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凪の晴れ間に —— 小説書きの、ちょっとマジメな雑談。  作者: 凪野 晴


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第3話 「面白い」についての私的考察(後編)

前回に引き続いて「小説」という物語形式の「面白い」について、考察してみたいと思います。

後編でございます。


【「面白い」の対義語は?】

「面白い」の対義語は、「つまらない」です。


辞書での「つまらない」の意味は以下です。

(1)退屈な。

(2)価値がない。

(3)大したものではない。

(4)意味がない。

(5)ばかげている。

(6)割に合わない。


読者にとって、読んだ物語が上記のように判断されると、面白くないという結果になるわけです。

総じて、価値がなく時間を無駄にしたと感じることのようですね。


辞書での意味を見て、ぼくは「すごく主観的だなぁ」と思いました。

まぁ、前編での「面白い」の意味も主観的でした。


「面白い」も「つまらない」も、「主観的なもの」である。

忘れてはいけない、重要なことでしょう。



【ロジカルな面白さ】

物語の面白さには、ある程度、ロジカルなつながりがあること。

それが欠かせないと思います。


原因と結果の関係性。

そして、そのつながりの納得感。

そういうものを理解した時、面白いと感じるのではないでしょうか。


特にキャラクターの行動は、重要ですね。

流れがおかしい、納得いくロジックがない。

そうなると、途中をすっ飛ばして、書きたいことだけ書いているだけだ。

または、ご都合主義だ。と見なされる気がします。


物語のロジカルさを感じられるひとつに、伏線があります。

さりげなく敷かれた伏線が、驚く場面で回収されると……面白いと感じるものです。

予想できなかったけれど、納得できる。

驚かされて、面白いと感じるわけです。



【報酬という対価要求】

人間は誰しも、自分が行動したことに対して報酬を求めるものです。

その気持ちの大小はあれど。


小説を読んで、代えがたい経験をしたり、感情的な体験をしたり、興味深い知識を得たりする。

その結果、無意識かもしれませんが、自分の行動(読書)に報酬が与えられたと感じるでしょう。

だから、この物語は面白かったと思うのではと考えます。


得られるものが、既知な経験、体験、知識だった場合は、知っていることだから、つまらないと感じるかもしれません。

ありきたりのよくある話と片付けて、時間を無駄にしたと判断するかもしれません。


もちろん、人によっては類型を繰り返し体験したいから、似たような作品を選ぶというのはありますが。



ここからは、人の本能に迫って、考察してみたいと思います。


【勝ち負けの中で考えてみる】

勝つと……嬉しい、面白い。

負けると……悔しい、つまらない。


小さな子どもでも、そのように感じて、機嫌が良くなったり、悪くなったりしますよね。


勝負に勝つと、嬉しい。

それは、何かしらの争いの結果、生き残ったということ。


生存できたから、生存できる確率が上がったから、嬉しい。

つまり、生存本能が駆動しているということ。


小説などのエンタメは、読者が「安全なところから、冒険やスリルなどの体験を楽しむこと」と言えます。


主人公に感情移入し、様々な体験を経ても最後には勝つ。

だから、面白かったと感じる。

多くの物語がそうでしょう。


勝負事だけではありません。

困難なことを克服することでも良いと思います。


主人公が強さ、成功、報酬を手に入れることは……勝利であり、生存であり、そして面白さにつながるのです。



【異性にモテるということは?】

異性にモテるというのも、生存本能を刺激するものだと思います。


綺麗な女性、可愛らしい女性から好意を寄せられて、嫌な顔をする男性は少ないでしょう。

逆もまたしかり。


魅力的な異性は、物語に欠かせないものです。


そういった異性から自分だけ特別扱いされることは、この上なく嬉しいことなのかもしれません。

抗いがたい効果があると思います。


モテは、物語の面白さにも繋がる要素。


物語が変化をたどるものである以上、そして人間関係の変化を描くものである以上、モテは重要な要素です。

感情移入する登場人物がモテたら、読者も自分のことのように嬉しくなるでしょう。


もちろん物語のジャンルによっては、モテる要素は重要でないものもあります。

でも、愛される、認められる、信頼されるといった要素に置き換えると、ハマるのではないでしょうか。



【抽象度を上げると?】

「面白い」とは何か?

抽象度を上げてみると何かわかるかもしれません。

つまり共通そうな要素、普遍的な要素を見てみるとしましょう。


面白い物語の多くは、全体の流れで主人公にとってマイナスからプラスへの変化があるものです。

混乱した状態(混沌)から、統制された状態(秩序)への変化かもしれません。


戦争のような争う状態に勝利し、主人公が平和をもたらす。

あらゆる障害を乗り越えて、好きな人と結ばれる。

不可解な謎が論理的に解かれて、真実が導きだされる。


その流れが、ご都合主義なく確立されていると納得感があり、主人公の活躍を楽しむことができたら、面白いと感じそうです。

紆余曲折はあれど、「主人公は、最後に最初よりも高みに達していること」は不可欠かもしれません。



【読みやすさの重要性】

最後に……小説の場合、読みやすさはとても重要です。

どんなに面白いストーリーでも難解に書かれていて読むのが一苦労では、没入されることはできないと考えます。


読みやすさは、理解しやすさです。


読者に期待どおりの展開だと理解してもらい、さらに予想を裏切る。

そんな物語は、面白いと評されることが多いものです。

そのために、圧倒的に読みやすいことが基礎になると考えます。


ぼくもまだ修行中ですけれど。



ということで、とりとめもなく「面白い」について考察してみました。


ここまで書いてきたことが、浅いところを掬う程度のことだったか、はたまたそれなりに深く潜り込めたのかはわかりません。

ですが、読者に楽しんでもらえる小説を書きたいなら、常に「面白い」について考えなくてはと思うのです。

当たり前のことですが、それを実践するのは難しい。


でも、面白さを追求をすることを、ぼくは楽しんでいきたいと思います。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


凪野晴 2026年6月

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