エピローグ
児童養護施設を後にした木下と森田は、そのまま警察署へ戻ってきた。
「ふぅ……」
森田は大きく伸びをする。
「水谷くん、元気そうでよかったぁ」
「あぁ」
木下も小さく頷いた。
その時だった。
「おつかれさま~」
二人の前に、見慣れたアロハシャツ姿の男が現れる。
金田だった。
「木下君、森田ちゃん。今日の仕事終わり、飲みに行かない?」
木下は即座に首を横に振る。
「すみません。俺、酒飲めないんで」
「えー!!!!!」
森田が勢いよく手を挙げる。
「私、お酒だーいすき!」
そのまま木下の肩を叩いた。
「きのっちは運転係ってことで、よろしく!」
「勝手に決めるな」
木下はため息をつく。
森田は金田へ向き直る。
「ここは先輩として、おごってくれるよね?かねっち!」
「もちろん」
金田は笑顔で親指を立てた。
木下は二人を見比べ、呆れたように頭をかく。
「……分かりましたよ。行けばいいんでしょ」
「やったぁー!!!!」
森田は子どものように飛び跳ねる。
その様子に金田も思わず笑みをこぼした。
和やかな空気が流れた、その時――。
「木下!森田!」
署内に石橋の怒鳴り声が響き渡る。
「喋ってないで次の現場に向かえ!」
「「はい!」」
二人は反射的に背筋を伸ばすと、顔を見合わせて苦笑した。
「きのっち、急ごう!」
「だから木下さんだ」
木下は苦笑しながら森田の後を追い、二人は慌てて警察署を飛び出していく。
その背中を見送りながら、金田は静かに微笑んだ。
「……より一層、いいコンビになったね」
そう呟くと、アロハシャツのポケットに手を入れ、ゆっくりと歩き出す。
事件は終わった。
しかし、この世界にはまだ誰も知らない"能力"と、それにまつわる事件が数多く眠っている。
三人の物語は、まだ始まったばかりだった。




