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エピローグ
夕方の風が少しだけ涼しくなった頃、
私は机の引き出しをそっと開けた。
そこには、
あの日のタイムカプセルの紙が
丁寧に折りたたまれてしまわれている。
「好きです」
たった四文字。
でも、
私を動かした四文字。
指先でなぞると、
紙の端が少しだけ柔らかくなっていて、
時間が確かに流れたことを教えてくれる。
(叶多くん……
あの日泣いてくれた顔、忘れないよ。)
胸の奥が温かくなる。
スマホが震えた。
画面には短いメッセージ。
「そろそろ着くよ」
私は微笑んで立ち上がる。
玄関の扉を開けると、
夕陽を背にした叶多くんが立っていた。
「美桜」
叶多くんが私の名前を呼ぶ声、
いつも嬉しくて幸せな気持ちになる。
安心する声、大好きな声。
「ただいま」
叶多くんが微笑む。
「おかえり」
私は歩み寄り、
そっと手を伸ばす。
タイムカプセルの“好きです”に、
私は今もずっと返事をし続けている。
そしてこれからも──
二人の時間は静かに刻まれていく。




