子猫の大冒険 16
そして2匹は、
『ドングリ池』を超えると、
その先にあると言われている、
『不思議な泉』のある場所に
向かって行きました。
「(何だろ?
森の雰囲気が、さっきまでと、
違うような気がする………)」
『ドングリ池』を超えて暫く経つ頃、
些細ではありますが、
何か違和感のような物を
ミィは感じました。
「さぁ、猫さんの目的の場所………。
その入り口に到着したよ」
ただ、その違和感の正体に、
ミィが、気が付くよりも前に、
目的の場所へと、到着したようでした。
「ここが、そうなんですね………」
左を見ても、右を見ても、
見渡す範囲ではありますが、
まるで、侵入者を拒むかのように、
茨で埋め尽くされていました。
「猫さん、上を見てごらん」
リスさんの言われるままに、
ミィが、空を見上げて見ると、
そこには、以前、雨上りの晴れた日に、
ミィが町で見た事のある、虹とは、
あきらかに、違う向きになっている、
虹が茨の森の上に、掛っていました。
「あれが、リスさんの言っていた、
逆さ虹なんですね………」
「うん………。
あの虹の真下に
『不思議な泉』があるはずだよ」
「あの下に………」
逆さ虹を見た後に、
もう一度、目の前に広がる
茨の森の方を見て見ました。
すると、先程までは、隙間なく茨の棘で、
覆い尽くされていた筈のその場所に、
辛うじて、ミィが通れそうな位の道を
見つける事が出来ました。
「あそこから、中に行けそうですね………」
そう言うとミィは、
先程、見つけた入り口から、
少し離れた位置まで移動すると、
その場所から、中の様子を
伺ってみる事にしました。
「私なら、ギリギリ通れそうですね………」
「うん………。
でも、棘が、沢山、飛び出してるね………」
小柄なミィが、やっと、通れる程の
隙間しかないその入り口は、
遠目から見ても分かる位、
茨の鋭い棘が、至る所から
飛び出しているのが見えました。
「僕が代わりに行けたら良いんだけど………」
そう言いながら、リスさんは、
ミィが見つけた入り口の方へと、
近付いて行きました。
すると、何かの意思が宿っているのか、
入り口の周囲にある茨が、蠢きだすと、
完全に入り口を塞いでしまいました。
「やっぱり、僕では、無理そうですね………」
リスさんが、入り口から離れると、
また、茨が蠢きだし、ミィが通れる程の
入り口が姿を現しました。
リスさんと同じように、
ミィが、茨で出来た入り口へと、
近付いて行きましたが、
入り口は、閉じる事はありませんでした。
「(やっぱり、私じゃないとダメなんだ………)」
茨の森が自分の事を、試していると、
理解したミィは、茨の中に入る前に、
リスさんの方へ振り返ると、
改めて、感謝の言葉を送りました。
「リスさん………。
ここまで、案内して頂いて、
本当に、有難うございました!
この、ご恩は、一生忘れません!!」
「困った時は、お互い様と言います!!
だから猫さんも、そんなに気にしないで下さい!
それに、本番は、これからです!!
僕では、これ以上、一緒に行く事は出来ませんが、
猫さんなら必ず、『不思議な泉』の元へと、
辿り着けると、信じています!!」
ミィのお礼の言葉を
受け取ったリスさんは、
助け合うのは、当然の事なので、
気にしないで良いよと、
ミィに言ってくれました。
逆にここからが本番だと、
ミィの気持ちを引き締めると同時に、
ミィの成功を祈ってくれました。
「ありがとうございます!!
女の子の病気が治った時は、
女の子と一緒に、また、
森に遊びに来ても良いですか?」
「はい!その時を、
心よりお待ちしています!!」
「それでは、行ってきます!!」
「ご武運を!!」
最後に、リスさんと、
再会の約束を果たしたミィは、
女の子を病気から救う為、
茨の森の中へと、入って行きました。
この度は、
子猫の大冒険をご覧頂きまして、
誠にありがとうございますm( _ _ )m
物語も終盤に差し掛かって来た事で、
逸る気持ちもあるのですが、
大どんでん返しみたいな、
オチにならないように、
じっくりとやって行きたいと、
思いますので、読者の皆様には、
ご不便をおかけしますが、
宜しければ、最後まで、
お付き合いの程、
宜しくお願い致しますm( _ _ )m




