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凪の晴れ間に —— 小説書きの、ちょっとマジメな雑談。  作者: 凪野 晴


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第1話 小説を選んだ理由

物語を紡ぐのに「なぜ、小説を選んだのか?」


エッセイを書いていこうと決めた時に、最初に思ったのが、このテーマでした。


このページを開いている読者の方は、カクヨムなどで小説を公開している凪野晴という人物に少しは興味があるでしょう。(まあ、たまたま検索やおすすめでクリックした人もいるでしょうけれど、そのまま読んでください。お願いします!)


物語を人に伝える方法は、小説、マンガ、アニメ、映画、ドラマ、演劇、ゲームといった様に、いろいろあります。デジタル技術が進歩した今、少人数でコンテンツを作ることは可能です。


それぞれの媒体の良さはあると思いますが、ここでは凪野が「小説を選んだ理由」を述べたいと思います。もちろん、ぼくは他の媒体で紡がれる物語を日頃から楽しんでいます。


でも、制作するなら……「小説」を選びました。


そして、小説を書く方法を、独学ながら学んできました。創作関連の書籍、ネットのコンテンツなどから。 選んだから、その道について学ぶことに時間を投資してきたのです。もちろん、今も、これからも。


さて、小説を選んだ理由は、5つあります。それらを、ここで語っていきたいと思います。



【理由1:言葉で語るのが好き】


ぼくは、スピーチが苦手ではありません。得意だと思います。


話したいことを整理して、話す順番を決めて、人前で話すことが、割と平気です。ただ、人見知りはしますし(謎)、相手の名前を覚えるのは苦手ですけれど(笑)


言葉が好きで、自分の言葉で語ることが、好きだと思います。


小さい頃から、本を読むのも好きでした。親戚の方々からは、よく喋る子どもだったと認識されていたそうです。


言葉を重ねて物語を作り出す「小説」が、自分に合いそうだなと思ったのですね。



【理由2:限られた人生の中で、一番多く物語が作れそう】


先に……ぼくが遅筆だというのは横に置いてから、話を進めます。


人生には限りがあります。誰もがいつかは死んでしまいます。人生は、残量がわからない電池のようなものです。自分の時間は、有限です。いつか電池が切れて、動けなくなってしまいます。


たったひとつだけしか伝えたい物語がないのであれば、制作する物語媒体は何でも良いのではと思います。映画やゲームは、時間とお金がかかるでしょうけれど、選択肢としてはありになるでしょう。


なぜ、小説を選んだか?


語りたい、伝えたい、形にしたい物語の原型がたくさんあるから。(そして、困ったことに、小説が書けるようになって、さらに増えているのです)


他の物語媒体に比べて、「小説」は物語を制作するための時間とコストが少なくて済みます。パソコンやスマホがあれば、作れます。書けます。


たくさんの物語を、限られた人生の中で作れそうです。だから、選びました。


歳を重ねても、頭と目と手が大丈夫であれば、小説執筆は続けられるでしょう。そこも魅力だと思うのです。



【理由3:スキマ時間に制作できる】


人生のそれぞれのステージで、やらないといけないことがあります。 学生時代は、受験があって勉学中心に。就職活動を乗り越えて、社会人になれば、責任ある仕事の日々。結婚して子どもができれば、子育てと仕事の両立。両親が高齢になれば、介護も。 年齢、年代という刻み方があり、「人生は間違いなく一方通行」です。


フィクションの世界なら、やり直しはできるでしょう。そういう物語も人気ですね。


でも、現実は、そうではないので……。それぞれのステージでやるべきことを、やっていくことになります。


その忙しさの中、スキマ時間でもやれるのが「小説」の制作だと思ったのですよね。就いている仕事、家庭環境などいろいろな要素によって変わるものですが、ぼくの場合は「小説」しかなかった。


