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スクリーチとティラノドレイクその2

 ユートピアまであと少しで着く。明確な意味での根拠はないが、タクトの本能がそう告げていた。荒野に吹く風は、いつもカラカラと乾燥しているが、ここの風は少しだけ違った。まるで潮風のような涼しさがあった。


 茶色の帽子を被った男は、弟のウルフと共に、自分達の始末するべき標的を探していた。

「おい、ウルフ。お前のPHIで奴らの位置を教えろ」

「へい、兄貴」

 ウルフの両目が光った。そして地面を照らし、そこに二人の馬で移動している男女の姿を発見した。

「兄貴、あいつら妙ですぜ。こんな長旅なのに、馬が一頭しかねえ。二人で一頭の馬に乗ってます。

「はん、珍しいことじゃねえよ。俺達と同じ囚人の誰かが、殺しちまったんだろう。まあ、馬を狙うのは俺らの流儀に反するので、そんなことはしないが、する奴がいてもおかしくはない」

「しかも、あの娘、男の腰に手を回してますぜ」

「当たり前だろ。手を回さなきゃ振り落とされちまう。少々悪趣味な話だが、俺がお前の後ろに乗ったとしても手を回すと思うぜ。お前の腰に」


「兄貴・・・・」

「ウルフ、いい加減に位置を教えろ」

「へい、ええと、ここから東に6000歩、北に4560歩の位置に連中はいます。おお、数が減りましたぜ、東に5400歩だ・・・・」

「おい、ウルフあいつらだって動いてるんだぜ。数字が減るのは当然さ。しかし今日はラッキーだな。あいつらから近付いてくれているわけだ」

 茶色の帽子の男は、馬に鞭を打つと、一気に馬を走らせた。その痕を慌ててウルフが追いかける。


「双葉止まるぞ」

 タクトは突然、馬から降りると双葉に手綱を握らせた。

「何かこっちに来るみたいだ。危なくなったら。それで逃げてくれ」

「ちょっと待って。タクトはどうするの?」

「おい、もう来たみたいぞ」

 タクトの目の前に、砂埃を立てながら、二人の男が馬に乗って現れた。そして茶色の帽子を被ったキザっぽい男の方が前に出た。

「あんたらがターゲットか。名乗っとくぜ。俺の名はジャッカル、あそこの小太りの男は、俺の実弟のウルフだ。まあよろしく頼むぜ」


「とっとと失せなよ」

「まあ、そう言うなって・・・・」

 ジャッカルは言いながら、自分の正面、ちょうどタクトの背後に設置されている大木を、横目でチラッと確認した。すると、その太い幹の大木が、いきなり真っ二つに折れた。

「なっ・・・・」

 タクトは敵前であることも忘れて、思わず振り返った。折れているというよりも喰われているという表現の方が妥当に見える。その大木はそのまま地面を転がると、今度は地面に押し付けられるように、平らな形に潰れた。よく見ると、足音のようなものが地面に残っているのが分かる。


「お前、何をした・・・・」

「説明する義務はないが。そこにいるガキが危ないぜ」

 ジャッカルの言葉に、双葉の方を振り返るタクト。その瞬間、双葉と馬が、横から何かに殴りつけられたように、右方向に吹っ飛んだ。それも体の曲がり具合から察するに、左から力を加えられたように見える。見えない何かが、大木の近くにいる。タクトはそう推理していた。

「双葉・・・・」

「うあああああ」

 地面に倒れている双葉を見て、二人の男が叫んだ。その一人であるウルフは、馬に乗っているので、タクトよりも早く双葉の元に到達した。思わずタクトの額に汗が滲む。それを見てジャッカルは勝ち誇ったように笑った。

「やったぞウルフ。さあ、お前の手柄だ。女を始末しろ」

 ジャッカルの言葉を聞いているのかいないのか、ウルフはまるで自分が殴られたかのような顔で、気を失っている双葉を見つめていた。

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