表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/154

第28話 誕生日4th

俺たちは、無事に家に戻ってきた。


ジークが扉を開けて、家の中に入った。


皆も、そのあとに続いて中に入っていった。


「フィーネ、こっちの事は良いから先にお風呂に入ってきなさい。

汗流してさっぱりしたいでしょ?」


「ありがとうございます

では、お言葉に甘えて先に入らせていただきます」


シルビアが言うと、フィーネは素直に頭を下げて自分の部屋へ行った。


多分、着替えを取りに行ったのだろう。


他の皆は、キッチン方に向かっていった。


料理の準備や、散乱した椅子やテーブルを直すのだろう。


「ところでガル、フィーネを助けるためとはいえ1人で勝手に行って皆を心配させたのは黙って済ますわけにはいかないわね」


まだ残っていたシルビアが、俺の方を見て行った。


確かに、ロミアに伝言役を任せたとはいえ俺の独断でやったことだ。


魔法や能力、戦うための術があるからってまだ幼い子どもが一人で勝手に突っ走っていったら、それは心配するよな。


しかも俺一人で助け出せたならまだしも、皆が来なきゃ今頃死んでたかもしれないっていうんだから、言い返す言葉もない。


「はい・・・ごめんなさい」


「・・・でも、あなたがあそこで追っかけていなかったら、フィーネはここにいなかったかもしれない。

そう考えると、あなたを叱るべきなのか褒めるべきなのか分からないわね」


シルビアは、苦笑いしながら言った。


「一人で勝手に行ったことは反省しています。

怒られる覚悟なら、できています」


俺が苦笑いしながら言うと、シルビアはしゃがんで俺の頭を撫でた。


「そう?

・・・じゃあ、みんなに心配をかけたお詫びとしてガルには私から任務を与えましょうか」


「任務、ですか?」


俺が聞くと、シルビアは笑顔でうなずいた。


「えぇ、それはね・・・」








いつ以来かしら、皆さんより早くお風呂に入るだなんて。


私は服を脱ぎながら、考えていた。


多分、この家に来た最初の頃以来かしら?


私は脱いだ服をかごに入れようとした時、その袖を部分を触って気がついた。


そういえば、今日連れ去られる時に袖が破けてしまったのでしたっけ。


一応服は代わりがあるのでいいんですけど、何か勿体ない気がしますね。


私は、かごに入れようとした服を畳んで脱衣所の自分の着替えの上に置いた。


何か有効活用できないか考えてみようかしら。


私はそんなことを考えながら、浴室の扉を開けた。


まずは体を洗おうと、シャワーの前に行った。


そして、シャワーで体を洗っている時だった。


浴室の扉が開く音がした。


どなたでしょう?


私が扉の方を見ると、ある意味では1番の予想外の人が立っていた。


「一緒に、入っても良いですか?」


その人は笑いながら言った。


「私は構いませんが、どうされたのですか?

ガルファット様」


私が聞くと、ガルファット様は浴室の扉を閉めながら答えた。


「さっき、母さんに言われたんですよ。

あなたも汚れただろうから、一緒に入ってきなさいって。

確かに、今日は壁に投げられたときもあったので、ご飯の前に綺麗にしとこうかと思いまして」


「そういうことでしたか」


それなら納得できますね。


ガルファット様は、基本誰かと一緒にお風呂に入りたがらない人ですから。


正確に言えば、一緒に入るのを恥ずかしがるの方が正しい気がしますね。


この前私がご一緒したときも、最初は恥ずかしがられてましたし。


ご一緒したとき・・・最後に自分が何をしたか思い出しました。


私はガルファット様から目を逸らした。


明らかに、お湯の温度が熱い以外の理由で顔が赤くなってしまいました。


「フィーネさん、大丈夫ですか?

顔が赤いですよ?」


気づくと、ガルファット様がすぐ近くで私の顔を下から覗きこんでいた。


「は、はい!だ、大丈夫です!

あ、それより早く洗わないと!