【理由4:たくさんの物語に触れてきた】


小説やマンガを多く読んできたと思います。趣味のひとつとして、ぼくの半生にはずっと読書がありました。


アニメや映画、そしてゲームも楽しんできました。


そこで触れてきた、たくさんの物語。そういった物語を自分でも作りたくなりました。書きたくなりました。


情景と心情に感動したシーン。構造的仕掛けに驚いたお話。登場人物のセリフに、心震わされたことも。


誰かの心に残る物語を作れたら最高だろうと思ったのです。普段の会社員生活では味わえない、満足感があるだろうと。



【理由5:最高の物語を届けられる媒体と思うから】


映画やアニメのような映像作品に比べて……。没入できるようなゲームと比べて……。わかりやすいマンガに比べて……。


小説は、紡いだ文字だけで物語を届けます。


一見して、すぐに良さが伝わらないものです。読まないと、面白さがわかりません。


でも、文章を重ねていくことで、読者の脳内にはその人にとって最高の形で物語が展開されます。


かっこいい主人公、美しいヒロイン、壮大な景色など、文で綴られた内容から、想像され召喚されます。 例えば、「美しい女性」と書かれていれば、その読者にとって見事に美しい理想的な女性が脳内の舞台に登場します。


挿絵やコミカライズでイメージが固定されない限り、同じ物語を読んでも思い浮かぶビジュアルは、読者ごとにバラバラでしょう。


そして、読者の経験に一番触れやすいのも小説だと思うのです。


心理描写というのは、読者の過去の似た経験に肉薄します。触れます。過去の同じような感情を呼び起こすことになるかもしれません。辛かった感情、悲しかった体験、やるせない想いなどを、小説なら癒せるのではと思うのです。


「物語は、困難な現実を乗り越えるエネルギーを人の心に注げる」と信じています。自分の半生をふり返ってもそうでしたから。たくさんの物語に力をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。


ということで、5つほど並べてみました。



【AI小説によって浮き上がる、読者と作者の真のつながり】


ぼくのやりたいことを実現できる物語媒体は、やはり「小説」なのです。


近い将来、AIの進化でちゃんとした物語が機械的に量産されていくことは、拒むことができそうにありません。


読者が感情的な何かを得たいと思って、小説を読んだとしましょう。それが機械的に作られたものだと知ったら、ちょっと裏切られた気持ちになりませんか?ぼくは、そう感じそうです。 読者として小説を読む時、その奥にその作品を生み出した作者の存在を感じたい。小説という物語媒体を通じて、読者と作者がつながるということかもしれません。


多くの場合、顔を合わせることもなく、お互いを知らずに、ゆるくつながります。つながりとは「物語を共有すること」です。作者から受け取ったという感覚かもしれません。


AIが作った小説では、読者は「作者から共有されたんだ」「作者から受け取ったんだ」という感覚が欠落しそうです。 「読者と作者が、物語を共有する」という体験は、AIの進化によって、より強く意識されるようになっていくのではと思います。人々に求められていくのではないでしょうか。物語の奥にいる作者への興味が強まる、と言っても良いかもしれません。


今まで、紡がれた物語は、小説は、確実に人が書いたものだったから。それが揺らいでいる。だから、その価値に光が当たるのではと考えます。


そしてデジタル技術の進歩で、Web小説という物語媒体を通じてつながって、オンラインサロンやSNSで読者と作者のつながりが強くなる。そうなっていくのが、主流になるかもしれませんね。


最後に……


著作「勇者の十字架」の第58話にこんな一文があります。第一部のラストで、主人公が大切な人と共に観る景色の描写です。


――晴れた夜空には星々が煌めき、城下町の営みの灯りは宝石を散りばめた様だった。


ぼくの書いた小説が、読んだ方の人生という素敵な景色の一部になればと思っています。暗い夜を照らす星々のひとつに。もしくは、日常の営みを彩り、癒しを与える灯りに。


それくらいで良いです。


そんな風に、面白くて、心に残る物語を書いていきたいです。


凪野晴 2026年4月

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