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第95 無意識と俺のせい

その光景を見たもの達は、次々と叫び声を上げながら我先にとその場から逃げ出した。


まさに阿鼻叫喚だ。


そんな中、腹に刺さった剣が抜かれアネッタは力なく俺に体を預けるように倒れた。


何が、起こった?


ウィリアムが俺に向かって走ってきて、それで、アネッタが俺の前に来て・・・


アネッタは俺を庇って、俺を庇ってアネッタは・・・まただ。


また俺は、誰かに庇われて・・・。


「・・・」


俺は自分の手に温かい何かを感じ、手を見た。


俺の手は、真っ赤に染まっていた。


アネッタの血で、真っ赤に。


また、やってしまった。


俺のせいだ。


俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」


次の瞬間、俺の意識は途絶えた。








ここは、どこだ?


そこは知らない場所だった。


辺り一面、真っ白な空間。


そこに俺は立っていた。


俺はおもむろに歩き出した。


何か考えがあったわけじゃない、体が勝手に動いたのだ。


何だか、頭がフワフワする。


「・・・あっ」


少し歩くと、自分の前を歩く人を見つけた。


二人組だ。


何でだろう、何処かで見たことある気がする。


だけど、思い出せない。


二人が手招きをして俺を呼ぶ。


それを見た瞬間、俺は自分が嬉しいと思ったのを感じた。


二人のもとへ走って向かう。


俺が二人のすぐ後ろに来たとき、二人が振り返る。


そして、俺の脳に直接語りかけたように二人の言葉はハッキリと聞こえた。


『俺(私)達が死んだのはお前のせいだ』








「ハッ」


次に目を覚ました時、見覚えのある天井が視界に入ってきた。


ここは、寮の部屋か。


「ガル!」


自分の名前を呼ばれた方向に顔を向ける。


そこには、涙目で俺の手を握るロミアの姿があった。


「・・・ロミア、か」


俺はゆっくりと上半身を起こした。


「うっ・・・!」


突然の頭痛に襲われて、頭を押さえる。


「ガル、大丈夫?」


ロミアに尋ねられて、俺は頷く。


頭痛はすぐに治まった。


「あぁ、大丈夫だ。

俺、どうしてここに」


「ガルが倒れたからシガラ達が運んできてくれたんだよ」


「そうか・・・アネッタは!?アネッタはどうした!?」


俺が尋ねると、ロミアは隣のベッドを指差した。


慌てて見ると、そこには横になっているアネッタの姿があった。


「治癒魔法で傷を治したから命に別状はないけど、血が出過ぎたみたいで今はぐっすり眠ってるよ」


「そうか、良かった」


何はともあれ無事で良かった。


俺はふと辺りを見た。


「そういえば皆は?」


「皆は先生たちとあの決闘の事で話している最中だよ。

皆が頼んでくれたおかげで、私だけ早めに終わってガルの看病に来れたの」


「決闘の事で、か。

エマさんやレイナさんもか?」


「うん、シガラ、イヴァンさん、ヘレナちゃん、エマさん、レイナさん、あの決闘に関わった人達は皆だね」


「そうか。

・・・ウィリアムは?」


俺の言葉に、ロミアは少し戸惑いながら返した。


「えっと、あの人は治療のために保健室にいると思う」


「・・・は?

治療って何のだ?」


むしろあいつよりアネッタのほうが治療必須なレベルだっただろ。


「ガル、何も覚えてないの?」


「覚えてないって、何をだ?」


俺がそう返すと、ロミアは少し困ったような顔をした。


「えっと、ガルはあの決闘の事どこまで覚えてる?」


「どこまでって・・・アネッタさんが俺を庇ってウィリアムに刺された所までだけど。

でも、そのあと俺は気絶したんだろ?」


「うん、ガルはたしかに倒れたよ。

でも、ガルが倒れたのはそれよりもう少し後だったの」


「・・・後?」


「うん・・・」


どういう事だ?


「ガルが突然叫んだ後、あのウィリアムって人に走っていってボコボコにしたんだよ」


「・・・俺が?」


「うん。

あの時のガル、すごい怖かった。

無表情で相手の顔を思いっきり踏んだり、股を蹴り上げたりしてた」


「俺、そんなことしたの?」


俺が尋ねると、ロミアは少し俯きながら頷いた。


「それでそのあと、先生達が騒ぎを知って駆けつけてきてガルを止めてくれて一応騒ぎは収まったんだよ」


「そうだったのか」


俺はまたベッドに体を倒し、天井を見た。


全然、覚えていない。


さっきロミアにも話したとおり、俺が覚えているのなアネッタが俺を庇った少し後までだ。


そのあとのウィリアムに何かした記憶とかは何一つ覚えていない。


無意識にやったっていうのか。


「それで、先生たちとしては今回の件どんな風に考えていそうなんだ?」


「うーん、学校側は決闘自体には口出ししないけど今回のアネッタさんが刺された件でウィリアムさんはほぼ退学で決まりだって言ってた。

今回は運が良かったけど、ガルもアネッタさんも一歩間違えれば死んでいたかもしれないし。

それに、ウィリアムさんも怪我が酷くてね」


「怪我って、俺が顔踏んだりしたってやつか?」


「うん、怪我自体は治癒魔法で治ったんだけど損傷が酷くて顔の形が変わって元に戻らないみたい。

元々の顔と全然違ってて、見た皆ビックリしてたよ」


マジか、俺そんなになるまでやったのか。


「ていうか、ウィリアムが退学ってエマさんやレイナさんはどう考えているんだ?」


「エマさんとレイナさんも退学には賛成してるよ。

ガル達を殺しかけておいて謝って済むはずがない、むしろ退学だけで済ましていいのかも怪しいってエマさんが言っていたし」


そこまで言っているのか。


まぁ、確かに俺やアネッタが殺されかけたのは事実だし、エマとしては俺がウィリアムを恨んで何か仕返しする時に仮に庇ったら自分にも何か仕打ちが来るんじゃないかって考えているんだろうな。


