表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本異世界始末記  作者: 能登守
2035年
291/305

Lesson 3 空と海の事情

 大陸東部

 日本国 葦原特別行政区

 大陸総督府


 4人の航空自衛官将官が立ち上がり、各々自己紹介を始める。


「大陸航空方面隊司令官、澤村二等空将であります。

 大陸における航空自衛隊の総責任者であり、普段は中島市に新設中の大陸航空方面隊司令部に詰めております。

 まだ、庁舎も建設中ですので先程の編成表には載っていません。

 有事の際はモニター越しになると思いますが、御容赦を」


 澤村二将は大陸進出の頃から航空自衛隊を取り仕切る古株で、第10航空団設立と同時に第9航空団司令官から昇進、昇格を果たした。

 開店休業と揶揄され、陸上自衛隊に一歩も二歩も後塵を拝していた航空自衛隊がトップの階級に並べられたのは快挙だったので、本人はウキウキな気分が隠しきれず、円法寺円楽総督は少し引いている。

 これはいけないと、澤村二将から第9航空団司令官を引き継いだ早瀨三等空将が挨拶で割り込む。


「第9航空団司令官 早瀨光一三等空将であります。

 我が航空団は中島市を拠点にF-15 20機、F-2 11機といった戦闘機を中心に各都市の警戒群、高射隊を取り仕切っています」


 第9航空団のF-15戦闘機は、20機中19機が大陸の中島市の航空産業中島飛行機株式会社が造り上げたF-15J改だ。

 年間生産数は僅かに1機で、『現代の最新部品で作った初期型F-15J』と言われている。

 この世界では必要が疑問視されたステルス製や空対空レーダ等が簡易化された機体だ。

 残りの1機は異世界転移前に近代化改修が施されたJ-MSIP機だ。

 本国にも愛知県に生産拠点はあるが、日本と高麗の本国部隊や米軍向けの部品、補充代替機の生産を主に行っている。

 西方大陸アガリアレプトに派遣された空自航空隊には、発展型のF-15J改S イーグルプラスというカナード翼と外観にステルス製を意識した改良が施された機体が配備されたのと対称的だ。

 逆に第9航空団のF-2戦闘機もこの世界に転移してから生産された機体だが、転移前に生産されていた機体と遜色ない性能だ。

 同機体を運用する第9飛行隊はまもなく飛行中隊の定数を揃えられると胸を撫で下ろしている。

 閉じられてた生産ラインをどうにか生き返らせた当時の官僚や技術者のファインプレーは語り草となっている。


「転移前に残っていた機体は本国部隊が優先的に配備してまいました。

 大陸の機体は新規生産品ですが、配備が大幅に遅延してしまいました。

 その象徴が我が第10航空団です。

 小官は第10航空団 並川祐次三等空将です」


 気鋭の三将と違い初老の草臥れたおっさんにしか見えない並川三将に円楽総督は色々と心配になる。


「第10航空団は機体の定数は揃っていますが、本国で退役寸前だったF-4EJ改戦闘機大隊。

 何をどうやったのか、ドワーフとミスリルを使い現代に甦らせ、改造まで施したF-1 CCVによる飛行中隊で構成されています」


 F-4EJ改は本国に残っていた機体をかき集め、各航空団の偵察機小隊RF-4EJ改や第10航空団の戦闘機大隊を編成して運用している。

 また、F-1 CCVはもっとえぐく、本国各地に展示されていた機体をレストアし、主翼前方と胴体下部にカナード翼を備えた機体に改修を施している。

 ガワの強化と軽量化にミスリルとドワーフの謎技術が使われている。


「本国は教導飛行大隊のF-35やブリタニアやエウローパとF-3計画、繋ぎのF-15 イーグルプラスがあるらしいですが、うちの航空団を余剰機置き場とするのは止めて欲しいところなんですよ」


