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幸福のタイムリミット
僕は、忘れていた。
目の前の問題に手一杯で。
大切な、あの子のことを。
自殺志願者、ひとり。
「はあ・・・・、何で、今更・・・。」
あんな夢を見たのだろう。
みんな、みんな幸せで。
想像するだけで、現実とのあまりの違いに潰されそうな、夢。
「あんなの、あるわけないのに。」
誰も死ななくて、みんなが幸せな日常なんて、あるわけがない。
前に、少しだけ考えたことがある。
もしも、青菜さんとみんなが、普通に笑ったり、言い合ったりする、僕の理想。
「なんか、虚しくなるな・・・。」
絶対にあるわけがないことを考えるのは、とても悲しい。
僕は、そう思う。
なのに、僕はこんな夢を見て。
「僕はマゾかよ・・・・。はあ・・。」
もぞもぞと、布団に顔をうずめる。
携帯が、鳴った。
僕は布団から腕を伸ばして、側に置いてある携帯を手に取る。
電波の発信源は、鈴花からだった。
「ん、鈴花?なに・・・。」
僕は、もう一生理想なんて掲げないと思った。




