29話 ルークの幼馴染
突然ですが過去編です
俺の名前はルーク・スコット5歳だ。
俺の親はスコット男爵で下級貴族の三男として生まれた。
もっと上の貴族に生まれたのなら学校に通うことが出来ただろうが下級貴族の三男では学校に通うことが出来ない。
それに15歳の成人するまでに功績をあげるかどこか上級貴族の跡取りと結婚できなければ貴族としての地位すら失う。
だが俺はそれでもいいと思っていた。父親にお願いしてどこか自由にできる土地をもらい畑を耕して暮らしていけたらそれでいいと思っている。
そんな俺には同い年の幼馴染がいる。
ヒル伯爵の一人娘で名前はカミラ・ヒルだ。
彼女の父親と俺の父親は昔一緒に戦ったことがあるそうで、今でも二人は仲が良くこちらから出向くこともあれば逆に我が家に来ることもある。
彼女とは同い年ということで会うとよく遊ぶ仲になっていた。
今日は彼女の父親が我が家に来て父親と二人で酒を飲んでいる。その間彼女と二人で庭で遊んでいた。
「ねえルーク将来は何になりたい」
遊び疲れて休んでいると彼女が急に聞いてきた。彼女の質問は年相応の質問だと思う。
「将来は細々と畑を耕してのんびり暮らそうかな」
彼女は俺の返答が面白くなかったようで、「えー」と声を出した。
「もっと大きな夢を持とうよ。例えば騎士になってお姫様を守るとか、冒険者になって功績をあげて上位貴族の仲間入りするとかないの」
確かに男の子の将来の夢といえばその二つを持つ者が多い。
「でも騎士になってもお姫様を守る騎士になるなんて相当身分がしっかりした上位貴族出身の人しかなれないし、冒険者になって上位貴族になっても学校に通えない俺じゃあろくに領地運営なんて出来ずにすぐ廃れるのが落ちだよ」
俺の言葉に何も返答が思いつかなかったようで「ルークは夢がないのね」と彼女は答えたのだった。
「じゃあカミラは夢はあるのか」
俺の言葉に待ってましたという顔をしたカミラが俺の正面にわざわざ移動してきた。
「私はたくさんの人の怪我を治す人になりたい。たくさんの勉強をして病気や怪我をした人たちを助けるんだ。」
俺が思っていたよりもかなり立派な考えだと思った。彼女は俺より考え方は大人だ、素直にそれを素直に言葉にすると彼女はドヤ顔で「そうよ私は大人なの」と言われ少しイラっとした。
俺たちの関係はそれから2年間続いた。
俺たちの関係が変わったのは俺たちが7歳になった時だ。
俺たちの誕生日は近く「今度会ったときは二人とも7歳だね」といい別れたがそれから彼女となかなか会うことが出来なった。
頻繁に会っていた俺たちはなかなか会えず結局次会うときは季節が変わっていた。
父親と俺は久々に彼女の家を訪れた。
彼女の部屋を訪れるとその部屋に彼女ともう一人大人の女性がいた。
いつも彼女の部屋で遊ぶ時は彼女と二人っきりだったため珍しいなと思った。
だが何度もこの家を訪れたことがあるがこんな人がいた記憶はない。新しいお手伝いさんだろうか
「カミラ久しぶりその人は新しいお手伝いさん?それにしてはなんか不思議な服だね」
俺の言葉で彼女は俺の顔を見たときはすごい笑顔だったが横の女性についてなんて何て言えばいいのか分からないようで声を出さない。
代わりに横の女性が先に口を開いた。
「あなたはカミラの友達ですか、私は先日カミラと契約しましたソフィアと申します。これからは彼女とともにいますのでよろしくお願いします。」
彼女の自己紹介に俺はカミラに「本当か」と聞いたが彼女はうなずくだけだった。
残念ながら7歳を迎えた俺は精霊と契約することが出来なかった、水が使える精霊と契約することが出来れば農作業に役立つと思って楽しみにしていたのだが、しかし彼女は精霊と契約することが出来たようだ。
しかし人型の精霊は初めて見た。
父親の領地の中にも精霊と契約している人はいるが、全員小動物のような小さな精霊しか見たことがなかった。しかし今目の前にいるのは成人の女性と同じ大きさだ。
精霊の力は人型に近いほど強いとされており、完全な人型の精霊は強力な魔法を使うことが出来ると言われている。
俺は初めて見た人型の精霊に興味深々なのだった
デニスちゃんの昔話です




