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第87話 裏切りと生きる目的

部屋の中には、殺気や憎悪が満ちていた。


それは目の前の者達から放たれているものなのか、はたまた先程のモンドイの発言のせいなのか定かではなかった。


しかし今確実に言えることは、この状況が最悪だって事だ。


「モンドイ!先程の言葉はどういうことだ!

冗談だとしてもタチが悪いぞ!」


後ろからライナスの叫び声が聞こえる。


モンドイはその言葉に、笑いながら首を横に振った。


「冗談などではありませんライナス様。

いえ、ライナス。

私は、お前とその子ども達を殺す」


「なぜだモンドイ!なぜこんな事を!」


ライナスの言葉に、モンドイはこちらを嘲笑うような顔で見た。


「なぜ?

当主の役目も果たそうとしない愚かな者に従うのには飽き飽きしたからですよ!」


「当主の役目だと?」


「えぇ、そうですよ!

過去に愛した女をいつまでも引きずり妻を娶る事をせず、跡取りを作らない!

挙げ句の果てに周りからは男色の変態と言われても何も思わない!

そんな恥さらしな人間に誰が好き好んでついていくものか!」


モンドイの言葉に、俺は後ろにいるライナスを見た。


そうか、こいつが男色だって噂されていたのは他の女の人に手を出さなかったからか。


ていうことは、ライナスは今でもアルマの母さんの事を・・・。


俺は前を向いて、モンドイを見た。


「あんた、モンドイって言ったな。

あんただろ、ウィルズ兄弟の犯行に似せてライナスさんの金を盗んでジェイクに依頼をさせるように仕向けたのは」


俺がそう言うと、モンドイはこちらを気持ち悪い笑顔で見た。


「あぁ、その通りだ。

そこのバカは特に疑いもせずにすぐに信じたよ。

本当は自分の金が俺に使われているとも知らずにな」


「そしてライナスさんは、あんたにジェイクへの依頼はウィルズ兄弟の家を燃やす事だと言ったはずだ。

しかしあんたは、ジェイクと直接会った時に依頼はアルマの家を燃やす事だと頼んだ。

別にバレるとは考えていなかったようだな。

それもそうか、ライナスさんがジェイクと直接会うことはない。

つまり、ジェイクへの依頼内容が確認されることはない。

しかも、もし今後ウィルズ兄弟が盗みをしてもあの兄弟の家はアルマの家の隣。

あんたは仮に問い詰められても、ジェイクがミスをしたと言えばいいんだからな。

それに、これは俺の完全な予想だがあんたは元からその計画を実行するつもりだったから盗んだ金は依頼料の代わりにしたはずだ。

ここまで何か間違っているところはあるか?」


俺がそう言うと、モンドイは笑いながら答えた。


「頭の回るガキだ。

全部お前の言葉通りだ。

どうだ?正解のご褒美が欲しいか?」


「なら褒美に教えてくれよ。

何であんたはそこまでしてアルマの家を燃やした。

狙いはなんだ?」


俺が尋ねると、モンドイはこちらを指差した。


「そんなの決まっているだろ。

そこのガキとあの穢れた女を殺すためだ」


「・・・どういうことだ」


「どういうことも何もない。

あの女はこの家を乗っ取る為にそこのバカに近付き、挙げ句の果てにガキまで作りやがった。

穢れたメイドと貴族の当主が結婚など許されないことだ。

あの女はそれを知ると、逃げ出して身を隠しやがった。

別にそれだけなら俺だって何もしなかったさ。

だが、そこのバカはあの腐った女にご執心で他の女を妻にしなかった。

そうなってくると話は別だ。

仮にあの女のガキが生まれたらそいつがこの家を継ぐ可能性が高くなる。

レイキュア家には、他に身内がいないからな。

それは絶対にしてはいけない。

メイドなどという汚ならしい者の血が入った者が貴族の当主?

