窯の開発
工業の基礎として、窯や炉の開発がある。金属を作るだけでは無い。高温を利用して様々な製品を作るのだ。陶磁器やガラス製品などは代表的な製品だろう。石灰やセメントを作るにも必要だ。
炉に使う燃料にも炉が必要である。木炭を作ったり、石炭を蒸し焼きしてコークスを作るのである。
焙煎や燻製なども燃料を使った温度調整が必要だ。本来なら、これらの炉や窯はそれぞれのニーズによって別々に進化する筈であったが、忠冬と在富は、大宰府郊外に窯や炉の研究施設を設立した。
始めは筑豊の石炭を上手く燃焼させる単純な研究であったが、徐々に規模を拡大させた。木炭や石炭など燃料の研究から、火薬の研究にも派生したり、酒類の開発からアルコール生産が始まったりもした。
多くの窯や炉の職人が呼ばれ、技術交流が行われ、新しい窯や炉が作られた。やがて炉の専門家集団がうまれ、彼らは焔を操る焔統衆と名付けられた。
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「やはり、ボーキサイトの輸入が必要か?」
「ああ、やっぱり耐火レンガにアルミナが欲しい。幸いな事に中国や東南アジアで産出されるから、なんとか今の船でも行き来が出来る」
忠冬と在富の話し合いである。既に忠冬は権中納言の任官が決定しており、朝廷での発言力もついて来た。大内家にも影響力を持ち、ある程度なら我が儘も通るが、逆に注目もされるようになって来たために、ある意味で慎重さが必要とされるのだ。
「うーむ。ただ、向こうにしたら、ただの石ころだからな。何の名目で輸入するかだ」
「コランダムの生成だと言ってしまえばどうだ?」
「コランダム?」
「うむ。ルビーやサファイアなどの宝石類だ」
「へえ、アルミからそんな物も作れるのか。そりゃあいい!」
「では、また資料を書き出して置くからな」
「うん、頼んだ。これでまた金儲けのタネが増えるな!」
「あんまり派手にやると、南蛮船の襲来が早まりそうで怖いけどな」
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ボーキサイトの輸入は大内家から明の商人達に依頼された。
明の商人達も土塊の輸入を怪しんだが、宝石の生産を嗅ぎつけ、納得した。生成方法も探られたが、二千度の炎が必要との情報を掴むと、交易の利益で満足する事になった。それでも十分な利益になったからだ。
ルビーの生成に成功するには10年の月日を要したが、その研究による副産物として、重科学工業の発展がなされた。
特に耐火レンガは比較的早めの発明で、焔統衆の技術的ブレイクスルーとして、反射炉や高炉などの高温の炉の発展につながって行った。
焔統衆達の拠点は八幡製作所と名付けられ、八幡は高品質な鉄の生産地として有名になって行く。
また、窯の研究はセラミックスやガラスの品質向上に繋がって行く。それらは薬学の発展につながり、化学の基礎となった。
本編はホノボノベースの物語になってます。
そちらもよろしくお願いします。
鷹司家戦国奮闘記
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