お待たせさせてしまって、申し訳ございません!」


私が急いで体を洗おうとすると、ガルファット様が私の手を握って止めた。


「ダメですよ、フィーネさん。

男もそうですが、女性の方は特に美容に気を使って丁寧に洗わないと。

髪だって、こんなに綺麗なんですから雑に扱ったら勿体ないですよ」


「は、はい。

ありがとうございます」


私がお礼を言うと、ガルファット様は笑いながらそっと手を離した。


「僕は急いでる訳じゃないですから、ゆっくり洗ってください」


「・・・はい」


私はガルファット様のお言葉に甘えさせてもらって、いつも通り丁寧に洗った。







「ガルファット様、私は終わりましたのでお代わりしますね」


私が言うと、ガルファット様は笑顔で頷いた。


「ありがとうございます」


そう言って、私はガルファット様と交代した。


「フィーネさん、僕の事は気にしなくていいですから先に湯船に浸かって下さい」


ガルファット様は、体を洗いながら振り返らずに後ろの私に言ってきた。


「気づいてらっしゃったのですね」


私が苦笑いしながら言うと、ガルファット様は笑いながら私に言った。


「どこから攻撃されるか分からない修行もやってますから、嫌でも気配に敏感になるんですよね」


「・・・それでは、お先に入らせていただきますね」


私はガルファット様に断りをいれて、先に湯船に浸かった。


ガルファット様の背中が目に入る。


私は今日、あの背中に守られたんですね。


子どもだからとか関係ありません。


私を守ってくださったあの背中は、紛れもなく男性の背中でした。


とても、頼もしくて格好良いと思いました。


・・・ガルファット様が生まれたのが後10年くらい早かったら、きっと今後目を合わせるだけでも恥ずかしかったでしょうね。


一緒にお風呂だなんて、できませんね。


「ふぅ、気持ちいい~」


私がそんなことを考えていると、体を洗い終わったガルファット様が入ってきた。


「そういえば、フィーネさん。

父さんや母さんとか年上の人に敬語使うのは分かりますけど、僕には使わなくても良いんじゃないですか?」


ガルファット様が不思議そうに聞いてきた。


「いえ、私はここのファーリン家のメイドです。

ジーク様やシルビア様にはもちろんですが、そのご子息であるガルファット様にも敬語を使うのは当然ですよ」


「でも、家族ですよ?

