表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/100

第81話 前提領域

そこは、空間ではなかった。


上下もない。

前後もない。

距離という概念すら存在しない。


それでも、アルトは“立っている”と認識していた。


ラグスも、アルカも、カルディアも、ミヒャエルも――

確かにそこに“いる”。


だが同時に、


「ここ……どこ……?」


アルカの声が、音ではなく“直接届く”。


カルディアが答える。


「位置情報が存在しない」


「座標系が定義されていない領域です」


ラグスが吐き捨てる。


「つまり?」


アルトが静かに言った。


「世界の外側だ」


沈黙。



目の前に、“それ”がある。


エイドス。


点。


ただの点。


だが、その点を中心に――


すべてが成立していると、直感で理解できる。


アルトは言った。


「お前が」


一拍。


「世界の前提か」


沈黙。


返答はない。


だが――


“変化”が起きる。


点が、わずかに広がる。


いや、違う。


“認識できる範囲が広がった”。


アルカが息を呑む。


「……構造が見える」


カルディアが低く言う。


「違う」


「構造を“見せられている”」



次の瞬間。


全員の視界に、同時に“何か”が流れ込む。


数式。


ではない。


言語。


でもない。


だが理解できる。


世界の“定義”。


ラグスが顔をしかめる。


「……頭が痛ぇ」


ミヒャエルが歯を食いしばる。


「理解が……追いつかない」


アルカは震えている。


「これ……全部……」


カルディアが言う。


「世界の基本構造です」


沈黙。



アルトだけは、崩れなかった。


UIが静かに展開される。


【原初層情報取得】

【定義解析:進行】


(……読める)


完全ではない。


だが断片的に理解できる。


世界は、


- 接続で成り立ち

- 振動で維持され

- 定義で固定されている


アルトは呟いた。


「……だから」


「干渉できなかった」


ゼノスの声が、ここでも届く。


「当然です」


振り向く。


ゼノスもまた、この空間にいる。


「設計の外側だからです」



アルトはエイドスを見る。


「お前は設計じゃない」


「前提だ」


沈黙。


その言葉に、エイドスが“反応”した。


点が、わずかに強く存在を持つ。


カルディアが息を呑む。


「……認識に応答している」


アルカが言う。


「理解したから?」


「違う」


アルトは言った。


「“正しい問い”を投げた」



アルトは続ける。


「世界核は後付けだ」


「人類が触った構造」


「だが、お前は違う」


一拍。


「最初からそこにある」


沈黙。


エイドスが、ほんのわずかに“近づいた”。


距離はないはずなのに、


確実に近づいたと分かる。


ラグスが低く言う。


「……気に入られたか?」


カルディアが否定する。


「違う」


「観測されている」



アルトはさらに踏み込む。


「なら聞く」


一拍。


「なぜ人類を許容している」


沈黙。


その問いに対して――


初めて“明確な応答”が来た。


言葉ではない。


だが全員に同時に理解される。


『成立しているため』


アルカが息を呑む。


「……成立?」


カルディアが言う。


「存在条件です」



アルトは続ける。


「では」


「変えたらどうなる」


沈黙。


エイドスの“点”が揺れる。


そして、返ってきた。


『再定義が必要』


ラグスが笑う。


「面倒くせぇな」


ミヒャエルが呟く。


「つまり、簡単には変えられない」


カルディアが言う。


「変えれば、世界そのものが崩れる可能性がある」



アルトは静かに言った。


「だから三百年前は封印した」


『安定化』


エイドスの応答。


短い。


だが絶対的。



アルトは一歩近づく。


「なら」


「今はどうだ」


沈黙。


一瞬。


ほんの一瞬だけ。


世界の“定義”が揺れた。


そして――


『不安定』


その一言が、全員に刻まれた。


アルカが震える。


「……世界が?」


カルディアが言う。


「維持限界」



ゼノスが静かに笑った。


「分かりましたね」


アルトは答える。


「いや」


一拍。


「まだだ」


エイドスを見る。


「選択はどこにある」


沈黙。


その問いに対して、


エイドスは初めて“時間”を使った。


わずかな間。


そして――


『存在側』


アルトの目が細くなる。


(存在側……)



次の瞬間。


空間が切り替わる。


いや、空間ではない。


“認識”が戻る。


ドクン。


ドクン。


再び第三階層。


世界核の鼓動。


全員が同時に膝をついた。


ラグスが息を荒げる。


「……戻ったか」


アルカが震える声で言う。


「今の……何だったの……」


カルディアは静かに言った。


「接触です」


「世界の前提との」



アルトは立ち上がる。


視界の端でUIが更新される。


【原初層接触:完了】

【新権限:未定義】


ゼノスがアルトを見る。


「どうでしたか」


アルトは答えた。


「面倒だな」


ラグスが笑う。


「同感だ」


アルトは続ける。


「だが」


一拍。


「壊れているわけではない」


世界核を見る。


「設計不足だ」


ゼノスが静かに笑った。


「それを変えるのですか」


アルトは言う。


「変える」


一拍。


「だが」


エイドスの言葉を思い出す。


『再定義が必要』


アルトは静かに言った。


「存在側から」


沈黙。


世界の鼓動が響く。


ドクン。


ドクン。


物語はついに――


“世界のルール”を書き換える段階へ進んだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