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44話 食堂にて

突然皆離れていき俺は何事だろうと思っていたがすぐに授業の時間になったようで先生が入ってきて授業を始めた。

授業内容自体は前世で騎士団に入団するために勉強をしていたため難しくなかった。

そして七歳の子供向けの授業のため進行速度がかなり遅い。

先生も俺が初めて授業を受けると思っているせいか前回の授業の復讐を多めにしながら進めて行った。

「デニスさんはこの文を読むことは出来ますか」

油断していると突然先生に当てた。

俺が静かに授業を聞いていたためきちんと理解出来ているのかの確認のためだろう。

俺が詰まることなく読む。

「そこまで、デニスさんはきちんと文字を読むことが出来るんですね」

本来平民は家の中で簡単な文字の読み書きを親から学ぶだけだ。

こんな学園に通って勉強を学ぶことは金を持つ者の特権だ。

「家に本があったので文字の読み書きは出来ます」

俺が答えると先生は「他の子と同じように進めてよさそうね」と言うとそのまま授業を進めた。


そのまま授業が進みお昼休みになった。

正直簡単な授業ばかりでウトウトしていたためとても長く感じられた。

カミラは性格故かずっと前を向いて授業を聞いていたがカミラももちろん授業の内容を知っているため何度か欠伸をかみ殺していた。

教室の子たちはどんどん教室から出て行ってしまう。きっと昼食を食べるためだろう。

俺も昼食を食べようと思ったがまだこの学園に来たばかりの俺はどこに行けばいいのか分からない。

カミラは授業が終わるとすぐに「探索してくるねー」と言いどこかに行ってしまった。

俺はどうしようか考えていると丁度教室の前を歩く女の子を見つけた。

「あの私今日初めてこの学園に来たばかりでよかったら食堂の場所を教えてもらってもいいですか」

俺に突然話しかけれたため驚いたようだ。

「えっと初めてなら分からないかもね。よかったら私と一緒に行きます?」

彼女に言われて俺はうなずくと彼女についていくことにした。


彼女の横に並んで歩き出すと彼女から突然質問をされた。

「教室の人たちは初めての人に案内しないなんて薄情な人たちね。でも今編入してくるなんてもしかして噂の人型精霊と契約した人なの?」

「そうですよ。今契約した精霊はどこかに行ってますけど私が人型精霊と契約したデニスと言います。」

もしかして他の教室にも俺のことは噂になっているのだろうか。

こんな通りすがりの子まで知っているとは思っていなかった。

「あなたの精霊の能力が身体操作という噂は本当なの」

もうカミラの能力が知れ渡っているのか噂が流れるのも早いなと思いつつ「そうですよ」と答えた。

「でも身体操作もすごいですよ。ここに来る道中も彼女の能力に助けられました」

俺がそう答えると「行の道中ってなにかあったの?」

「この街に来るのに盗賊に襲われまして、連れて行かれそうになって盗賊と戦闘になったんです。その時に彼女の能力に助けられました。」

俺は道中のことについて答えると彼女は俺の話に興味がわいたようで「もっと聞かせて」と言われて彼女は俺の手を取り食堂に走り出した。


「それで盗賊にさらわれそうになった時に突然力が湧いてきて盗賊を力ずくで飛ばして撃退した」

俺は彼女の向かいに座って話をしていた。

話をずっとしていたため食事は手つかずのままだ。

それは彼女もいっしょで俺の話を真剣に聞いていた。

「デニスさんはここに来るまでにそんな大冒険があったのね。すごいわ」

彼女はとても興奮していた。

「そんなに珍しいこと?まあなかなか体験できないことだと思うけど」

俺がそういうととりあえず話をして乾いた喉を水で潤した。

「そうね、私の兄や弟は剣を学んだりしていたんだけど私は女の子だからってそういうことを全くさせてもらえなかったの。だから本の物語に憧れてるの」

彼女は興奮した様子で俺に話す。この学園に通っているくらいだから彼女も貴族の娘なのだろう。

貴族の箱入り娘にとっては子供が盗賊に襲われて自分一人の力で撃退するなんて物語の中での話だろう。

俺は彼女の興奮した様子見ながら冷めてしまった食事を口に運ぶ。

しかし彼女は俺が食事をしてるが気にした様子もなく話続けた。

「正直あなたと契約した精霊の能力が身体操作って聞いてがっかりしたけどデニスさんはとてもすごいね」

「そんなに身体操作って駄目な能力かな。汎用性が高いと思うけど」

「でもこの学園に平民なのに入学できるなんて本当にすごい才能がないとできないことよ。最近入った人で有名な人はエマ様だったし。そのエマ様も今とても活躍しているじゃない。」

彼女が言うようにカミラが能力を言うとみんながっかりしたように離れて行った。

それはカミラの能力が身体操作だと知ってみんなエマちゃんと同じような能力だと思っていたため普通の能力だと分かり落胆したことが原因だったということか。

彼女と話しているとあと少しで昼食の時間が終わることに彼女が気づいたようだ。

俺は少しずつ食べていたため時間内に食べられそうだが彼女の皿はまだまだ残っている。

それに気が付き彼女急いで食事を口に運んだ。


次の授業の時間が近づき彼女と二人で教室へ戻る。

結局彼女は昼食を食べきることが出来なかった。

「今度からデニスさんと一緒に食べる時はご飯を食べ終わった後にする」

彼女は苦しそうにしながら歩く。

彼女はまた夜に俺と一緒に食事をすることを約束してくれた。

「そうだね。あなたは一つのことに集中したら時間を忘れる癖があるみたいだから気を付けないとね」

俺は彼女と話しながら教室に向かう。

「全くデニスさんの話が面白いのが悪いんだよ」

こんなに俺の話を真剣に聞いてくれる人なんて前世ではカミラくらいしかいなかった。

そのカミラも聖女と騎士になって再開した時は立場の違いのせいでそんなに話をすることはなったため本当に久しぶりのことだ

「そういえば夜も私と一緒に食べる約束したけどいいのあなたには他の友達がいると思うのに」

俺が彼女の心配をすると彼女は立ち止まってしまった。

彼女が立ち止まったため俺も立ち止まり「あなたが昼食を食べるのに時間がかかって次の授業まで時間がないから早くしないと」と言うと彼女の表情から笑顔が消えてしまった。

「さっきからあなたあなたって私はデニスさんと呼んでるんだからデニスさんも名前で呼んでよ」

さっきから俺が彼女のことをあなたと呼んでいることが気になっていたようだ。俺も彼女のことを名前で呼びたいのだが問題がある。

「あの私あなたの名前知らない」

俺が言うと彼女が笑いだしてしまった。

「仕方ない、ずっと聞きたかったけどあなたはまだ私に自己紹介してない」

俺が言うと彼女は顔を真っ赤にしながらしばらくの間笑っていた。

少し時間が経つとやっと笑いつかれたようで笑うのをやめた。

「ええーとそれじゃあ自己紹介するね。私の名前はヴァイオレット・ラグ・キールと言うの。気軽るにレットって呼んで」

ここで初めて彼女の名前を知ったのだが

「キールってもしかして」

俺が聞くと彼女は何てことないように「この国の国王の娘ね」と答えた。

俺はとんでもない人に話かけてしまったようだ。


エマちゃん依頼初めての幼女です。

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