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キス

「紳士、淑女の皆様。お待たせいたしました!新国王グラウクス国王の入場です!」城の中の大広間に沢山の拍手が響く。皆の喝采を浴びながら、グラウクスが入場してくる。白い正装に肩から赤いタスキのような物を掛けている。


「それではこれより新国王即位の儀を取り行います!」司会の男の声がよく通る。


 即位の儀は、特にトラブルもなく滞りなく行われた。


「これより、この国を我、グラウクス国王が統治する」グラウクスが宣誓をすると広間の人々は歓声を上げた。


「それでは、この場を借りて、皆に報告がある!」グラウクス国王が突然切り出す。その言葉に何が飛び出すのか皆注目をする。

「兄上、そしてヒロ様!こちらにおいでください!」突然の指名に二人は驚く。


「早く、行きなさいよ!二人とも」カルディアが急かす。彼女も何か知っているようであった。オリオンはヒロをエスコートするように、壇上へ上っている。

 大勢の人々は、オリオンが連れているヒロの姿を見て「美しい!」「まるで女神様だ!」各々《おのおの》に感嘆の声をあげる。


「兄上!」グラウクスはオリオンにウインクをして、行動を急かす。


「グラウクス……、お前……」オリオンはその意味を理解して少し吹き出した。


「え!?何!」ヒロは意味が解らずにきょとんとしている。カルディアはヒロの姿を見ると親指を立てて笑顔をみせた。


「皆の者に宣言する!」オリオンが突然大きな声をあげる。ヒロは驚きながら彼の顔を見る。「私、オリオンはこの美しき乙女を、我が妻として求婚をこの場で申し込む!!」オリオンのその言葉を聞いて一瞬会場は沈黙に包まれた。


「え!?オリオン!な、なにを……」ヒロの言葉をかき消すように歓声が沸き上がる。「え、ええええ!!!」ヒロは顔を真っ赤にして両手で顔を押さえる。


 オリオンはヒロの目の前で紳士らしく膝をつくとこうべを垂れてプロポーズを始めた。


「ヒロ、君がよければ……、僕と一緒になってほしい。……僕の子供を生んでほしい。……そして、僕と一緒に幸せになってほしい。君を愛している!」オリオンは立ち上がるとヒロの手を握りしめた。


 会場にいる女性達はその様子をうっとりとして見ている。男性達はオリオンの勇気に賛美を送る。


「そ、そんな、お、俺なんかがあなたと……」ヒロは顔を真っ赤にして目を反らす。


「ヒロ様!俺じゃなくて、私ダニ!!」イオが突っ込む。会場の皆は大きな声で笑う。ヒロは更に頭に血が逆流しクラクラしてしまった。


「いいかい……」オリオンは真っ直ぐな目でヒロを見つめる。その目を見て、彼女は少ししてから恥ずかしそうにコクリと頷いた。


 会場が歓声に包まれる。


「キスだ!!誓いのキスだ!!」皆の囃し立てる声が聞こえる。


「え、ええええええええええええ!!!」ヒロは目を見開いた。彼女のその反応に構わないように少し開いたヒロの唇に、オリオンは優しく唇を重ねた。


「おーーーー!!」人々は更なる祝福の歓声をあげた。

 しかし、その歓声を打ち消すように、会場の中が真っ暗闇になった。



 「え!な、なに!なんなの!何が起きたの!?」カルディア達は一瞬これも演出なのかと思ったが、周り人々の慌てる様子を見て、そうでは無い事がすぐに解った。


「ヒロ!ヒロ!!」オリオンの悲痛な声が聞こえる。しばらくして明かりが戻ると、壇上からヒロの姿が消えていた。そして、背中を刃で切り裂かれたオリオンがうずくまっていた。その背中からは大量の血が流れ落ちている。

 カルディア達は慌ててオリオンに駆け寄る。


「オリオン様、大丈夫ですか!?ヒロは!ヒロは何処に!?」カルディアは半狂乱のように叫ぶ。


「ヒ、ヒロがドラゴン、ドラゴンに連れ去られた……」そう告げるとオリオンの意識を失って倒れてしまった。


「ド、ドラゴンですって!そんな・・・・・・まさか、ドラゴンなんて……!?」カルディアはオリオンの体を支えながら顔面蒼白になり震えていた。

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