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幕間 新しい時代の始まり

 ◆エルキュリア島


 リンドバーク帝国の領土内にあるエルキュリア島。

<マーヤー>の本拠地があるこの島に、ラキューナは再びやってきた。


 彼女はいつも通り微笑みを浮かべている。


 しかし、彼女とすれ違った<マーヤー>の構成員のほとんどはバタバタ倒れていく。

 倒れていない者も体調を崩す者が続出。


 一体どういうことだろうか?


 ラキューナが目的地にたどり着くと、二人の青年が控えていた。


「ヤハウェイ、ハイド」

「「は、はッ!」」

「なぜ私がココに来たのか、お分かりになりますよね?」

 ラキューナから伝わるこれまで感じたことのない威圧的なプレッシャーに、彼女の幼馴染である二人でも恐怖のあまり膝をついてしまった。


「バロンの失態は――」

「失態?」

「いえ、この度の出来事はすべて私の一存によるものであります! 誠に申し訳ございませんでした!」

 ハイドの一言がラキューナの地雷を踏んだと察知したヤハウェイは、即座に土下座で謝罪を入れた。

 ハイドもその事実に気づき、慌てて土下座をする。


「……」

 そんな二人の様子を、凍るような冷たい目線で見つめ続けるラキューナ。

 しばらく事態は硬直していたが、ラキューナが先に折れて元の雰囲気へと戻る。


「それで、バロンとあの男はどうですか?」

「はっ! 二人については――」

「戻ったぜ、ラキューナ嬢ちゃん!」

 ヤハウェイの声を遮る形で、クロウが乱入する。


「ご苦労様です、クロウ」

「本当だぜ。カリストロでの一戦に続き、鬼ヶ島での救出作戦。使いっぱしりでかなわんわ」

「申し訳ございません。いつも即座に動くことのできるのがあなただけなのです」

「構わんさ。それが俺の望みだからな。それより、救出してきたバロンとあいつらだが、ほとんど怪我していないようだから例の施設に放り込んでおいたぜ」

「ありがとうございます。それでは、私がこれから出向くとしましょう」

 ラキューナはそれだけ言うと、そそくさと建物の外へと出て行った。



 残された三人は――


「「はぁ、はぁ、はぁ」」

 ヤハウェイ、ハイドはようやく張り詰めた緊張感から解放され、荒く呼吸を繰り返した。


「馬鹿だなぁ、あんたたちも。やりにもよって嬢ちゃんの想い人にちょっかいをかけるとは」

 クロウは二人に近づき、肩をポンポンと叩く。


「……あいつは――世渡一斗はイレギュラーすぎる。ことごとく我らの作戦を台無しにして――」

「だから、ラキューナ様の憂いを断つために、混乱に乗じて抹殺する予定だったのだ」

 今回の鬼ヶ島での襲撃事件の首謀者は、自分たちであると明かした。


「それが余計だと思うがな。まぁ、これに懲りて無闇にもう奴に手を出さんことだな。ほなっ!」

 クロウは伝えたいことだけ伝えてその場を去る。

 残った二人は悔しそうに表情を歪めるのであった。




 一方、建物の外に出たラキューナは気持ちを切り替えていた。


「さすがは一斗様。どうやったかは存じませんが、まさかこの時代の人間が<隕石落下メテオフォール>を無効化するとは。ますます貴方様のことが欲しくなりました。いかなる手を使ってでも、私のものに」


 艶やかな表情を浮かべながら、一斗と再会できる日をラキューナは待ち望むのであった。



 一斗とラキューナ。

 二人が邂逅するとき、世界の歯車はさらに音を立てて加速する。





 第六章 転生のまち編  了

 next contine 『第七章 争乱のまち編』


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