妄想すら許されない愚かな事だ」


モンドイは、殴りたくなるようなムカツク笑みを浮かべた。


「あの女が前々からこの町にいることは知っていた。

だが、あのエリアは貴族でもなかなかに手出しができない。

だから、俺はバカな主を利用したのさ。

しかし、殺す本命はガキであの女はそのオマケだったんだがな。

まさかオマケが死んでガキが生き残るとは、死んでもなお忌々しい。

まぁ、ジェイクから依頼達成の報告を受けた時は心の底から愉快だったけどな」


モンドイが言葉を発する度に、俺の中には怒りが溜まっていった。


多分、他の二人も同じだろう。


だが意外にも、一番最初にキレたのは俺でもアルマでもなかった。


「モンドイ、いい加減にしろ」


ライナスが今まで違い、ドスの効いた声で言った。


「ん?どうしましたか?

無能当主殿」


「・・・別に私への暴言は許そう。

確かに私は愚かで、みっともない人間だ。

しかし、サイラを貶す事は絶対に許さない。

彼女ほどできた人間を、私は他に知らない。

貴様のようなゲスに、彼女を悪く言う資格はない!」


ライナスがそう言うと、モンドイは大声で笑った。


「おいおい、お前が言えた事じゃないだろ。

その足りない脳ミソちゃんと使って考えてみろよ。

あんたがもっとしっかりしていれば、あの女だって死なずに済んだかもしれないんだぜ?

自分の力の無さ棚に上げて人に説教か?

人間のやることとは思えないな」


モンドイの言葉に、ライナスは何も言い返さなかった。


いや、言い返せなかった。


多分それは、ライナス自身が考えていた事だからだろう。


モンドイがアルマを見る。


「おい、そこのガキ。

お前、何でいるんだ?」


「・・・なんだと」


「だってそうだろ、お前が生まれなければお前の母親が死ぬことはなかった。

お前の父親が俺に裏切られる事もなかった。

お前は生きているだけで、人を殺してるんだぞ。

なぁ、何でお前は生きてるんだ?

生きてて恥ずかしくないのか?

恥さらしながら生きてて何が楽しいんだ?

死にたくならないのか?

何で死なないんだ?」


モンドイは、まるで悪口を覚えたばかりの相手の事を考えない子どものようにアルマに罵声を浴びせた。


俺は、アルマのほうを見た。


アルマは、泣いていた。


眼から涙を流しながら、ただモンドイからは決して目を逸らさなかった。


しかし、モンドイはアルマへの罵声をやめなかった。


「はぁ?何泣いてんだ?

泣けば許されるとでも思ってるのか?

やっぱ穢れた女のガキは、頭の中まで穢れてんだな。

・・・ほんと、死ねよお前」


その時、俺の色々なものを受け止めていた何かから大量の怒りが溢れた。


そして、俺はガマンするのをやめた。


「おいおい、何か言い返してみたらどうだ?

この・・・」


「うっせぇよ、油まみれのクソ肉団子」


俺がそう言うと、モンドイはこちらを睨んだ。


「あぁ?何だって?」


「全身の皮剥がされて海に捨てられてこいって言ったんだよ。

クズ生物」


俺はそう言って、モンドイのほうへと歩みを進める。


「さっきからベラベラ汚ない面引っ提げてうるせぇんだよ」


「ガキがいきがるんじゃねえぞ。

後ろの兵士達が見えないのか?」


「こっちは、お前のムカツク面しか見えてねえよ」


俺はそう言って、モンドイに右手の手の平を向けた。


そして、魔力を注入する。


属性は、火だ。


「はぁ?何の真似だ?」


モンドイは、俺の行動について尋ねてくる。


俺はそんなモンドイを睨み付けながら言った。


「少しは自分で考えろ。

ライナスにあれだけ言っておきながら、お前こそ頭の悪い人間だな。

アルマが生き恥晒してる?

