18話 エマちゃんからの手紙
初の道場破りをした後俺はいつもの通っている道場へやってきた。
「すみません遅れました。」
そういって入ると先生がやってきた。
「今日は少し遅かったですね。寝坊ですか」
「違います。道場破りに行ってきました。」
そういうと先生の目が丸くなった。
「本当に行ってきたのですか、冗談半分のつもりだったのですが、まああなたなら全勝だったでしょう」
「正直期待外れでした。もっといろいろな経験が出来ると思ってたんですけど」
「そうですね。あなたはオーウェンに認められているほどの実力者ですからね。正直今のあなたなら本職の騎士と戦ってもいい勝負ができるでしょう。」
先生はそういうがさすがにないだろう。本職の騎士は体を鍛え技術もなければなれない。
俺は技術はあるが、体がまだ出来ていない。オーウェンさんと戦って力負けしているのがいい証拠だ。
もっと技術を磨いてオーウェンさんに勝てるように頑張らないといけない。
そう思い俺はさっそく素振りをした後いつも以上に型の練習や試合をした。今日はオーウェンさんは来なかったあの人はあまりこの道場には来ないのだ。
道場での練習が終わり俺は家に帰った。
家に入るとレイアが家事の準備をしている。俺は家事を手伝うべく手を洗うと台所に向かった。
「ママー手伝うよ何する」
そういうとレイアは「ならこの野菜を切ってね」と言って野菜を渡してくる。今日の夕ご飯はシチューのようだ。
食事の準備をしているとルーカス達三人が家に帰ってくる。もうこの三人が夕食までに帰ってくるのが当たり前になっていた。昔は夜遅くまで仕事をしていた三人だがどうやらアルバイトを雇って負担を少なくすることでこの時間に帰ってこれるようになったようだ。
今までなぜそれをしなかったのか聞いたところまだまだ事業が軌道に乗ったばかりでいつ不測の事態が起こってもいいようにアルバイトを雇うことはしなかったようだ。だがエマちゃんとの別れがあり一緒にいてやれなかった後悔からアルバイトを雇って仕事を任せることに決めたとのことだ。
夕食を食べ終わるとレイアが「今日エマちゃんから手紙が届いてたよ」と言って開封済みの手紙を出した。
「レイアあなた私よりも先に手紙を開けたのね」
そういうとおばさんは手紙を手に取った。
「仕方ないじゃないエマちゃんの状況を早く知りたかったのだから」
レイアそういった。彼女は一番早く手紙を受け取るだからいつも我慢が出来ずに手紙をいつも開けてしまう。
おばさんはなんだかんだ言いながらその手紙を嬉しそうに開ける。彼女も彼女で娘からの手紙が楽しみなのだ。
前の手紙は大体三か月くらい前だったと思う。
俺も彼女からの手紙を楽しみにしている。
おばさんが「あの子も元気にやっているかしら」と言うと代表して手紙を読みだす。
手紙の内容は学園であったことやこんな魔法を使えるようになったなどありふれた内容だったが、それでも俺たちはエマちゃんが元気に過ごしていると分かり笑顔になった。
彼女はこの2年間一度も家に帰ってきていない。いや帰ることが出来ない。
彼女の精霊は力が強く賊などに捕まると悪用されてしまうため常に監視が必要なのだそうだ。
そして、彼女は学園で勉強中なのでなかなか長期休暇を取ることが出来ない。
他の学生たちは学園を休み実家に帰っているそうだが、彼女は監視もあり帰るのにも費用が掛かる故帰ることが出来ず最初のころは手紙に帰りたいとこぼしていたが最近はその言葉も減ってきており、学園生活を楽しめているようでよかった。
本当は俺たちから会いに行きたいのだが首都に行くには長期の休みが必要で店を長期間閉めることが出来ないのと、貴族が多い学園に平民である俺たちが入ることが出来ないため会いに行けないでいる。
手紙を読み終えたあと俺たちはエマちゃんへの手紙を書く、明日レイアが買い物をしに行く時に配達の依頼を出しに行くことになった。
俺は手紙の内容を聞くと「私も早く騎士にならないと」という
その言葉にルーカス以外の三人は少しくらい顔をしたがルーカスだけは「頑張りなさい でも無理はしないようにね」と言った。
俺は明日の訓練に備えて早めに寝ることにした。
少しエマちゃん成分を補給出来ました。




