159プレイ目 アンセム
FGOに狐の分身(?)なのに「キャットだワン」って言うキャラがいたなって昨夜気付いたので、無意識に影響を受けていた気がします…(手遅れ)
椛はアンセムの神殿の中庭でシラベと会って悩んでいた。
立ち入りは自由だが、プレイヤーはほとんど来ない場所だ。
イベントに参加したプレイヤーたちはほぼ迷いなく使ったらしいが、九尾の妖狐(分身)と契約するか迷うのだ。
「普通の妖狐と契約できなくなるよね」
「それは仕方がないよ。特別個体のほうが強いはずだし」
「もしかして、レンツで殺生石を奪われていたら九尾の妖狐は妖艶な美女の姿で、能力もさらに高かった?」
「あー…姿は可能性あったかも。でもレベル1になるから能力はどうかな」
「それもそうか」
しかもそちらの分岐だと強すぎて勝てなかったかもしれない。たとえ聖女様がいても攻撃役ではないのだから。
辿らなかったルートを考えても意味はないが、そんな可能性もあったはずだ。
二陣の人たちには重要な問題だろうが、椛には関係ない話だが。
「それより、イベントを軽視して転移代をケチった連中に寄越せって喚かれると思うよ」
「…譲渡不可ですが」
「まだ使ってないなら手に入れられるって自分に都合良く考えるタイプって多いし」
「デスヨネ」
何日も前から話題になっていたのに、イベントに参加しなかったプレイヤーもいた。生産職も関係ないと無視した者も少なくなかったらしい。
街に来て通りで巻き込まれただけで参加扱いになったから、操られた住民から逃げていただけのプレイヤーは報酬を貰えたのに。
知ってたら参加した!と掲示板でも大騒ぎだそうだ。
椛はあのやかましいの、いらないけどなあと思いながらアイテムを使う。それだけで九尾の妖狐(分身)は召喚獣になった。
「はっ!?貴様は!?」
「え?覚えてるの?恐怖のあまり記憶が消えてるっていう話なのに」
「思い出させるにゃあ!」
小狐姿で相変わらずにゃあにゃあうるさい。
シラベが自分の妖狐を召喚して、見比べている。
「わ、妾がいるにゃ!?」
「どういうことにゃ!?」
「数千体に割れて砕けて裂けて散ったというか、移住者たちに分割された」
妖狐たちは顔を見合わせ、頭を抱え、絶望してにゃあにゃあ泣き伏せた。
シラベが興味深そうに観察している。
「それより名前か…まあ、一応考えたけど」
「契約する気はあったんだ」
「そっちのパターンだと必要になるし。素晴らしく似合わない天狐はどうかなって」
「お狐様というか、神聖なほうの狐だね」
名前くらいはキレイなイメージでもいいかと思って。中身が性悪でも。
「お前は今日から天狐だよ」
「嫌味にゃ!?」
「もちろん」
怒った小狐も名前は受け入れた。もっと大変な状態なので、そんなことにこだわる気になれないようだ。
「どこまで覚えてるの?」
「妖狐にゃん妖狐にゃんと人間どもが狂気を宿した目で妾を見ていたにゃ…」
「忘れたにゃ!そんな悪夢はなかったにゃ!」
「お前は腹は立ったが、狂気はなかったにゃ」
「他の人間は全て狂気にゃ!」
「え、ボクは言ってないよ」
妖狐は椛以外は狂気の人間と思い込んで、全て忘れたフリをしているらしい。
シラベの妖狐が「信じないにゃ!」と耳を抑えて震えていた。
「わ、妾、他よりマシだったにゃ!?」
「妖狐にゃんって煽って焚き付けた元凶だよ、その人」
「あんなに効果があるなんてね」
「にゃー!1番サイアクにゃー!」
ちょっと希望を期待した天狐は、そんなものは存在しなかったとまた泣き伏せた。
でも「妖狐にゃん、はぁはぁ」とか言っている連中よりマシじゃないかな…と思わないこともなかった。
妖狐たちが落ち着くのを待ってから、椛は『妖艶なる絶世の美女の栄華〜最強で偉大な九尾の妖狐』を取り出した。2匹揃って顔を輝かせる。