ふざけた事言ってんじゃねぇぞ、俺から言わせればお前の方がよっぽど生き恥晒してるぞ」


「・・・おい、クソガキ。

俺はあんまり寛大なほうじゃねぇ、これ以上生意気な事言うとタダじゃおかないぞ」


「安心しろよ、こっちはとうの昔にブチギレてんだよ」


俺はそう言って、右手の手の平を真上へと向けた。


「弾ける火花スパークポッピング


俺がそう言うと、手のひらから小さな火の玉が飛び出してそのまま天井を貫通して空へと行った。


そして、それは綺麗な光で四方に弾けた。


それを見たモンドイは笑った。


「なんだそのしょぼい魔法は?」


俺は、その言葉をあえて否定しなかった。


「確かにこの魔法はショボい。

だけどな、この魔法の引き起こすこのあとの展開はショボいとは言えないぞ」


俺がそう言うと、モンドイは鼻で笑った。


「ハッ、所詮はガキか」


「大丈夫だ、てめぇにはもう少し良い魔法を見せてやるよ」


俺はヒットマンスタイルのポーズをとる。


そして、ぶらりと下げた左手の拳に魔力を注入する。


属性は土だ。


「ガキの余興に付き合うほどこっちも暇じゃねぇんだよ。

おい、あのガキを取り押さえろ」


モンドイが命令すると、後ろから一人の鎧を着た兵士が前に出た。


しかし、もう遅い。


石鉄砲ストーンガン!」


俺は魔法の名前を叫び、ジャブを放った。


すると、俺の拳より少し大きめの石がモンドイの右足目掛けて飛んでいった。


そして、その石はモンドイの右足に当たると”グギッ“という鈍い音をたてた。


その瞬間、モンドイはその場に倒れ苦しそうな表情で自分の足を両手で抑えた。


間違いない、あの音は骨が折れた音だ。


「グァァァ、あ、足!足がぁぁぁ!」


悲痛な叫び声をあげるモンドイに、俺は一歩また一歩と近づいた。


モンドイの隣にいた兵士は、腰に備えていた剣を抜きその切先を俺に向けた。


俺は、ありったけの殺気を混ぜてその兵士を睨んだ。


「隣のやつみたいになりたくなかったら、その剣をしまえ」


「ひぃぃぃ!?」


兵士はまるで化け物でも見るような目で、俺を見ながら慌てて持っていた剣をしまった。


俺は、痛がりながら床の上で左右に動くモンドイを見下ろした。


・・・目障りだな。


俺は自分の右足を上げて、モンドイの顔面を全体重を乗せて踏みつけた。


「ギュグ!」


聞いたことのない声を発するモンドイ。


やっと止まったか。


俺はモンドイの顔に乗っている自分の足を、振りかぶるように後ろへ持っていき狙いを定めてモンドイのこめかみを全力で蹴飛ばした。


すると、モンドイの頭が少しだけ移動した。


とうの本人はというと、目を見開いて「あ・・・が・・・」と言葉にならない声を出していた。


俺がそんなモンドイを見ていると、廊下の方からデカイ声が聞こえた。


「我々はボニータ家直属の護衛騎士だ!

貴様らを捕らえに来た!

