20話 7歳の誕生日前日
あの日からしばらくレイアは俺が道場に行くのに同行していた。
最初は先生はなぜ同行しているのか聞いてこられたが俺が道場破りして回っていることがバレたと話すと納得されてしまった。
彼女は朝道場に行く時から同行し俺が訓練している間は道場内で本を読みなどで時間を潰し俺が帰る時に一緒に帰る生活が続いた。
おかげで訓練時間が削られ道場破りも出来なくなった。
まあ、オーウェンさんがたまに来てくれるので、そこまで困らなかったが、しかしこの生活もそんなに続かなかった。
ずっと俺に付き添ってばかりで家のことが出来ていないからだ。
どんどん家が荒れていくことを気にしたレイアが俺の誕生日までの間道場に同行することになった。
7歳になったら次はどこの道場に乗り込もうか考えながら誕生日前日を迎えた。
エマちゃんの時と同様に俺の7歳の誕生日は前日に祝うことになる。
ルーカスだけ今日は仕事を休み昼間から準備を始めた。
俺も手伝おうとしたのだがレイアに「あなたは主役なのだから そこで大人しくしてなさい」と言われてしまった。
仕方なく俺が庭に素振りをしに行こうと剣を持つとそれを見たレイアに呆れられてしまった。
簡単な昼食を食べた後はルーカスが部屋の飾り付けをする。
そんなに気合い入れなくてもいいと言ったのだが、「年に一度の娘の誕生日に気合を入れなくてどうする」と言いながら楽しそうに準備をする姿を見ると止めることが出来なかった。
おじさんとおばさんが帰ってくる前に3人とも風呂を済ませる。丁度3人目のルーカス上がったタイミングで2人とも帰ってきた。
2人が風呂から上がると夕食が始まった。
大人たち4人は楽しそうにお酒を飲む。
せっかくの機会だと思い俺も転生してからはじめてのお酒を飲もうとレイアのグラスをとったが、ルーカスに見つかってしまい「お酒はもう少し大きくなってからだぞ」というと取られてしまう。
前世でもあまりお酒を飲む方ではなかったがみんなこんなに美味しそうに飲んでいると俺も飲みたくなる。仕方なく俺は我慢してジュースを飲みながらご馳走を食べることになった。
「デニスちゃんももう七歳か、それならエマも十歳になったのかたまには会いたいな」
おじさんの言葉に皆話すのをやめ静かになってしまった。
「あ、ごめんごめん祝いの場に水をさしてしまって」
おじさんの謝るがやはり皆精霊との契約について考えてしまうのだろう。
「デニスちゃんも強い精霊と契約するなんてことないわよね」
1番おばさんが心配してるようで不安そう言う
「大丈夫だよ、国に連れて行かれるほど強い精霊と契約する子なんてほとんどいないこの街で強い精霊と契約するなんて十年に一度有ればいい方なんて言われてるんだよ。うちの子達が二人とも連続で連れて行かれるなんてそんなあるわけないよ」
ルーカスの言葉におばさんは少し安心した表情を見せるがやはり不安なようだ。
結局その日はエマちゃんの時のように酔い潰れる前にみんなで片付けをして、そのままお開きとなった。
片づけが終わり俺はルーカス達と一緒のベットに入る。
まだ俺は二人と寝ている。本当は一人で寝たいのだがなかなか許してくれない。
まあ、どうせ騎士になった時に家を出る予定なのだ。それまだあと8年の我慢だと思って今日も寝ることにした。
俺は朝起きる。まだ二人は起きておらずトイレに行こうとベットから出ると本来この部屋にはいない4人目がいることに気が付いた。
「え、なんでここにいる」
俺は驚き、声を出してしまう。
本来いないはずの4人目がいるからではない。
そこにいるのは前世での俺の幼馴染で俺が守り切れなかった聖女カミラだったからだ。
ついにやっと幼馴染と登場させることが出来ました。




