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写真の中の彼と10年前の文字
卒業アルバムを開いた瞬間、
胸の奥がふっとあたたかくなる。
(懐かしいな……)
ページをめくる指が自然と止まった。
無意識に“彼”を探していた。
見つけた瞬間、
胸がトクンと鳴る。
叶多くん。
今より少しあどけない顔。
でも、昔からかっこいい。
写真の中でも、
どこかまっすぐで、目が優しい。
気づけば、
写真の下に書かれた名前を指でなぞっていた。
(……叶多)
スナップ写真のページをめくると、
友達に囲まれて、
いつも笑っている叶多くんがいた。
その笑顔が眩しくて、
胸の奥がじんとする。
(私と……世界が違うな)
そう思った。
あの頃の私は、
人に囲まれるのが得意じゃなかったし、
誰かの中心にいる叶多くんを
遠くから見ているだけだった。
でも今は、
写真の中の彼を見て、
胸が鳴るこの感じが、
ただの懐かしさじゃないことを知っている。
ページをそっとめくる。
全員参加のコメント欄が目に入る。
(……あった。ここ)
指が止まる。
胸の奥がまたトクンと鳴る。
(この字……)
タイムカプセルの「好きです」。
(……似てる気がする)
アルバムを閉じることなく、
私はそっとタイムカプセルの紙を取り出した。
写真の中の彼の名前の筆跡と、
10年前の「好きです」。
二つの文字が、
静かに重なり始める。