 恨みがましい目で観てくる並川三将から目を剃らし、4人目の空将に話をするよう促す。


「大陸航空警戒管制団司令の芹沢礼菜空将補です。

 日本領内の植民都市に配置された防空監視所の警戒隊を統括しています」


 唯一の女性将官は40代の前半の毅然としたエリートを彷彿させた。

 大陸における女性自衛官の最高位でもある。


「大陸航空管制団も中島市に置かれます。

 基地の拡大に伴い基地警備第9中隊だけでは厳しくなっています。

 中隊から各監視所の警備にもに隊員を派遣しているからです。

 私はこれを監視所警備班を別個に組織し、中隊には基地警備に専念させたいのです」


 全く笑ってない目でされた提言に円楽総督は秋山首席補佐官や澤村二将、斉木財務局長が頷くのを見て首を縦にふる。


「問題はないと思います。

 権限の及ぶ限り善処して下さい」


 この問題を簡単に答えてれてしまうのは大陸独自の問題がある。

 大陸に植民した日本人の失業率は僅かに1%という高水準を保っている。

 経済が異世界転移で破綻した国のものとは思えないが、植民した際に最低でも一家で食べれるくらいの畑が作れる土地を譲渡したからだ。

 ゆえに植民した日本人は全員が兼業農家を職業欄に書けてしまうインチキが働いている。

 農作物を余らせても総督府が買い取り、本国へ送る年貢の足しとし、一家の家族が独立する際の対価として新たな植民都市の土地家屋で支払う積立てとするので不満は少ない。

 しかし、誰もが農家をやりたいわけでも無いし、土地に対して労働力過剰気味なので、専業で出来る仕事を常に探している。

 その供給口に期待されてるのが自衛隊なのだが、兵器含む装備品が揃わないのに迂闊に隊員を増やせない。

 ましてや陸上自衛隊は本国からの植民を前提とした部隊移動が行われるので、大陸での雇用が難しく、海上自衛隊は艦船が増えないと拡大も出来ない。

 空自の警備班程度なら装備品も少ないし、拡大傾向にあること、第10航空団の設立で開店休業と揶揄され地方本部や事務方など雑用に駆り出されていた隊員がごっそりと抜けた穴埋めにも必要になるとは事前に聞かされていたからだ。


「中島市は航空自衛隊をはじめ、中島国際空港として本国との玄関口であり、大聖寺市に建設中の国際空港は大陸各所の航路を前提としたハブ的役割を担います。

 大陸の航空産業の中心地でもある中島市には視察を用意してあります」


 秋山首席補佐官の言葉は空自の紹介、説明、挨拶を締める意味合いがあり、四人の空将は席に着く。

 当然、他にも三人の副司令官級の将官がいるのだが、留守居役としてこの場におらず、紹介、挨拶は後日となる。

 続いて二人の海将が立ち上がる。

 那古野地方隊司令猪狩智志三等海将、第5護衛艦隊司令官中川誠一郎三等海将、第7航空群の神弘健吾海将補の三人だ。

 海上自衛隊には三等海将以上がおらず、将官会議では些か立場は弱い。


「現在、海上自衛隊は大規模な部隊改編中であり、艦艇の大幅な移動が行われています。

 乗員はなるべく母港から離れないよう配慮が行われており、人事部が苦慮しています」


 猪狩三将の言う通り、自衛隊隊員の異動も移民、植民問題と紐付けられている。

 隊員の異動のために本国と大陸を行ったり来たり等はさせられないのだ。


「今回の組織改編で2個の水上艦隊、3個の護衛艦隊、水陸両用戦機雷戦群、8個の哨戒防備隊を有する哨戒防備群に護衛艦が割り振られています。

 当初は護衛艦隊を全て廃止する案も出ていましたが、大陸への移民問題や年貢等による食糧、資源の輸送問題に対応するシーレンの船団護衛から本末転倒だろうと残留が決まりました。

 また、護衛空母も護衛艦もその数の少なさから水上艦隊も2個に留めました。

 西方大陸派遣艦隊の帰還待ちですな。

 続いて主要艦艇の配置先は本国とこちらの大陸分だけですが、こちらになります」


 猪狩三将は海自艦艇の編成資料が書かれた書類を一同に配り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