抵抗する者は容赦なく殺す!抵抗の意志がない者はその場に武器を捨て両手を地面につけ!」


その声の正体はオリビアに頼んでおいた兵士達だった。


どうやら、俺の出した合図に気付いたようだ。


「な、何でボニータ家の騎士団が!?」


多くの鎧を着た兵士達が慌てており、俺の隣の兵士もその一人だった。


「ボ、ボニータ家の騎士団だと・・・。

なぜ、あいつらが」


他の兵士同様状況を理解できていないモンドイの言葉に、俺は扉の方を見ながら言った。


「俺が最初に使った魔法。

あれは、外に待機させていた兵士を屋敷の中へ突撃させるための合図代りだったんだよ」


「なん、だと・・・。

ガキ、いったい何者だ」


「そんなのその足りない自分の脳ミソ使って考えろ」


俺はモンドイにそう言って、アルマとライナスのもとへ戻った。


その後、俺たち三人はボニータ家の騎士団保護され屋敷を出た。


そして、俺とアルマはボニータ家の屋敷へと戻りそれぞれいつもの私服へと着替えて今回の騒動と事の真実をオリビアに話した。


「そんな事になっていたのね・・・」


オリビアは俺たちから話を聞いた後、深く息を吐いた。


「ふぅー、まぁ何はともあれ二人とも無事で良かったわ」


「オリビアさん、ライナスさんはこれからどうなりますか?」


俺が尋ねると、オリビアは少し深刻そうな顔をした。


「とりあえず、今回の件でレイキュア家の内側はボロボロになってしまったからまずはそこの復旧からって感じになるとは思うわ。

ただ、一部のメイドや執事を除いてほとんどの部下が捕まってしまったからかなり大変でしょうけど」


「そうですか・・・」


今回の件、ライナスは何も悪くなかったしむしろ被害者側だ。


何より、あの人はアルマの父親だ。


なにか力になれる事があれば、オリビアに相談して力になってもらいたいんだが。


・・・いや、やめておこう。


ライナスを助けても、オリビアにプラスになることはほとんどない。


そんな見返りなしの状態での人助けは、さすがの俺でも頼めない。


まぁ、この件はここまでにしといてと。


俺は、隣に座って黙ったままのアルマを見た。


「アルマ、お前はこれからどうするんだ?」


俺が尋ねると、アルマはこちらを見た。


「どうするって?」


「せっかく父親が見つかったんだ。

一緒に暮らすのもありなんじゃないか?」


俺がそう言うと、オリビアが賛同した。


「そうね、アルマちゃんから頼めばライナスも断ることはないと思うわ」


俺とオリビアの言葉に、アルマは少し考えた後首を横に振った。


「いや、やめておく。

顔すら見たことなかった男を急に父親って呼ぶのは難しいし、それにこれからあっちは忙しくなるんだろ?

俺がいたら邪魔になるだろうし」


そんな事はないと思うが。


いや、アルマなりに気をつかったのか。


なら、これ以上言うのはやめておこう。


「そうか、まぁお前がいいならそれでいいや」


俺はそう言って、椅子から立ち上がった。


「さてと、オリビアさん。

僕、アルマをオアシスまで送ってそのままあっちに泊まりますね」


「分かったわ、今日は二人ともお疲れ様」


「はい、オリビアさんもありがとうございました」


俺とアルマはオリビアにお礼を言って、ボニータ家の屋敷を出た。








オアシスへと向かう俺とアルマ。


隣同士並んで歩く俺とアルマを月明かりが照らす。


しかし、二人の間に会話はない。


俺が少し気まずく思った頃、アルマがポツリと言った。


「・・・なぁ、ガルファット」


アルマが歩みをを止めた。


俺も、歩くのをやめてアルマを見る。


「ん?どうした?」


「俺は、生きてちゃいけないのかな」


「・・・どうしたんだよ、急に」


唐突なアルマの言葉に、俺は他の言葉を返せなかった。


「今日言われた事をずっと考えていたんだよ。

母さんは俺が生まれなければ命を狙われる事はなかったし、あの男だって部下に裏切られる事もなかった。

全部、元々は俺が生まれたのが原因だ」


アルマは下を向いているが、その眼からは涙を流しているのが分かった。


「ガルファット」


アルマは俺の名前を呼ぶと、くしゃくしゃになった泣き顔でこちらを見た。


「・・・俺、生まれてこないほうが、よかったのかな」


「・・・」


そんなことないって、言ってやりたかった。


真っ先に否定してやりたかった。


だけど、そんな事したってアルマの傷ついた心は多分救えない。


アルマは今、生きる目的を見失っている。


自分のせいで最愛の母親が殺されて、自分のせいで何も悪くない父親が悲惨な目にあったと思っている。


そんなアルマに、俺がかけれる言葉なんて。


俺はまた、大切な人を失うのか。


・・・そんなの嫌だ!!


