92/101
スパッと断絶
電話を切った直後、
スマホが震えた。
亮介からだった。
画面を開く前から、
だいたい何が書かれているか分かっていた。
案の定——
長い弁明のメッセージが並んでいた。
「さっきのは誤解で」
「本当に変わろうとしてる」
「もう他の女とは会ってない」
「美桜のこと大事にしたい」
読みながら、
自分が第三者になったような気がした。
(……ふーん)
心がまったく動かない。
情も何もない。
ただ、
「また嘘に踊らされるところだった」
という冷たい感覚だけが胸に残った。
(私、ずっとこういうのに振り回されてたんだ)
自分が嫌になる。
もしかしたら、と思ってしまった自分が。
亮介に誠実にいようとした自分が。
(もういいや)
会ってしっかり言葉で伝えようと思っていた。
ちゃんと向き合おうと思っていた。
でも、
電話の向こうの女の声で、
その必要がなくなった。
亮介は変わっていない。
口だけ。
いつもそう。
だから——もういい。
スマホを握り直し、短く打つ。
「もう連絡してこないで」
送信ボタンを押した瞬間、
胸の奥がスカッと軽くなった。




