46話 最初の放課後
「ではデニスさんカミラさんまたあとでね~」
レットは手を振りながら廊下を走っていく、いつの間にか帰りも一緒に帰ることになっていた謎である。
「そういえばカミラは最初レットに怒っていたけどなんで」
最初カミラは怒った表情でレットを見ていた。初対面の人相手に最初から怒っているなんて前世で聖女と言われていた彼女にしては珍しい。
「あーそれはね、デニスちゃんが跪いていたからデニスちゃんに危害を加えようとしているんじゃないかと思ってね。もしデニスちゃんに危害を加えるつもりなら許さないつもりだったけどそうじゃなかったから安心したよ」
カミラが怒るのなんてなかなかないから何事かと思ったらただ過保護だっただけのようだ。
「全くカミラは心配性だな私が子供相手に負けるわけないじゃない」
俺が言うとカミラが呆れた表情をしながら「デニスちゃんもまだ子供でしょ」と言われて精神年齢は大人の俺は何も言葉を返せなかった。
俺とカミラが立ち止まって話していると後ろから先生が現れた。
「あなた生徒ですよね。授業が始まってますよ早く教室に戻りなさい」
先生の言葉に俺とカミラがハッと思い出す。
「そうだったデニスちゃんがもうすぐ授業なのに教室に戻って来ないから呼びに来たんだった」
「そういう大事なことは忘れないで」
「もともと忘れていたのはデニスちゃんでしょ」
俺とカミラは急いで教室に戻ったのだった。
教室に近づくともう授業が始まっているようで、中から大人の話し声が聞こえて来た。
俺は恐る恐る扉を開くと教室の中にいた人全員が俺に向かって目を向けた。
「デニスさん遅刻ですよ。時間を守りなさい」
今回は俺が悪いので「すみません」と言うと自分の席に向かった。
俺が席に向かっている間「やっぱり平民はだめだな」「どうせ契約している精霊も身体操作程度だから」「精霊の力で運よく入学しやがって俺たちが努力してやっと入学したのに」と生徒が話し声が聞こえた。
俺が席に着いたところで先生が「はい授業の続きを始めます」と言うと途端に静かになって授業の続きが始まった。
午後の授業が終わるとリタ先生から「デニスさんは残ってください」と言われた。
他の生徒たちはすぐに帰る者もいれば教室に残り友達通しで会話をしている者もいる。
もしかしたら午後の授業に遅刻したことを怒られるのかもしれないそう思った俺は憂鬱に思いながら先生のもとに向かった。
「午後の授業遅刻してしまいすみません。」
先生に言われる前に誤ってしまおうと思い先に頭を下げた。
「えー確かに午後の授業に遅刻したことはよくありませんが今日残って貰ったのはそれが理由ではありません。遅刻の件は次から気を付けて貰えたらそれでいいです。」
先生に言われてなんだと胸をなでおろす。
「今日残って貰ったのは寮でのあなたの部屋が決まったので鍵を渡そうと思って残って貰っただけです。あなたの部屋は三階の四号室ですがわかりますか」
そういえば昨日の泊まった部屋は客室だと言っていたのを今思い出した。
正直昨日の部屋で十分だったため忘れていた。昨日この寮に来たばかりだったため寮について詳しくないため俺は「わかりません」と答えた。
「分からないのなら案内が必要ですね。今残っている人でデニスさんを寮の部屋まで案内してもらえる方はいますか」
先生が教室に残っている生徒に聞くと誰も目を合わせようとしない。
どうやらクラスメイト達は俺のことをよく思っていないようで皆俺にかかわろうとしない。
そんな時に教室の外が少し騒がしくなってきた。
先生も何事だろうと扉に目を向けると廊下からレットが現れた。
扉の傍にいた女子生徒から「ヴァイオレット様どうしてこの教室に」と言われたレット「友達に会いにね」と言うと教室の中に入ってきた。
レットの言葉にヴァイオレット様のお友達って誰と教室の中がとても騒がしくなる。
レットは教室の中を見渡すと一番前にいた俺を見つけると途端に笑顔になり歩いてくる。
「デニスさん先生とお話ですか、話が終わったら早く寮に帰りましょう」
レットの言葉にさっきとは違い教室の中がさらに騒がしくなる。
「あの平民がヴァイオレット様の友達だと」「なんて頭が高いの頭を下げなさい」「俺もまだ話したことないのになぜあんな平民が」など教室内の生徒が驚いていた。
「ごめんレットもう少しで先生との話が終わるから」
俺が答えるとまた教室の中が騒がしくなる「ヴァイオレット様のことを愛称で呼ぶなんてなんて無礼な」という声がほとんどだ。
そんな時一人の女子生徒が「先生先ほどの話私が受けます」と一人手を挙げた。
その声に続き何にもの生徒が手を上げだす。その中には男子生徒もいる。男子に案内は出来ないだろうとツッコミたい
「さっきの話って何」
途中で教室に入ってきたレットはなんの話か分からない
「私の寮の部屋が決まったから誰か案内してほしいって先生が言った。最初は誰もやりたがらなかったけどレットが来てから急に増えたよ」
俺が言うとレットは「ふーん」と言うと先生に向かって「私がやりますので他の案内は不要です」と言った。
「仲がいいみたいですのでヴァイオレット様にお願いしますね」
先生が言うと俺に鍵を一本渡してきた。
「先生私のことは一人の生徒として扱ってください」
レットは先生に言うと先生は反応に困ったようだ。
正直俺もまだレットと言うのは慣れていないがレットと呼ばないとカミラに何をされるか分からないため早く慣れようと思う。