身内に、しかも年下に敬語使うなんて何か不自然な感じがするんですよね。

僕自身、未だに慣れないし」


ガルファット様が苦笑いしながら言った。


「・・・家族、ですか」


この単語にありがたさを感じるのは、あの日の記憶があるからですかね。


「そういえば、前にガルファット様には私が何でメイドになったかを聞かれてましたね」


「ん?そういえば、そうですね」


「・・・私は元々、魔法の国ローリンのごく一般の家庭の生まれなんですよ」


「え?・・・」

私の言葉に、ガルファット様は驚いた顔をした。


「父も母も魔法や剣術は使えませんでしたが、商人をしていました。

決して大きいお店ではありませんでしたが、常連のお客さんもいて食べることには困らないくらいの稼ぎもありました。

ただ、父も母も忙しい身でしたのであまり構ってはもらえず一人で本を読んでることが多かったですね。

私が読書好きなのは、その時からの影響です」


「・・・それなら、何でメイドに?」


ガルファット様の言葉に、私は俯いた。


あの時の事は、今でも鮮明に覚えている。


「・・・あの日も、今日と似ていました。

その日は、父と母が一緒に買い物に出掛けようと言ってきたのですが、私は読みかけの本があったので留守番をすると断りました。

そして二人が出掛けた後、知らない男の人達が家に入ってきました」


今思えば、あの時一緒に買い物に出掛けていれば、あんなことには。


「今日と同じでした。

私はその男達に誘拐され、どこか知らない場所の建物に連れていかれました。

頭の中では、父と母に助けを求めていました。

当時はまだ子どもでしたから、自分から逃げようなんて考えられなかったんですよね。

そして、その場所から男たちが移動しようとした時父と母が助けに来てくれました。

私の名前を呼んで、その男達の前に立ち塞がってくれました」


私の話をガルファット様は、真剣な顔で聞いてくださっている。


この人は本当に、お優しい人です。


「ですが、父と母には男達に抵抗する術がありませんでした。

最終的には、父と母は私の目の前でその男達に殺されました」


あの時の光景は一生忘れないでしょう。


私が大切な人達を失ったあの瞬間を。


「その後、駆けつけた憲兵達が男達を捕らえました。

それで、私も一応は駆けつけた憲兵の一人に保護されて引き取ってくれる人がいないか探して貰える予定でした。

・・・ですが、保護した憲兵は自らの私利私欲のために私を奴隷商に売り払ってそのお金を手に入れてました。

当時の私は、父と母を失ったショックに加えて気付いたときには奴隷になっていたという事実に耐えきれずに精神が壊れる寸前でした」



「フィーネさん・・・」


私の顔を見ながら、ガルファット様は小さく私の名前を呟いた。


大丈夫です、ガルファット様。


確かに、あの時期のことを思い出すと今でも苦しくなります。


ですが、私はその先の事を話さなければいけません。


「そんな状態で、奴隷として売られてましたから買い手もなかなかいませんでした。

ですが、ある日若い男女の二人組が来たんです」


「それが、父さんと母さん、ですか?」


私は静かに頷いた。


「はい。

正直、子どもながらに物好きだと思いました。

こんな私を買っていくんだなんて、って。

そして、私はジーク様とシルビア様に連れられてこの家に来ました。

最初は、家事をシルビア様に教えてもらいながら、たくさん失敗してました。

お皿を割った事も、料理を黒こげにしたことも、洗濯物を泡だらけにしたこともありました」


今思うと、本当に色々なことをしました。


「ですが、ジーク様とシルビア様はどんなときも、私がどんな失敗をしたときも優しく許してくださいました。

お皿を割ってしまった時も、何よりまず私の心配をしてくださいました。

料理を黒こげにしてしまった時も、残さず食べてくださいました。

洗濯物を泡だらけにしてしまった時も、一緒に洗ってくださいました。

私が落ち込んでいる時、ジーク様は私の頭を優しく撫でてくださいました。

私が夜震えて眠れない時、シルビア様は私の体を優しく抱きしめてくださいました。

だから、たからこそ・・・」


自分の目から涙が溢れている事に、今気がついた。


「娘だと言ってもらえて、嬉しかった!

私なんかのために、怒ってくれたことが嬉しかったんです!

でも、何より!」


私は、ガルファット様を抱きしめた。


「ガルファット様に家族だと言われたことが1番嬉しかったんです」


「フィーネさん・・・」


ガルファット様が私を優しく抱きしめてくださった。


「ガルファット様が私の前に立ってくださった時、父と母の姿が重なりました。

その時思ったんです、この人も死んでしまうんじゃないかって。

・・・ガルファット様、ご無事で良かった」


「心配させてしまって、すみませんでした」


ガルファット様は、優しく私の頭を撫でてくださった。


「・・・ガルファット様、私が敬語を使わない代わりに1つお願いを聞いてもらえますか?」


私はスッと離れて、ガルファット様に言った。


「お願い、ですか?いいですよ」


「ガルファット様も、敬語を使わないで私と話してくださいますか?」


私がお願いすると、ガルファット様は驚いた顔をした。


「僕も、ですか?

良いですけど、不快にさせてしまったらすみません」


ガルファット様は、私に頭を下げられた。


「いえいえ、むしろガルファット様は本来私に敬語を使わなくてもよろしいんですから。

気にしないでください」


「そうですか?

じゃあ、お言葉に甘えて」


そう言うと、ガルファット様は少し間を空けた。


「・・・フィーネ、あの時俺が言った言葉は全部本心だ。

だから、どうか自分を大切にしてくれ。

俺、フィーネと一緒に読書するの好きなんだ。

できなくなったら、寂しいからさ」


ガルファット様が苦笑いしながら言った。


・・・格好いい。


正直、惚れてしまう所でした。


「こんな感じで、良いですか?」


ガルファット様が、私に訪ねてきた。


「は、はい!

