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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第95話 終わりの定義

北方同盟・前線都市ヴァルグリム。


世界が、軋んでいる。


ドクン。


ドクン。


だがその鼓動は、今までと違う。


二つの流れがぶつかっている。


維持と崩壊。


アルカが叫ぶ。


「……臨界です!」


観測器の数値が振り切れている。


カルディアが言う。


「全領域同時干渉」


ミヒャエルが低く言う。


「耐えきれるか……」


ラグスが笑う。


「耐えるしかねぇだろ」



カイネスの周囲。


空間が完全に崩れている。


もはや人の形を保っていない。


だが、そこに“意思”はある。


「見ろ」


声だけが響く。


「これが終わりだ」



世界各地。


崩壊が連鎖する。


文化が追いつく。


だが――


追いつかない場所が出る。


アルカが震える。


「……間に合ってない地域がある」


カルディアが言う。


「伝播速度に差があります」


ミヒャエルが言う。


「文化は時間がかかる」


ラグスが言う。


「崩壊は速ぇ」


沈黙。



アルトは立っている。


その視界に、すべてが映る。


維持される場所。


崩れる場所。


助かる人間。


消える人間。


(……間に合わない)


理解している。


このままでは――


どこかで必ず崩れる。



カイネスの声。


「言ったはずだ」


「人は追いつかない」


「なら」


一拍。


「終わらせればいい」


沈黙。



アルトは目を閉じる。


(……終わり)


考える。


終わりとは何か。


消えることか。


止まることか。


崩れることか。


(違う)



アルトのUIが、静かに変化する。


【定義拡張:可能】

【対象:概念】


(……ここだ)



アルトは目を開く。


カイネスを見る。


「お前は終わりを選んだ」


カイネスが笑う。


「そうだ」


アルトは言う。


「なら」


一歩前に出る。


「終わりを変える」


沈黙。



カイネスの笑みが止まる。


「……何?」



アルトは言った。


「終わりは」


一拍。


「消滅じゃない」


空気が変わる。



カルディアが息を呑む。


「……概念再定義」


アルカが震える。


「そこまで……」


ミヒャエルが低く言う。


「やる気か」


ラグスが笑う。


「やれ」



アルトは続ける。


「終わりは」


「次に繋ぐための状態だ」


沈黙。



その瞬間。


世界が止まる。


ドクン――


無音。



カイネスの存在が揺れる。


崩壊していたはずの光が、


一瞬だけ“止まる”。


アルカが叫ぶ。


「……止まった!」


カルディアが言う。


「崩壊の定義が揺らいでいます!」


ミヒャエルが呟く。


「……効いてる」



アルトはさらに言う。


「壊れることは」


「終わりじゃない」


一拍。


「変わることだ」



ドクン!!!


世界が再び動く。


だが今度は違う。


崩壊が――


“停止”する。


いや、


“変化”に置き換わる。



崩壊していた空間が、


ゆっくりと形を変える。


完全消失ではない。


別の形へ。


アルカが震える。


「……消えてない」


カルディアが言う。


「変換されています」


ミヒャエルが言う。


「崩壊が……再構築に」


ラグスが笑う。


「やりやがったな」



カイネスの身体が揺れる。


完全に崩れるはずだった光が、


止まり、


戻りかける。


「……何を」


声が震えている。



アルトは言う。


「終わらせない」


一拍。


「繋げる」


沈黙。



カイネスの中で、何かが崩れる。


いや――


“変わる”。


光が引き戻される。


一部が、人の形を取り戻す。


アルカが息を呑む。


「……戻ってる」


カルディアが言う。


「影響が直接出ています」


ミヒャエルが低く言う。


「概念ごと書き換えたか」



カイネスは、膝をついた。


初めて。


完全に。


「……あり得ない」


アルトは静かに言う。


「終わりは」


一拍。


「選べる」


沈黙。



世界が安定していく。


崩壊は止まる。


維持が広がる。


文化が残る。



ドクン。


ドクン。


鼓動は続いている。


だがもう――


一つではない。


人の中で鳴っている。



アルカが小さく言う。


「……終わった?」


ミヒャエルが首を振る。


「いや」


カルディアが静かに言う。


「終わっていません」


ラグスが笑う。


「始まったな」



アルトは空を見上げる。


歪みは消えかけている。


だが――


完全ではない。


(これで終わりじゃない)



アルトは言った。


「次だ」


沈黙。



終わりは、終わりではない。


それは――


次へ繋ぐための状態。


物語はここから、


「新しい世界の構築」に入る。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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