無い頭振り絞れよ!


カッコいい言葉なんていらないんだよ!


カッコ悪くてもいいんだよ!


アルマを救えるなら何だっていいだろ!


思った事ぶつけろよ!


着飾った言葉じゃなくて!


思いのこもった言葉を伝えればいいだろ!


「アルマ」


俺は、アルマの顔を真剣な目で見た。


「なんだよ・・・」


「・・・俺は、お前が好きだ」


「ハァ!?お前こんな時になに言って・・・」


その後の言葉を言おうとしたアルマは、固まった。


俺の顔を見て、冗談じゃない事に気付いたのだろう。


「俺がバカな事を言って殴られて、それで呆れたり笑ったりするアルマが俺は大好きだ。

俺、やっぱりアルマ相手が一番何も考えないで話せるんだよ。

お前が一番安心出来るんだよ。

それに、お前に救ってもらった事もあった。

今でも、すごい感謝してるんだよ。

だから、今度は俺に何かさせてくれ。

お前が俺を安心させてくれたように、俺もお前に何かして幸せになってほしい。

だから頼む!

お前がよければ、これからは俺を理由にして生きてくれ!

お前のその命!俺も一緒に背負わせてくれ!」


俺は地面に膝と手をついて、土下座をした。


少しの沈黙が流れる。


失敗、したのだろうか。


「・・・ガルファット、一つ教えろ」


アルマに名前を呼ばれて、俺は顔を上げた。


「お前、今の告白じゃないよな?」


「告白?

いや、思っていたことを言っただけなんだが・・・」


俺がそう言うと、アルマはやはりと言った感じで溜め息を吐いた。


「はぁ、だと思ったよ。

・・・まったく、本気にした俺がバカだったよ」


「ん?何か言ったか?」


「なんでもねぇよ」


「・・・そっか、それにしても良かった」


俺がそう言うと、アルマが首を傾げた。


「何が良かったんだ?」


アルマに尋ねられて、俺はそのまま苦笑いをした。


「いやぁ、あそこまで自分勝手な事言ったから今ごろアルマにいつもみたく殴られるんじゃないかと思って」


「へぇ、お前俺をそんな人間だと思ってたのか。

分かったよ、望み通りしてやるからとりあえず目を閉じろ」


ヤバイ、どうやら言ってはいけない事を言ってしまったようだ。


「あの、アルマさん。

目は閉じなきゃダメですか?」


「あぁ、ちゃんと閉じろ。

そして、俺が開けていいっていうまで絶対目を開けるなよ」


「・・・はい」


俺は観念して目を閉じた。


ううっ、何も見えないから余計怖い。


俺がいつ来るか分からない痛みに怯えている時だった。


後頭部を何かに優しく押された。


そして、唇に柔らかい物が当たった。


何だ!?


俺は目を開けて確認しようとしたが、アルマとの約束があるので目は開けなかった。


少しすると、唇に当たっていた物が離れてアルマの声が聞こえた。


「よしっ、目を開けていいぞ」


アルマに言われて、俺は目を開ける。


すると、目の前には顔を真っ赤にしたアルマがいた。


「あの、アルマさん」


「な、何だよ」


「さっきのはいったい・・・」


「いつもどおり殴っただろ」


「いや、いつもより優しかったんですが。

ていうか、その後のは?」


俺がそう尋ねると、アルマは慌てて立ち上がった。


「夜も遅いしさっさと帰るぞ」


「ちょっ!アルマ!」


俺は先に歩き出したアルマの後を追う。


結局、アルマに訊いても最後まで教えてもらえなかった。


しかし、そのあとアルマは笑顔でニコニコしながら俺の手を握ってくれた。


どうやら、俺は大切なやつを友達を失わずに済んだようだ。

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