別にエマがウィリアムを庇っても、俺がエマに何かすることはないだろうけど。


多分今回の件はウィリアムの暴走だ。


エマからすれば俺を殺してもメリットはないし、そんな事をすれば自分の評判が確実に落ちる。


この学校には少なからず貴族も通っているんだ。


悪い噂が子どもから親に伝わって世間に広まれば、それこそ俺の後ろ楯がもらえない以上の打撃にもなる可能性があるしな。


そこらへんも色々考えれば、今回のウィリアムの退学はある意味最善の策だろう。


見方によってはウィリアムに責任をすべて擦り付けて捨てたという風に捉えられるかもしれないが、俺は殺されかけたほうだしな。


同情の余地なしだ。


「ガル、大丈夫?」


俺が黙っていたからだろう、ロミアが心配そうに尋ねてくる。


俺はそんなロミアに優しく微笑みかけた。


「あぁ、少し疲れただけだ。

皆が戻るまで少し寝るよ」


「分かった。

私も皆が戻つてくるまではこの部屋にいるから、何か用事があったら言ってね」


「分かった。

それじゃあ、おやすみ」


「うん、おやすみ」


俺はロミアに見守られる形で眠りについた。






ガルが眠って少しした頃、部屋の扉の鍵を開ける音が聞こえた。


扉の方を見ると、シガラ、イヴァンさん、ロミアの三人がいた。


「おかえり、みんな」


「ロミアちゃん、ガルはまだ目を覚まさない?」


シガラに尋ねられて、私は首を横に振った。


「さっき目を覚ましたよ。

皆が帰ってくるまで寝るって言ってたから、今起こすね」


そう言って私がガルを起こそうとすると、イヴァンさんが止めた。


「あっ、寝かせておいてあげてください。

彼も疲れているでしょう、わざわざ起こすことはありませんよ」


「分かりました。

それで、皆のほうはどうだった?」


私が尋ねると、皆部屋の中に入りシガラが話始めた。


「僕たちのほうは状況の確認とか、経緯を話しただけだよ。

特に罰があるわけでもないし、ガルも目が覚めたらムミータ先生辺りに決闘の事に関して質問はされるかもしれないけど特に罰は無いみたい」


「そっか。

ごめんね、私だけ先にこっちに来ちゃって」


私が謝ると、ヘレナが首を横に振った。


「ううん、ガル君の事この中で一番よく分かってるのはロミアちゃんだから。

ロミアちゃんがそばにいてあげたほうが良いよ」


「そうだね。

それに、少し良くない事になってるし」


「良くない事?」


私が首を傾げると、シガラが重く頷いた。


「ガルがウィリアムさんにやった事を見ていた人達がいてね。

ガルの良くない噂が流れ始めている」


「まぁ、そこまで長くないとはいえ一緒にいた私達でさえ少し驚いているんです。

他の人達なら尚更でしょう」


「そっか・・・」


私はガルを見た。


確かに、あの時のガルは少し怖かった。


でも普段のガルは優しいし、滅多に怒らない。


だけど、それは普段のガルを私が知っているからであまり知らない人達からすればやっぱり怖いのかな。


「ガル、大丈夫かな・・・」


私が言うと、イヴァンが少し笑いながら言った。


「まぁ、元々色々な噂が彼にはありましたからね。

今さら一つや二つ増えても彼は気にしないと思いますが」


「ううん、そうじゃなくて。

多分、ガルは私たちの事心配するんじゃないかと思って」


「あー、そういうことか」


シガラは納得したように上を見た。


「確かに、ガルは自分より僕たちの事を気にしそうだね」


「とりあえず明日もう一度みんなで集まって話しましょう。

別に何かあるという訳ではありませんが、その方が良いでしょう」


イヴァンさんのこの言葉を最後に、その日はそれぞれの部屋へと解散となった。


その帰り道、ヘレナが私に尋ねてきた。


「ねぇ、ロミアちゃん」


「ん?なに?」


「ロミアちゃんは、ガル君の事好きなんだよね?」


ヘレナの質問に、私は頷いた。


「うん、大好きだよ」


「じゃあ、ガル君とアネッタさんって人が同じ部屋でも何でそんなに冷静でいられるの?」


「え?うーん・・・」


私が考えていると、ヘレナが続けて言ってきた。


「あ、ゴメンね。

別に怒ってるとかじゃないよ。

ただ、私だったら不安になっちゃうなと思って」


「私も不安じゃない訳じゃないよ。

でも、ガルを好きな人は私に以外にもいるから今さらかなって思ってるだけだよ」


「そうなの?」


「うん、その人達の中じゃ私は一番魅力が低いから。

多分ガルの一番にはなれないから、そばにいられるだけで私は嬉しいよ」


「ロミアちゃんは、その他の人達が羨ましいとは思わないの?」


「羨ましい、とはちょっと思うけど私が知っている人でガルを好きな人って私も好きだから。

ガルがその人達の事を好きって言ったら、私は多分応援すると思う」


「そっか・・・」


「急にどうしたの?」


「ううん!何でもない!」


そのあと、私とヘレナは自分の寮の部屋へと帰った。

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