「そなたも妾の本に感銘を受けたのじゃにゃ!サインならしてやっても良いにゃ」
「え、自画自賛の自伝でクソつまらんって有名だよ。売れてなかったでしょ」
「い、移住者どもがこぞって買ってたにゃ!」
「移住者ども、が…にゃあぁあ!?」
狂気の移住者に買われていただけだ。
喜ぶことではなかったと悟ったらしい。シラベが自分の妖狐を撫でてなだめている。
「そんなことより、黄金のさつま芋はどうして絶滅したの!」
「にゃ!?いつ絶滅したにゃ!?」
「知らん。ヤマト国では絶滅したって言われてるって。あんたが何かしたんじゃないの?」
「する訳ないにゃ!」
「独り占めするために隠しただけにゃ!」
シラベが「本当に復活イベントがあった」と呆れている。絶滅しているよりマシだったが、他にも何かやらかしているに違いない。
でもヤマト国に行けるようになったら、必ず手に入れたいものだ、黄金のさつま芋。
「あとは、人間に化けられる?」
「もちろんにゃ」
「絶世の美女にゃ!」
2匹は幼女姿に変わり、鏡代わりに互いを見てうなだれている。
天使たちよりさらに小さく、3~5歳くらいだろうか。
「子供の年齢ってよく分からないけど、3~5歳くらい?」
「4、5歳かな?」
「にゃあぁ…」
「妾のないすぼでー…」
それは運営に言うしかない。
「幼女好きの幼女ってこれも含まれるの?」
「デリケートな問題だから聞かないことにしてる」
つついてはいけない闇だった。
人による、ということにしておく。
「これを連れて歩いたら、住民たちに嫌われない?」
「1番危険な魅了の力は発現しなくなってるから、ただの妖狐と同じって認識みたいだよ」
「にゃあ!?」
「妾のあいでんててー…」
「それなら良いか」
でもトシュメッツ国だけは連れて歩いたらいけないだろうな、と思った。
「そういえばレンツのゴースト爺さんはどうしてるの?」
「……あ、報告したりいろいろあったね!」
イベントの事後処理は進んでいるが、忘れている事も残っているだろう。プレイヤーは報酬に夢中だし。
「東の海の怪物も見つからないって頼闇が言ってたよ」
「聞かれたけど、進め方が分からないままだなあ」
「なんじゃ、海の怪物を探しているのにゃ?」
「奴の身は茹でると美味いにゃ!」
「カニ鍋にゃ!」
「食いたいなら釣り上げる方法を教えろや」
西の海にはイカとタコをドロップするクラーケンがいたが、東にはカニがいるらしい。
「大きな船を見ると襲って来るにゃ」
「だからヤマト国に船が出せなかったのにゃ」
「囮の船が沈むにゃ!いくらすると思ってるにゃ!?」
にゃあにゃあうるさいが、船の用意は確かに大変そうだ。
そろそろ送還しようかなと考えて、椛はシラベに尋ねる。
「こいつら、送還するとどこに行くの?幻獣は幻獣界って聞いたけど」
「妖怪の世界もあるんだって。妖界」
「ヨウカイのヨウカイ…」
名前が紛らわしいが、分かりやすさを優先したのだろう。魔界とかあるし。
「妖界にはびこる妖狐にゃん軍団…」
「にゃ!?見た覚えがないにゃ!?」
「妾の軍団にゃ!?」
どういう処理になっているのか不明だが、結託して悪企みできないなら良いかと天狐を送還した。
「大きな船…どこかに協力してもらわないと駄目かな」
「プレイヤーだけで作れるとは思えないからね」
シラベも妖狐を送還して肩をすくめる。情報は得られたが、あまり進んだ感じはしなかったものだ。
特殊勝利:妖狐にゃんが貰える
通常勝利:妖狐を倒すと殺生石が全て消滅して、ヤマト国から使者が来てカニ退治のレイド戦が発生。ヤマト国解禁
特殊ルートに入ったせいでヤマト国解禁が遠のいた事を、プレイヤーは誰も知らない…