では私も、やらせていただきますね」


私は、深呼吸した。


何でこんなに焦っているんだろう。


落ち着いて、心を落ち着かせて。


こういうときは笑顔のほうがいいですよね。


私は笑顔で言った。


「・・・私も、ガルと一緒に本を読んでるときが1番楽しいよ。

だから、お願い。

私よりも長生きして、これからも一緒に読書して?」


私が言うと、ガルファット様は顔を押さえて目をそらしてしまった。


どこかおかしい所でもあったかしら。


「どこかおかしい所でも、ございましたか?」


私が訪ねると、ガルファット様は少し顔を赤くしながら私を見ながら言った。


「い、いえ!おかしいところはないです!

ただ・・・可愛すぎて直視できなかっただけです」


ガルファット様が恥ずかしそうに言った。


私も恥ずかしくなってきた・・・。


「・・・せっかく敬語を使わなくなったのに、結局戻っちゃいましたね」


ガルファット様が苦笑いしながら言った。


「そうですね・・・」


私も苦笑いしながら答えた。


何で・・・何でこんなに胸の鼓動が激しくなるの?


「さて、のぼせちゃったんで先に上がりますね」


そう言って、ガルファット様は湯船から上がった。


「あ、そうだフィーネさん」


「はい、何ですか?」


ガルファット様は、私の耳もとでそっと呟いた。


「二人きりの時は、敬語使わないようにしませんか?

そのほうが僕も楽なので」


私はガルファット様の言葉に反射的に頷いた。


そんな私を見て、ガルファット様は嬉しそうに微笑んで浴室を出た。


親以外で敬語使わなかったのは、ロミアちゃん以来ですね。


・・・ガルファット様、このお返しはいつかしますからね。


私はいつもより激しく動いている胸に、手を当ててそっと誓った。








俺は、脱衣所で濡れた体を拭いて服を着た。


そして、着替え終わってふとさっきの事を思い出した。


・・・なんだよあれ。


なんだよ、あのフィーネの嬉しそうな笑顔。



むちゃくちゃ可愛いじゃねぇかこのやろぉぉーー!!!


なに!?お姉さんキャラが敬語やめるとあんな萌えるものなのか!?


心臓バクバクですけど!?


俺の心臓が痛いほど、早い鼓動をしている。


あの時シルビアに任務で、ご飯作るまでの時間稼いで来て、ついでに今日の事で暗くなってたら励ましてきてって言われたから即興で風呂に来たけど・・・。


俺は、浴室の方を見た。


フィーネがあんな過去持ってるなんて、予想外だったな。


いつも家事テキパキやって、笑顔で明るいところからは想像つかないよな。


まぁ、それはそれとしてだ、


・・・俺に家族って言われたことが嬉しかったか。


まったく、どっちが励まされたか分からないな。


さてと、こっちの任務も忘れないようにしなきゃな。


俺は、フィーネの着替えの置いてある所を見てそう思った。









俺はリビングの扉を開けた。


すると、中はテーブルとイスがキチンと並べられていてその上には大量の料理が並んでいた。


ダメだ、腹減ってきた。


「ガルー、おかえりー」


俺を見るなり、ロミアが声をかけてきた。


どうやら、食器並べたり手伝いをしているみたいだ。


「おぉ、ガルファット君。

フィーネとイチャイチャできたか?」


カリアが笑顔で言ってきた。


後ろであなたの娘がものすごい顔で見てるから言わないで。


「あ、ガルファット君おかえり~」


「任務ご苦労様。

おかげで準備できたわ」


クレアとシルビアが声をかけてきた。


「そういえば、父さんはどこにいるんですか?」


辺りを見渡すと、ジークの姿がない。


「あの人ならトイレに行ったわよ。

さっきまでつまみ食いばっかりしてたから・・・」


シルビアが何か物凄く申し訳なさそうな顔で言った。


あの人は、今日格好いいと思ったのに何でそんな子どもみたいな事を。


俺がそんなことを思っていると、リビングの扉が開いた。


一瞬フィーネかと思ったが、入ってきたのはジークだった。


「おう、ガル。上がってたのか」


ジークは俺を見ると、言ってきた。


「父さん、何でトイレいきたくなるくらいつまみ食いしたんですか?」


俺が聞くと、ジークは笑いながら言った。


「いや、最初はちょっとで済ますつもりだったんだけどな。

何か、一回食べたらけっこううまくてな。

気づいたら、そこそこ食ってた」


何と潔いことだ。


「まったく、皆だってお腹すいてるんだから我慢してください」


「悪いな、気を付けるよ。

ところでガル、お前何か良いことでもあったのか?

