まずは世界ときょうめいしたい!
現実世界
それは
AIや機械技術の発展した世界
そんな世界で僕は
普通に育った
両親は共働き
そんな僕はまあまあ
幸せだったと思う
両親は普通に愛してくれたし、
でも何かが、
そう、
なにかが足りなかった
共感じゃ足りなかったんだ
『きょうめい』
したかった
何かにだけじゃない
全てに
『きょうめい』
したかった
そして、
高校も卒業後
大学にも進学したし、
IT企業にも就職、
結婚もしたし、
子供もできた
そして
知った
いや、
知ってしまった
僕はそんなことじゃ満足できない
『きょうめい』できなかった
何にも
僕は
『きょうめい』したかった
人でも
何でも
何でもいい
だから『きょうめい』した
死ぬ直前
僕は神と会った
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「ごめんねぇ?君、君生まれる世界を間違えたみたいなんだよね〜」
僕は数秒してから
「は!?」
そう言葉を発した
嘘だろ
生まれる世界を間違えた?
それ、
ドユコト?
「つまりは君はある意味異世界人なわけ」
異世界人?
現代において
小説など物語を除いてそんなことはありえない
転◯ラじゃないんだから、
「転◯ラ!僕も好きさ!あの世界!僕も興味があるよ!」
興味があるって、
まるで行けるみたいな言い方だな
「まあ行けなくもないよ?他の神に許可を取る必要があるけどね〜」
行けなくもないって、
「行けなくもないからね!」
ねぇ、もしかしなくても僕の心読んでる?
「まあね〜!ていうか君の場合そうしなきゃ話せないでしょ?基本的に君無駄だと思う会話を省くだろ?」
だって面倒くさいし私はあなたと『きょうめい』したもの
「さあ?どうだろう、ね?」
私は初めて『きょうめい』してみたいと思った
だからしてみた
そうして感じた
彼女、というか神が何を考えているのかわかってしまった
「人柱に、ねぇ、」
最初から神が何を考えているのかわからなかった
そもそも死の直前の人間をそもそも呼び寄せるだけにしてはタイミングが異常すぎた、
そう、もう人柱にするにしてもすぐに死ぬ人間を人柱にしたところで大した働きは期待できない、
人柱にされるのはなんとなく察していた、
小さい頃に神職の体験をした際にあまりにも堂に入ったものだったからだ
初めてにしては仕事も手につき、天職とさえ思った、
神の声さえ聞こえた一瞬だけ確かに聞こえた声は今回の神と一致していたからだ
だからこそ、人生最後の日だと仮定したうえで死というデメリットに対して、
どのようなメリットを提案してくるのか気になった
そう、なぜなら人柱として普通の人にできない、
そういった人柱にしかできないような芸当させる類のことをさせたうえで、
次の瞬間には死、
そのデメリット以上のメリット、
神はそれを押し付けてくる
なんとも都合のいいことだ、
『きょうめい』して、
僕は理解、した
神は自分だけではない今までにも他の人間を人柱として使う代わりに、
異世界に転生させていたのだ
それは物語の世界だとしても、だ
それこそこの話は物語だが
確実に避けられない死直前に交渉を迫り、
第二の人生を楽しませる、
それが神として人間に取り計らった結果だった
それは50年周期で行われ、
基本的に特異な体質や悲惨な運命をたどる者たちに差し出される
つまりは私はこのあと生き残ったとしても悲惨な運命をたどるのはほぼ確実、
「色々考えているみたいだけど、答えは遅くてもいいよ?どんな世界に行きたいだとかどういう世界線だったらとかでもいいし、ゆっくり考えてね、ただし、この話を断るなら相応の運命をたどると思っておいてね」
そう神は言い残し
どこかへと消えていったが、
神と『きょうめい』したことで、
先程の神がどのようなことができ、
どのような経験をしたのかさえも理解した
そして、
僕は知ってしまった
『きょうめい』することの喜びを!
そうして同時に気になったことができたのだ
それはこの『きょうかん』が異世界人特有のものなのか
それとも僕個人の能力なのか、
そして僕が本当は生まれる予定だった世界は、
どんなに広く、
どんなに美しいのか、
そうしてそんな僕の疑問でさえも
「美しいかと言われると、肯定はしかねるけど、否定もしないさ」
神がすぐに現れ、答えて、『きょうめい』できる
そうして、
僕は知った、というか感じた、
僕が生まれるはずだった世界、
神の言う通りに美しいかと言われればそうではないだろう、
その世界では悪魔は天使と戦い、
人間は人間同士で争う、
エルフはドワーフと争い、
精霊は魔族と争う、
そんな歪な世界
しかもどれもこれも最初はちっぽけなことから始まる
それはそうだろう、
現代社会においても、
動物同士の争いは基本的に獲物として相手を認識し、
それを食らう、
同じ種族の動物でさえも性格の不一致や縄張り争いで
殺し、食らう、
そんな歪な動物社会
人間でさえも
肌の色の違い、目の色の違い、常識の違い、
動物でさえ起こりうることを人間が抑えられるだろうか
答えは否だ
どんな大規模な戦争でさえも最初は小さなことから始まる
一人の喧嘩が周囲へと広がり、
連鎖する
それが人々の中で固まり、
行動を起こし、
戦争は始まる
小さな不幸の雫さえも、
いつかは滴り落ち、
波紋を生み出す
それが、
衝突し合うことで、消える
一度始まった波紋はもう止められない
そうやって互いに引けなくなる
互いには互いの正義がある
それを共感し、
理解し、
受け入れる
それは不可能であろう?
どんな完璧人間だってそれを嫌うものは必ずいる
それが是とされている現代社会では当然
それが束となり、
一人に襲いかかる、
世ではそれをリンチや集団イジメというが
生物として当然の行動とも言える
人間は一つの生物としてなにか一つの欲がなければ生きていけない
それは
人をいじめることで得る優越欲求かもしれない
働いて認められることで得る承認欲求かもしれない
人を殺し相手の生を支配することで得る支配欲求かもしれない
そんな色々な欲求一つで人間は生きている
異世界では
ドワーフは物を生み出し自身の技術を高める創造欲求
エルフは長生きをし、何らかの一つの分野において頭一つ抜けたことを成し遂げる、自己実現の欲求
悪魔は自身の立場を憎み相手へとぶつけ自身を証明したい自己顕示欲
天使は仲間を守り、愛したいと思う庇護欲
精霊は大地と同じように生き同じように成長し守りたいという純粋な生理的欲求
魔族は相手からなにかを奪い、それを糧に生きる奪取欲
そんなふうにできている
そう、
神と『きょうめい』して、
知った
感じた
そして僕は世界と『きょうめい』し、
それらを知った
世界はこんなにも歪で美しい、
そんなことを学んだ




