった。だが胸はさらに締めつけられた。声はあまりにも確信に満ちていて、それが嘘よりもずっと恐ろしかった。


もう一歩、距離を詰めた。近づいて初めて、彼の疲労が見えた――長く長くそこにあって、もう顔の一部になっていた。


「どこにいるの」今度は静かに。大声を出せば、自分を保てない気がした。


彼は彼女の背後、崩れた壁の向こう――今も炎に呑まれ続ける世界へ視線をやった。


「作り直されている」


弓を握る指から力が抜けた。


「駄目」思っていたより鋭い声が出た。「そんなことを人にしていい理由なんて、どこにもない」


彼がようやく目を合わせた。入ってきてから初めてのことだった。残酷さか、満足の色を覚悟していた。だが見えたのは、もっと古い何か――とうに馴染んで、抗うのをやめてしまった何かだった。


「お前がもうやったことだ」


弓が手から滑り落ちた。床に当たる音は聞こえなかった。大事な音は、もう耳に入ってこなくなっていた。


「わたしたちは、あなたたちに居場所をあげた」声が最後の言葉で割れた。「ここに、みんなの居場所を」


彼は一瞬だけ目を伏せ、それから無理やり続きを口にした。


「だから、うまくいったんだ」


玉座の背後、視界の端で何かが動いた――まだ名前のつけようのない、間違った何か。


動物的な部分が、それを先に「おかしい」と告げていた。「何を、ここに連れてきたの」


返ってきた答えは、彼女ではなく――その先にある何かへ向けられていた。


「英雄が欲しかったんだろう」彼は、背後の闇に向けてそう言った。「だが何が応えたのか、お前たちは一度も確かめなかった」


外で、最後まで立っていた樹冠が、一斉に崩れ落ちた。


彼の背後にいる何かは、まだ姿を見せていない。それでも、見られている感覚だけは消えなかった。

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