表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/154

第8話 器用と始まり

時が経つのは早い。

生まれ変わってから、本当にそう思うことが多かった。


俺が生まれてから、4年が経った。

魔法は、まだ混合魔法を使えるようにはなっていない。


ただ、結構細かい操作もできるようになった。

近いうちに、また混合魔法に挑戦してみるか。


そして、今日から新しい授業が始まる。


俺とジークは、庭でお互い向き合っている。


ジークの横には、大きめのバックが置かれている。


「よし、ようやくだなガル」


ジークが腕を組ながら、笑顔で言った。


「はい!待ち遠しかったです!」


「俺もだよ。シルビアがお前と魔法の授業をする度に、自慢するように話しをしてきてたからな。

正直、羨ましかったぞ」


シルビアそんなことをしてたのか。


どおりで、魔法の授業始めてから笑顔で増えたと思った。


「ということでだ、こっちの修行も気合いを入れていくぞ!」


「はい!先生!」


「あ、ガル。俺の事は先生じゃなくていつもどおり父さんでいいぞ」


ジークは、思い出したかのように俺に言った。


「いいのですか?」


「あぁ、剣術に関してはお前は今後俺よりも良い先生に巡り会える時があるだろうからな。

先生って呼ぶのは、その人に出会えるまでとっておけ」


「はい、わかりました」


俺が答えると、ジークは満足そうに頷いた。


「よし、ではこれから剣術の修行を始める」


「はい!」


「まずは、基本の型から始める」


そう言うと、ジークはバックから木でできた剣を2本取り出した。


「ガル、受けとれ」


ジークは、そのうちの1本を俺に渡した。


俺は、その剣を受けとる。


大きさは、刃であろう部分だけで50センチはあるだろう。


4歳の俺からすれば、結構な大きさだ。


「父さん、なぜ俺と父さんの剣の大きさが一緒なのですか?」


俺が聞くと、ジークは丁寧に説明してくれた。


「たしかに俺とお前では、体格の差はある。

その剣は、俺でちょうど良いくらいだろう。

だが、いつどんな状況で戦えるか分からない。

いつでも、自分の武器を使えるとは限らない。

だからこそ、お前にはどんな武器でも戦えるようになってもらいたいんだ。」


なるほど、ジークの言うとおりだ。


正直、今の俺じゃこの武器は使いにくそうだけど、それも修行のうちってことか。


「分かりました。やってみます」


俺が言うと、ジークは頷いた。


「よし、では本格的に始めるぞ」



こうして、俺とジークの剣術の修行が始まった。


最初は、型から入った。


やはりと言うべきなのか、光神流と流神流では型が違った。


光神流は、どこからでも攻撃できるようにフットワークを軽めにしておくスタイルだ。


腰は落とさず、威力より手数を重視する。


ボクシングに近い感覚だ。


一方の流神流は、腰を落としじっくり待つスタイルだ。


相手からの攻撃に合わせ、体重を移動させ一撃必殺の攻撃を放つ。


だが、この流派は相手を観察する観察眼といつ来るか分からない攻撃に瞬時に対応する集中力が必要となる。


マスターするのは、容易ではないだろう。



「よし、とりあえず基本の型は覚えたな」


ジークは、笑いながら言った。


「はい、まだまだ練習は必要そうですが」


「まぁ、天才でもない限り1回で完璧にとはいかないさ」


苦笑いしながらジークは言った。


「それと、型と素振りは毎日やっておけ。

じゃないと、すぐに鈍るからな」


「はい!」


ジークの言葉に、俺は元気よく返事をした。


「では、次は回避の修行だ」


「回避、ですか」


「あぁ、そうだ。

剣術において、回避はかなり重要だからな」


「どうして、ですか?」


俺が聞くと、ジークは説明してくれた。


「剣術において、相手の攻撃は避けて回避するか剣で防ぐかの二択がだいたいだ。

剣で攻撃を防いだ場合、その後攻撃するのは難しいし攻撃のスピードも落ちる。

ただ回避なら、避けた後そのまま攻撃に転じやすい。

そっちのほうが、光神流でも流神流でも有利だからな」


なるほど、ジークに説明されて納得した。


「よし、ガル。光神流の構えをしてみろ」


ジークに言われて、俺は光神流の構えをとった。


「これから俺は、お前に攻撃をする。

それを剣を使わず回避しろ」


「分かりました」


俺が言うと、ジークは頷いて俺と同じく光神流の構えをとった。


「いくぞ!」


そう叫ぶと、ジークは俺に攻撃を仕掛けてきた。


俺に向かって、ジークの右手に持った剣の突きが放たれる。


危ねっ!


俺は、左に避ける。


俺は剣を両手で持っているが、ジークは片手だ。


スピードが違う。


俺が避けるのを見ると、ジークは横に剣を振った。


俺はそれをしゃがんで避ける。


剣がしゃがんだ俺の、髪を撫でる。


ギリギリだ、少しでも気が抜けない。


ジークの剣が、俺の頭に振り下ろされる。


俺は、それをバックステップで避けながら距離をとった。


「はぁ、はぁ、くそっ」


「器用なことをするなぁ、ガル。

初めてにしては、良い動きだぞ」


いや、攻撃をかわせたのは偶然だ。


前世で読んだマンガやラノベ何かの動きをそのまま真似ただけだ。


ジークが本気なら、かわせたはずはない。


多分だがジークは、本気じゃない。


「父さんが本気なら、とっくにやられてますよ」


俺が言うと、ジークは笑いながら答えた。


「初めての修行で本気を出すわけないだろ。

それじゃ、修行にならないし」


「たしかに、その通りですね」


俺は、笑いながら答えた。


「さて、続きを行くぞ」


その後、俺とジークの修行は続いた。




「よし、今日はここまでだな」


「ありがとうございました!」


修行の終わりを告げて、剣を納めるジークに俺は頭を下げた。


結果は、ボロボロだった。


修行の途中から、ジークの攻撃をかわしきれなくなった。


疲れが出てきたのもあるだろうが、かわし方を読まれ始めたというのが俺の見解だ。


・・・難しいな、剣術は。


甘く考えていた訳じゃないが、予想以上だ。


魔法よりも、習得に時間はかかりそうだ。


それでも・・・覚えたいんだよね、なぜだか。



「・・・父さん」


俺は、一緒に家に戻るジークを後ろから呼んだ。


「ん?どうした?」


ジークは俺の方を振り向いた。


「・・・明日もお願いします!」


俺は笑顔で言った。


「おう!任せとけ!」


ジークも笑いながら俺に返した。


俺とジークは、二人で家に戻った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