顔がにやついてるぞ?」


ジークに言われて、自分がにやついてる事に気付いた。


「・・・少し嬉しいことがありましたから」


「そうか」


ジークは、にやつきながら返した。


「さてとそれはいいとして、だ。

シルビアー、そっちの準備は大丈夫か?」


ジークがシルビアに言うと、シルビアは笑顔で返した。


「誰かさんがもうつまみ食いしないなら、大丈夫ですよ」


「じゃあ大丈夫だな。

よし、みんなこっちに集まってくれ」


ジークの言葉で、みんなが扉の前に集合した。


「よし、みんな。

フィーネがこの扉を開けたら、俺が合図するからそしたらみんな頼んだぞ」


ジークの言葉にみんな頷いた。


「・・・足音がする。

よし、みんな準備してくれ」


俺たちは、少し離れて扉の方を向いた。


勝負は一瞬で決まる。


失敗は許されない。


周りの空気が静かになった。


そして、扉が静かに開いた。


そこから、今日の主役が入ってきた。


「フィーネ!」


ジークの言葉を合図に、俺たちは今日の主役を祝福した。


『誕生日おめでとー!』


「・・・え?」


フィーネは、扉を開けたまま固まっていた。


ちなみに、その服装はいつものメイド服ではない。


純白のワンピースである。


ロング丈で少し幼さが残るが、胸元が少し開けておりフィーネのバストを協調して大人の色気が出ている。


・・・何という反則なワンピースだ。


「フィーネさん可愛い!」


「すごい似合ってるよ!

頑張って選んだかいがあったよー」


ロミアとクレアが物凄くテンションが高くなっている。


まあ、たしかに可愛いもんな。


・・・すみません、ものすごく可愛いです。


で、とうの本人のフィーネはと言うと・・・


「・・・え?誕生日?ん?」


状況が飲み込めてないみたいだ。


まぁ、そりゃそうだよな。


「おいおいフィーネ。

まさか自分の誕生日、忘れたのか?」


ジークが笑いながら言った。


「いえ、誕生日は覚えていたのですが。

・・・覚えていてくださったのですか?」


「家族の誕生日、忘れるわけにはいかないわよ」


フィーネの言葉に、シルビアが笑いながら言った。


「・・・じゃあ、この洋服は?」


「あ、それは私からのプレゼントです!

フィーネさん、メイド服以外着てるところ見たことないから見てみたいなぁと思って」


クレアが手を上げて答えた。


「・・・似合ってますか?」


『もちろん!』


フィーネの言葉に、皆が一斉に答えた。


「あ、ありがとうございます・・・」


フィーネが顔を赤くして、恥ずかしがりながら返した。


誰か、この破壊力への耐え方を教えてくれ。


「で、これは私とレオからのプレゼントだ」


そう言って、カリアはフィーネにハンカチを渡した。


可愛い水色のハンカチだ。


ハンカチをもらうと、フィーネが嬉しそうに笑った。


「ありがとうございます!」


フィーネがお礼を言うと、カリアは笑顔で返した。


さて、俺もプレゼントを持っておくか。


「フィーネさん、これは私から!」


そう言って、ロミアがフィーネに茶色い布を渡した。


フィーネがその布を持ち上げた。


それは、シンプルだが格好いいエプロンだった。


「ありがとう、ロミアちゃん。

さっそく明日から、使わせてもらうわね」


フィーネが言うと、ロミアは「やった!」と喜んでいた。


「フィーネ、これは私とジークからのプレゼント」


そう言って、シルビアはフィーネにペンダントを渡した。


「良いんですか!?こんな高価そうなもの!?」


驚くフィーネに、シルビアが優しく言った。


「そんなに高価な物じゃないから、気にしないでいいわよ。

それに、私たちからすればその宝石のほうが重要だったから」


そうシルビアが言うと、フィーネがペンダントに付いている少し大きめの宝石を見た。


「この宝石って・・・」


「えぇ、アラネストよ」


フィーネが嬉しそうに、ペンダントを握りしめた。


「アラネストって、何ですか?」


俺が聞くと、シルビアが答えた。


「アラネストは、決して高価な宝石ではないわ。

でも、その宝石の意味する言葉のおかげで婚約相手へのプレゼントによく渡されるのよ」


「その言葉って、何ですか?」


「・・・出会いへの感謝、です」


俺が聞くと、フィーネが笑顔で答えた。


「ありがとうございます!

