238プレイ目 アンセム?
□感想を下さる方々、いつもありがとうございます。ネタバレになる気がして何を書いて良いか分からなくなるとついキャラクターたちの掛け合いを書いてしまいますが、書いて下さった内容を無視している事にならないか!?と今さら気付いたので……
□今日も「もしかして、このイベントがまだ続くと思われてる…?今日の更新で終わります!はネタバレでは…?」と答えに窮してました。
ご不快に思われていたら申し訳ございませんでした。
アンセムの街にプレイヤーの姿が増えて来た。
イベントがつまらなくてログインしなくなった人も多いが、何かしらの楽しさがある人もまだ残っているということだろう。
椛のように召喚獣や従魔を愛でるためとか、美味しい物を食べるためとか。フレンドと過ごすだけで楽しいという人だっているだろう。
神殿前広場の近くのアップルパイが美味しい店に来ていた椛はそう思う。
すっかりどこかに行く気が失せていた。
「検証クランはイベントを追いかけてるの?」
「そのようじゃな」
アップルパイ目当てでロウガイも来ていたので尋ねると、イベントを頑張っている人たちもいるそうだ。
掲示板はそれなりに盛り上がっているらしい。
進めると八天の美形たちが再登場するに違いない!と信じている人々がメインで。
きっと遭遇イベントが起きなかった人々だ。
「《メモリアル・リンク》で好感度の高そうなNPC探しも盛り上がっとるようじゃ」
「巻き込んでごめんって気分にならないのか…」
「所詮NPCとしか思っておらんじゃろ」
別に椛も人間とNPCの区別がつかないとか、混同している訳ではない。ただ申し訳ない気分になるだけなのだ。
例えるならば、お気に入りのぬいぐるみを泥水の上に落として汚してしまった時の気持ちだろうか。
可哀想なことしちゃった、ごめんねという気持ちになるタイプというだけである。
世の中にはドライな人もいて、汚い捨てよう、新しいの買おうとさっさと切り替えるタイプもいるだけだ。
「だが恋愛ゲーム感覚でNPCを追い回す者に多いと思うんじゃ。所詮NPCとしか思っておらんタイプが」
「ゲームだからね」
所詮NPCとしか思ってないので、NPCの気持ちなど気にしないのだ。疑似恋愛をゲームとして遊んでいるだけだから、迷惑がられていると理解していない。NPCにそんな感情があるとは思っていないので、プレイヤーの思い通りになれと傲慢に振る舞うのだろう。
端から見ていると椛は個人的に不快な光景だと思うだけである。
善し悪しなど語り出す問題ではない。
「リアルでも相手の人間の気持ちなど考えておらんタイプじゃ」
「リアルがどこの誰だか知らんから何も言うつもりはない」
リアルで良く見るタイプなのは否定しないが。相手の気持ちを踏みにじっておいて自分の気持ちだけ押し付けるタイプは、それなりに見たことがある。
もちろん赤の他人の話だ。知り合いにもなりたくない。
「ロウガイはイベントどうするの?わたしはここで最期の日を迎えようかな…」
「ヴィスタに行こうかと思ったんじゃが、また荒野に戻されるかと思うと移動時間がもったいないだけでのう」
「だよねー」
移動だけで何時間かかると思っているのか。
乗り合い馬車で放置していれば着くとしても、国境はその手が使えないしタイミングが悪いと馬車移動中で1日が潰れる。
余計にやる気が失せる話だった。
ロウガイもイベントは放置して、アンセムでのんびりするだけのようだ。
アンセムに残るプレイヤーはイベントに興味がないタイプが多いようで、プレイヤーが多い割に居心地は良い。
そう思っていたが、人だかりが出来ていたので野次馬根性でちょっと近付いて椛は後悔した。
伝説の幻獣を出せ、キャットテイルを出せ、独占するなと喚く連中だったからだ。
もちろん椛はさっさと通報した。自分が言われている訳ではなくても、発言がアウトなのだ。
何人かが悲鳴を上げて消えた。悲鳴の理由は警告ではなく、垢BAN決定の通告が来たからだろう。
まだ「通報しやがったな!」と喚いているので、椛は再度通報した。
警告を理解してない言動の人がいる、と。
さらに悲鳴を上げて消えるプレイヤーが出たので、ようやくマズいと理解したのか逃げて行った。残っているのは数人だけだった。
「ああいうのは通報しないと他の人にも迷惑なだけだよ。通報したから垢BANになるんじゃなくて、通報された内容を運営が精査して警告を出して、改善が見られないどころか同じ行動を繰り返している、悪質って判断を下した時だけ垢BANになるんだから」
「えっと、はい…」
「はあ…」
「通報しやがったな、も通報していいワードだから。運営へ通報をする権利の侵害なので」
カジュアルに通報するタイプの椛は詳しいのだ。別に詳しくなりたかった訳ではない。
「まさかこんなところで、2周年直前!夏の垢BAN祭りが始まるなんてな…」
椛もただの通りすがりなので、予想外だったものだ。
翌日ロウガイが「見たかった」と残念がっていたが、散歩しながら巡回して自分でやれよと言っておいた。
たぶん今のアンセムには、まだあのタイプが蔓延っているだろうから。
翌日も大通りで似た光景が見られたので、椛はロウガイにチャットを送ってやった。
近くにいたようですぐに現われて、満面の笑顔で通報していたものだ。
悲鳴を上げて消えるプレイヤー、さらに「通報しやがったな!」と禁句を口にして消えるプレイヤー…
「同じ展開すぎる…」
「どうやら二陣の迷惑プレイヤーたちだったようじゃな。あちらにはきちんと通報するタイプが少ないのかもしれん」
「向こうの話を聞くと、絡まれたほうも同じレベルで言い返してたからって気もするけどな…」
同類のケンカはドローで終わったらしいのだ。
両方減点しておけばいいのに。
そんな話をしながら通りすぎる。
椛は通りがかっただけだし、ロウガイは目的を達成したので用がなくなったからだ。
もふもふさんがいるようだが、このタイミングで「フレンドになりたい」「ミーティアの見せっこしよう」と誘うほど椛も空気の読めない言動は取れない。
スクショで一度しか見た事のないルーくんの実物に会うチャンスでも。
チャンスだと思うのが間違いだから。
「今日は例の本を買って、最強執事にサインを貰いに行こうかと」
「あれ以来会っておらんかったのう。何気にレアキャラじゃな」
「どうしたら会えるんだろうね」
あとエルフの英雄…と椛は遠い空を眺めた。
勇者よりレアなのはどうかと思うのだった。
□一方その頃のトシュメッツ国では、妖狐にゃんイベントの後日談イベントをクリアしていたプレイヤーを中心に、限定イベントを進めていました。
八天が「トシュメッツ国」「女狐」とヒントを出していたので、あのイベントの関係者が怪しいと分かるのではないかなって…
第二サーバーのプレイヤーも妖狐にゃんイベントはクリアしていたので、話はつながっていました(後日談イベントはあまり関係なかった)(知っているとお得くらいの内容)