一生大事にします!」


フィーネの言葉に、ジークとシルビアは嬉しそうに笑顔で頷いた。


どうしよう、みんなすごい良いプレゼントばっかりで不安になってきた。


落ち着け、落ち着くんだ。


「ガル、大丈夫?」


俺が自分を落ち着かせようとしていると、ロミアが横から声をかけてきた。


「あ、あぁ、大丈夫だ」


明らかに大丈夫じゃないのが自分でわかる。


「ガル、頑張ったんだから大丈夫だよ。

フィーネさん、きっと喜んでくれるよ」


ロミアが励ましてくれた。


・・・うん、落ち着いてきた。


「ロミア、ありがとな。

落ち着いたよ」


「うん!」


ロミアの嬉しそうな顔に背中を押された。


俺は、フィーネに近づいた。


「フィーネさん!

これは僕からのプレゼントです!」


俺はそう言って、後ろに隠しておいたプレゼントをフィーネに渡した。


「これは・・・本、ですか?」


本当は本格的なほんみたいにしたかったけど、生憎そんな技術はもってないので紙を重ねて上の部分を一枚一枚接着して紐で括った。


こんなのを本と言ってもらえたのが、すごい嬉しい。


「はい。

僕にはみんなみたいにプレゼントのセンスがあるわけじゃないし、1番フィーネさんの本の好みを知ってるから書いてみたいと思って・・・」


「・・・ありがとうございます、ガルファット様。

さっそく、今夜から読ませて頂きます」


フィーネは、俺に優しい笑顔で言ってきた。


「あ、あの、フィーネさん」


「ん?どうされました?」


「あの、本を読んだら感想を聞かせてもらっていいですか?

面白くても、面白くなくても、素直な感想が聞きたいんです」


俺が言うと、フィーネは本を抱きしめて言った。


「分かりました。

読み終わったら、必ず感想をお伝えします」


「はい!お願いします」


俺が頭を下げると、ジークが皆に言った。


「よし、皆プレゼント渡したな。

じゃあ、飯にするか!」


その言葉をきっかけに、皆でご飯タイムに移行した。


そこからは、結構楽しかった。


皆話が弾んで、料理の評価したり、ジークとカリアはバカバカ酒飲んでるし。


俺も、今日の料理は新鮮でおいしかったと思う。


ただ、サンドイッチはやっぱりフィーネの作った物のほうがおいしいと思った。


その事をフィーネに言うと、嬉しそうに笑っていた。


その日の晩飯は、とても賑やかだった。









「まったく、結局寝ちまったか」


クレアとシルビアが片付けをする中、ジークがカリアを見ながら言った。


ちなみに、フィーネには片付けは気にしないでとシルビアが言ったので今は多分自室だろう。


「こっちも寝ちゃってますね」


俺は、ロミアを見ながら言った。


疲れたのか、ぐっすり眠ってしまっている。


「さすがに、起こすのも可哀想ね。

仕方ない、今日は家に泊まってもらいましょうか。

ガル、今夜はロミアちゃんと一緒に寝てもらえる?」


シルビアが俺に言ってきた。


「分かりました、じゃあロミアと一緒に部屋に行きますね」


俺は、ロミアをお姫さま抱っこした。


「お願いね。

じゃあ、おやすみなさい」


俺は三人にお辞儀して、自分の部屋に戻った。


俺は、ロミアをベットに下ろした。


こうして運んでいる間も、規則正しい寝息が聞こえる。


俺は、そんなロミアの頭を優しく撫でた。


さてと、俺も今日は寝るか。


そう言って、俺は自分とロミアに毛布をかけた。


「ガル~・・・」


夢でも見ているのだろうか、ロミアが抱きついてきた。


「・・・おやすみ」


俺はそんなロミアを優しく抱きしめて、一人ではない温もりをかみしめながら眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